‟他人の誤った言行も自分の行いの参考となる“という意味の言葉ですが、往々にして逆な意味で‟他人の良い言行を自分の行いの手本とする”という意味で使用されています。
出典は、四書五経のひとつ『詩経』の、「他山之石可二以攻一レ玉」とあり、通常はこれを「他山の石 以て玉を攻むべし」(たざんのいしもってたまをおさむべし)と読み下します。
「玉を攻む」は「玉を磨く」という意味であり、この成句は字義通りには、「他の山からもたらされた粗悪な、磨いても玉にはならない石は、然るべき山から産する玉を磨くのに使え」ということで、元々は「質の悪い石でも玉を磨くのに役立つ」という意味だったのですが、ここから転じて、「他人のつまらない言行、誤りや失敗などにも、そこから学んで自分の知恵や徳を磨く助けとなるところがある」といった意味になったということです。
別の言い方をすれば、「人のふり見て我がふり直せ」ということでしょう。
それが往々にして、「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」というような使われ方をして、「先生の生き方を他山の石として・・・」というような誤用例が非常に多くなっています。(まさ)
※ この項については、「語源を楽しむ」(ベスト新書増井金典著)や<WIKIPEDIA><goo辞書>などを参考にさせていただきました。