http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20140130110901046から
突発性難聴に音楽鑑賞療法 生理研など考案
(2014年1月30日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】
片側の耳の聞こえが急に悪くなる突発性難聴の新しいリハビリ療法を、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)と大阪大、ミュンスター大の日独共同チームが開発した。音楽鑑賞で積極的に耳を使う手法で、英科学誌「ネイチャー」系の「サイエンティフィック・リポート」に掲載された。
一般的な治療はステロイド薬を投与して安静にする手法だが、研究チームは病気の原因に脳活動の低下があると仮説を立て、耳と関係する脳神経を音で刺激しようと試みた。正常な側の耳に耳栓をし、聞こえにくくなった側で1日6時間、クラシック音楽を聴く音響治療を追加した。
1週間から10日ほど入院した患者53人で比べた結果、音響治療と併用した22人は、ステロイド療法のみの31人に比べて大きく回復した。
併用患者の脳を磁気計測装置で調べた結果、耳と関係する部位で入院当初は活動低下がみられたが、症状の改善につれて活性化が確認され、チームの仮説を裏付ける結果となった。
チームの岡本秀彦・生理研特任准教授(神経科学)は「突発性難聴にはさまざまな治療法が試みられているが、今回は薬物療法とは全く異なる試み。安価で副作用もない」と話している。
突発性難聴 原因不明の難聴。日本での患者は年間3万8000人ほどで、増加傾向にある。治療法はステロイド薬の投与が主流だが、有効かどうかは論争がある。脳内の大脳新皮質聴覚野の活動が発症後に変化することが報告されている。