久し振りにジブリの「コクリコ坂から」を観ました。やっぱりいい話でした。
佐山哲郎原作、高橋千鶴作画による漫画、そしてそれを原作としたスタジオジブリのアニメです。時代は昭和。東京オリンピック開催前の頃。純粋に少年少女の恋愛をドがつく直球で描いている。セリフが少ない。人生において、セリフによる説明など不要なのです。この映画の良いところは、物語を語らず、見せてくれるところです。主人公と一緒に感じさせて気づかせてくれるところです。
物語の佳境、当人たちではどうすることもできない困難が襲いかかります。でも主人公の少女、海は言います「私は好きです」と。真正面からぶつけてきます。少年もブレることなく正面から受け止め、「俺もお前が好きだ」と応えます。これをリアルに成立させたところにこの作品の凄さがあります。この路面電車の駅のシーンは、当時、劇場で一番感動した場面(この上なくぞわぞわしたことを覚えています)。この状況でこの告白をさせる作家(脚本)宮崎駿の凄さを感じました(監督は息子の吾郎さんです)。
シンプルで静かな物語ですが、最後には満ち足りた気持ちで終わります。まるで潮が満ちたように。
物語とはかくありたいものです。ドラマとは、どんなに突拍子なくとも、どんなに非日常であっても、本当(リアル)でなくてはならないのです。作ってる者が、演じている者が信じていない世界に「リアル」は存在しません。本気で信じてこの世界を立ち上げたスタッフに脱帽です。こんな作品があるから、まだこの世界を信じられるのです。自分の芝居が信じられるのです。 私もかくありたいものです。
どうぞ皆様、良い週末をお迎えください m(__)m
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