座間と横浜を往復する日々だ。秋になって横浜市内を流れる昔なじみの大岡川、掘割川沿いの道を通ると、ハゼ釣りに興ずる釣り人の姿を見かける。カフェ移転直後の些事に追われているものからすれば羨ましい光景である。ハゼが深場に落ちないうちに久しぶりのハゼ釣りを思い立った。
10月下旬の風も凪いでいる好日である。都市部の汚泥河川では情緒不足なものだから、かって好釣果に恵まれた深浦港まで足を伸ばすことにした。深浦港は東京湾の抉れが深く切れ込んでいる横須賀の東側に位置するヨットハーバー、田浦漁港等を抱える入江だ。入江の最北部にある田浦漁協の船着場付近がハゼ釣りの私的好ポイントになっている。
しかしこの場所の難点は漁師さんの作業を釣り人が 邪魔することから立ち入り禁止になっている事だ。禁止エリアに近接する遊歩道のフェンス越しに船溜りのポイントへ軽く仕掛けを投げることにした。力余ってキャスティングすると漁船上に仕掛けを絡ませてしまう。また手前の岩礁混じりの底地には貝殻の堆積箇所があってここにも仕掛けを絡ませ易いという悩み多き好ポイントなのだ。
丁度良い場所へキャスティングが慣れるまでには午後の陽は傾くのも早い。しかし以前には好ポイントだった場所よりもこの釣りづらいところがハゼのサイズが大きいことに気がつく。水温が下がってきたがハゼの餌追いは活発だ。もう少し手返しが上手い人ならば、20匹は固いのだろうが、午後の2時間の釣果が10匹余。
帰宅途中の麦田「知味亭」で四川風焼そば、ハゼを捌く前の休憩時間には小布施の栗きんとんと焼き芋という秋めいたオヤツを食す。BGMは新人ボーカルの図太い歌唱力に感銘しつつ、背後を彩るダン・バレットのトロンボーンソロの自在な歌心にも深い感銘を覚える。12日に行われるラジオ亭のボーカル特集ではこの中の1曲について論じてみようと思いつく。