寒い時期に続けた肉体の試練から解放されたせいか、本来の散歩人気質を取り戻そうと郊外へ出かける。
五月の陽気に噎せるには格好のお天気だ。ちょうど誕生日が近いからめでたいわけでもないが、青梅の黒沢集落にある石釜パンのメッカ「木の葉パン」を再訪する。細い渓流が覗けるオープン型テラスはつい最近、ガラス窓で仕切ってしまってこの店の持ち味はどうやら半減してしまった。ランチは食べ放題の焼きたてパンと季節を彩ったディッシュが美味い。塩豚のチャーシューめいたコーンビーフも燻した肉の香りが仄かに口腔へ拡がって薄っぺらなわりにコクがある。
パン工房の隣家の屋根に聳える昔風の換気塔、落ち始めた青梅、元気なハルジオンのような雑草、奥武蔵に拡がる雑木林、五月めいたよい景物を堪能して締めくくりの和菓子は都下の無名店「ほうらいや」の「花菖蒲」。よい一日だった。