Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

昼休みの景色

2011-11-23 18:47:17 | その他
近場に大きなバイパスが通る。まだ10年も先のことだろうが、囲いこんだ計画用地の中で古代人の住居など遺構らしき場所の発掘調査が進められている。伊勢原近在では大山の麓には比々多神社など古格をもった杜があって勾玉など古代の宝飾品が出土されている。ちょうど数ヶ月に亘って遺跡発掘のパート労働者を募集という折込案内を見て試しに応募してみた。ネットでプロ用機材をテクニカルタームを駆使して売る仕事も兼ねているから、週に4日くらいが適当と判断した。幸い面接の結果採用通知がきた。この二つの仕事を微妙なバランスで保ちつつ、これにささやかな年金を足して来年以降の生計を目論んでいる。がことはそう容易ではない。新規作業員、すでに雇われている作業員を一瞥する。30代から定年後の60代まで50人の年齢層はまちまちである。仕事がうまく続くかどうかということは、仲間や上司との融和にかかっているからだ。初日の仕事をしてみた結果、体はきついが雇用期限まで持ちそうだという予感がしている。ジョレンという鍬みたいなもので、目星がついている地面の古代層まで重機で掘り下げた表土をせっせ、せっせと整地する仕事が殆どである。手と足腰のバネを生かすから汗は十分すぎるくらいにかく。班単位で作業する仲間の質がよい。相応の企業で人も管理してきたのだろう。労りあって仕事をする呼吸があっていて、息をいれる間というものがそれぞれで持てるのがよい。この用地を囲む近在は殆どがとても広い農地で昔ながらの細かな農道が未舗装状態で走っている。普通の通行者をみかけることもない。昼の一時間休みというものがこんなに有難いと思ったことは勤め人だった20代半ば以来である。
初日のお昼はまるで「インディアン・サマー」だ。コンビニでにわかに買ってきたミルクコーヒー瓶と山崎だかパスコの駄パンをほおばるという昼食だ。飼料栽培用の玉蜀黍が丈高く繁っている畑の縁に寝そべって青空を仰いでいたら、ふと好きなアメリカの写真家ウオーカー・エバンスが1930年代のアラバマ、サウスカロライナといった田舎を撮っている写真と同質な既視感が湧き上がってくるではないか。この気分が、ラーゲリに収容され森林伐採労働等を強いられたシベリア抑留者みたいにならないことを今は祈るだけである。