神原ワールド稽古場日誌

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理解の外

2022-03-25 22:16:44 | 演劇

 人間は目の前のものを理解しようとします。 当たり前ですよね。

 人は論理的にせよ感覚的にせよ、思考による理解をしようとします。そしてその思考は既に私たちの知っていることが基となっています。しかし、もし私たちが私たちの知らないものを理解しようとして、理解できないとしたら?

 異なるものをどう捉えるのでしょう? 果たして捉えられるのでしょうか?

 「恋せぬふたり」 「僕らは奇跡でできている」

 その点、興味深かったのは、TVドラマの「恋せぬふたり」とちょっと古いですが「僕らは奇跡でできている」の2作品。「恋せぬ~」は恋愛感情が理解できないアロマンティック・アセクシュアルの二人が主人公。「僕らは~」は、良く言えば独特な個性。違う角度から見れば、いわゆる発達障害ともとれる男性が主人公。

 周りの人たちは、彼らが理解できない。しかし、彼らを感じるように捉える人たちは少しずつ気が付き始めるのです。こういうのも「ある」のだということを。

※アロマンティックとは、恋愛的指向の一つで他者に恋愛感情を抱かないこと。アセクシュアルとは、性的指向の一つで他者に性的に惹かれないこと。どちらの面でも他者に惹かれない人を、アロマンティック・アセクシュアルと呼ぶ。

 人は何でも自分の中の型(思考)にはめて理解しようとする。でもできない。でもわかろうとする。でもわからない。しかしそこには、今まで知らなかった世界が拓けるキッカケがあるのではないでしょうか。

 体験としての演劇はそれをやっちゃうのです。怪異もまた理解を超えたものでしょう。理解を超えたものを既成の知識や思考で理解しようとするのではなく、感じて味わうことで後から思考が追いかけて来る…これが演劇の面白いところだと思います。

       

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