このブログでは、「間違いやすい日本語」というテーマで、間違いやすい言葉などを取り上げていますが、9月14日の毎日新聞夕刊の「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムで“誤解されている言葉”というテーマで同氏が寄稿されていました。
その中で、「性癖」「酒池肉林」という言葉が、元来は全く別な意味を持つ言葉なのに、その言葉に含まれる「性」とか「肉」と言う漢字が誤った印象を与え、いわゆるSEXに関連する言葉として誤解されているケースが多いことに触れられており、更にこれに関係して「不倫」、「変態」とか、漢字ではないが「エッチ」と言う性的なことに関わる言葉の歴史などについて述べられており、非常に面白く読ませて頂きましたので、概略下記します。
①「性癖」は、元々は“性質上のかたより。くせ。”(goo辞書)を意味する言葉ですが、「性」と「癖」を合わせで言葉なので、“性的な嗜好”を表す言葉だと誤解する人が多い。
②「酒池肉林」は、“中国「史記」の「酒を以て池となし、肉を懸けて林となす」からきた言葉で、“酒や食べ物がふんだんにある、贅 (ぜい) を極めた酒宴” (goo辞書)という意味の言葉ですが、「肉」という言葉に「酒」「池」と言う字が絡んで、如何にも性的な“肉欲の絡んだ淫らに繰り広げられる宴”だと誤解している人が多い。
③「不倫」は、元々は、“道徳にはずれること”を意味する言葉だったのが、昭和の初めごろから“道ならぬ恋”を指すことが多くなり、最近は専ら“配偶者以外と肉体関係をもつこと”の意で使われるようになった。
これはかってこのような行為を指す言葉として使われていた「姦通」は余りにもあからさま過ぎるし、「浮気」では少し軽く感じるので「不倫」と言うのが非常に便利な言葉になったのではと延べられています。
④「変態」については、元々は生物が元の姿から形態を変えることを指す生物学用語ですが、最近の若者たちが良く使用する「変態」は、精神医学で“性的な行為や対象が倒錯しており、異常な形をとって現れるもの”を意味する「変態性欲」の略語として使用されているとされています。
⑤更にすっかりポピュラーになった「エッチ」ですが、これは明治時代には「ヘンタイ」の頭文字をとって女子学生用語として生まれたが、昭和になり「すけべ」「エロ」の意味で使用され始めた。(現在でも、子供たちが無邪気に使っている「エッチ」はこの意味が多いでしょう)
また、昭和後期に明石家さんまさん達によって性行為そのものを表す軽い言葉として普及して行ったとされています。
上記の①については、「性」という字は、“<サガ>:生まれつきの性質。性格。また、持って生まれた運命。宿命。”という意味と、“<セイ>:同種の生物の、生殖に関して分化した特徴。雄性と雌性。雄 (おす) と雌 (めす) 、男と女の区別。また、その区別があることによって引き起こされる本能の働き。セックス”という意味があるのですが、凡人はどうしても「性」と言う漢字を見ると、後者の<セイ>の方をイメージしてしまうようです。
②についても、多くの想像力だけが逞しい凡人は、漢字の組み合せで直感的に色々と勝手なストーリーを組み立て、妄想的な誤解に満ちたイメージを描くことになるのでしょう。
これとは少し違いますが、③④⑤については、今までは秘めた行為であり隠されてきた性に関わる隠語とでもいうべき言葉が、SEXは恥ずかしいものではなく、もっとおおらかになっても良いのではと考える風潮の変化に拠り、言葉の持つ意味が時代と共に変わりながら、ある程度陽の当る場所に登場して一種の市民権を得たのではないかと思います。
以上、松尾貴史氏の記事を引用したりして紹介の上、若干の私見を加えさせて頂きました。(まさ)
その中で、「性癖」「酒池肉林」という言葉が、元来は全く別な意味を持つ言葉なのに、その言葉に含まれる「性」とか「肉」と言う漢字が誤った印象を与え、いわゆるSEXに関連する言葉として誤解されているケースが多いことに触れられており、更にこれに関係して「不倫」、「変態」とか、漢字ではないが「エッチ」と言う性的なことに関わる言葉の歴史などについて述べられており、非常に面白く読ませて頂きましたので、概略下記します。
①「性癖」は、元々は“性質上のかたより。くせ。”(goo辞書)を意味する言葉ですが、「性」と「癖」を合わせで言葉なので、“性的な嗜好”を表す言葉だと誤解する人が多い。
②「酒池肉林」は、“中国「史記」の「酒を以て池となし、肉を懸けて林となす」からきた言葉で、“酒や食べ物がふんだんにある、贅 (ぜい) を極めた酒宴” (goo辞書)という意味の言葉ですが、「肉」という言葉に「酒」「池」と言う字が絡んで、如何にも性的な“肉欲の絡んだ淫らに繰り広げられる宴”だと誤解している人が多い。
③「不倫」は、元々は、“道徳にはずれること”を意味する言葉だったのが、昭和の初めごろから“道ならぬ恋”を指すことが多くなり、最近は専ら“配偶者以外と肉体関係をもつこと”の意で使われるようになった。
これはかってこのような行為を指す言葉として使われていた「姦通」は余りにもあからさま過ぎるし、「浮気」では少し軽く感じるので「不倫」と言うのが非常に便利な言葉になったのではと延べられています。
④「変態」については、元々は生物が元の姿から形態を変えることを指す生物学用語ですが、最近の若者たちが良く使用する「変態」は、精神医学で“性的な行為や対象が倒錯しており、異常な形をとって現れるもの”を意味する「変態性欲」の略語として使用されているとされています。
⑤更にすっかりポピュラーになった「エッチ」ですが、これは明治時代には「ヘンタイ」の頭文字をとって女子学生用語として生まれたが、昭和になり「すけべ」「エロ」の意味で使用され始めた。(現在でも、子供たちが無邪気に使っている「エッチ」はこの意味が多いでしょう)
また、昭和後期に明石家さんまさん達によって性行為そのものを表す軽い言葉として普及して行ったとされています。
上記の①については、「性」という字は、“<サガ>:生まれつきの性質。性格。また、持って生まれた運命。宿命。”という意味と、“<セイ>:同種の生物の、生殖に関して分化した特徴。雄性と雌性。雄 (おす) と雌 (めす) 、男と女の区別。また、その区別があることによって引き起こされる本能の働き。セックス”という意味があるのですが、凡人はどうしても「性」と言う漢字を見ると、後者の<セイ>の方をイメージしてしまうようです。
②についても、多くの想像力だけが逞しい凡人は、漢字の組み合せで直感的に色々と勝手なストーリーを組み立て、妄想的な誤解に満ちたイメージを描くことになるのでしょう。
これとは少し違いますが、③④⑤については、今までは秘めた行為であり隠されてきた性に関わる隠語とでもいうべき言葉が、SEXは恥ずかしいものではなく、もっとおおらかになっても良いのではと考える風潮の変化に拠り、言葉の持つ意味が時代と共に変わりながら、ある程度陽の当る場所に登場して一種の市民権を得たのではないかと思います。
以上、松尾貴史氏の記事を引用したりして紹介の上、若干の私見を加えさせて頂きました。(まさ)