ギリシャ神話の英雄の星座なのに、主星のラス・アルゲチをはじめ、すべての星が
3等星以下・・・というちょっと寂しい星座です。
明るく輝く夏の大三角のひとつ、こと座のベガのお隣の・・・
ヘルクレス座は、南を下にして逆立ちした数少ない星座のひとつです。
くびれたH型が目印です。
片膝をつき、こん棒を振り上げる勇士・ヘルクレス!
多くの英雄は、人間と神の間に生まれています。
以前ご紹介したゼウスとダナエーの子ペルセウスと、ヘルクレスはその代表です。
そしてほとんど皆、誕生前になされた予言のため、生まれると父や権力者によって
殺されそうになり、養父母に育てられるという幼児期を体験します。
ギリシャ神話最大の英雄ヘルクレスは、大神ゼウスとミケーネの王女アルクメネの間に生まれました。
嫉妬深さで有名なゼウスの正妻ヘラによって、ゆりかごに2匹の毒蛇が送られますが、
ヘルクレスは生まれながらの怪力で、蛇を怖がるどころか無邪気に握りつぶしてしまいました。
その後立派に成長し、妻をめとり、子をもうけましたが、怒りの収まらないヘラの呪い【狂気】によって乱心させられ、その最愛の妻子を自らの手で殺してしまいました。
この罪を償うためにヘルクレスは、まだ誰も成し遂げたことのない「12の冒険」に挑むことになります。
【ヘルクレスの十二功業】
1★ネメアの森の人喰い獅子の皮をとり (しし座)
2★アミモーネのヒドラ退治 (うみへび座、かに座)
3★ケリネイアの鹿を生け捕ること
4★エリュマンテスの猪を生け捕ること
5★エリスの王アウゲイアスの厩の清掃
6★ステュムパーロスの鳥退治
7★クレタ島の牡牛を生け捕ること
8★トラキア王の牡牛退治
9★アマゾンの女王ヒッポリュテの帯を奪うこと
10★怪物ゲリュオンの赤い牛を奪うこと
11★ヘスペリデスの園から金の林檎を採ってくること (うしかい座)
12★地獄の番犬ケルベロスを連れて帰ること
これらの難行苦行を見事克服し、罪滅ぼしを終えました。
ヘルクレスは、新しい妻ディアネイラを迎え、やっと幸せの日々を過ごせるかのようにみえました。
ある日、二人がトラーキアに向かう途中、大きな川にさしかかります。
そこでヘルクレスは、川の渡しをしていた半人半馬のケンタウルス一族ネッソスに妻を任せ、自分は歩いて川を渡ることにしました。
ところがディアネイラの美しさに惹かれたネッソスは、ディアネイラを襲おうとします。
それに気づいたヘルクレスは、ヒドラの毒を塗った矢でネッソスを射抜きますが、死ぬ間際に
「夫の愛を永遠のものとするために、これを彼の衣に浸すとよい」
と言って、自分の血を入れた瓶をディアネイラに手渡します。
それから数年後、ヘルクレスは神に祈りを捧げるためにオイタ山へでかけることになりました。
ディアネイラは、ネッソスの言葉を思い出し、小瓶の血を浸した衣をヘルクレスに手渡します。
実はその血は、呪い のかかった猛毒だったのです。
オイタ山の山頂で衣を着たヘルクレスは、たちまち毒に冒されもがき苦しみました。
呪いのために衣が肉に食い込み、脱ごうとしても肉まではがれ落ちてしまいます。
死を悟ったヘルクレスは、山頂に薪を積みその上に横たわり、火をつけて自らの命を絶ちます。
天から見ていた大神ゼウスは、ヘルクレスの数々の功績をたたえ、また彼の悲運を哀れみ、
天に上げて星座としました。それが、今も空に輝くヘルクレス座です。
また、生まれたヘラクレスを不死身にするには、ゼウスの妻、ヘラの乳を飲まさなければなりませんが、
嫉妬深いヘラは、ヘルクレスに憎悪を抱いていたために飲ませることなんかしませんでした。
ゼウスは、なんとか乳を飲ませたいとヘラに眠り薬で眠らせ、ヘラクレスに乳を飲ませました。
夢うつつの中、ヘラクレスが自分の乳を飲んでいることに気がついたヘラは、払いのけてしまいます。
このときにヘラの乳首から出たしずくが天に昇り天の川となり、
地に落ちた乳のしずくが白いユリの花になったといいます。
英語でミルキーウェイは、この話が由来とされています。
天の川~夏の夜空・・・七夕(夏の大三角)にヘルクレス(H)~
夕涼みがてら~眺めてみてくださいね~~
ThankYou
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