超小型の50mmF1.4といえば、これしかない。OMシリーズの標準レンズでもあり、OLYMPUSのフラグシップでもあった。入手したのは初期型の次に来る前期型というもので、No.415325。
1973年5月発売のフィルター枠(銀)、モノコートというもの。10万番からスタートして50万番あたりからフィルター枠が(黒)になる。6群7枚、最短 0.45m、Filterφ 49mm、重量 230gというもの。多少の事は自前でやろうと決断し、2020年6月、カビ物の本機(売り手はジャンクと称していたが)を入手した。外観はスレキズ少なく確かに美しいが、カビは盛大に蔓延って、とてもそのままでは使えない。
早速、レストアに取り掛かる。ところが外側を分解した所で、行き詰った。どうも接着(ネジロック)してあるようで、どうしても外れない。エタノールどころか「接着剤はがし」や「CRC556」、「ホットプレート」まで持ち出してやってみたが、レンズを収納している銅鏡がどうしても分解できない。そのうち、プライヤーまで持ち出して強引にやってみたが、やはり分解できなかった。ここら辺まで来ると、レンズはボロボロ、銅鏡はキズだらけということで、レンズのカビを気にする所では無くなっていた。偶然この機がそうなのか、或いはすべての機が接着してあるのか判らないまま、近い製造番号のカビ無しのものを探して落札、再チャレンジすることにした。
同7月、No.347705を入手。カビの少なそうなものを選んだつもりだったが、中玉あたりに少しカビがある。清掃すれば充分綺麗になるレベルなのだが、それが出来ない。外観はスレも無くかなりの美品で、ほとんど使用形跡がないものだった。今度は無理せずに出来るだけ清掃して使おうと思う(多少の薄カビは止むなし)。ヘリコイドのグリスは硬化してかなり重く、フォーカス環のトルクにムラが出ているのでこれも直したい。
早速、Front Lens Unitを外そうと思ったが、やはり外れない。それどころか、Front Lens Unitの第一Lensさえ外れない。前回は「接着剤はがし」を使ってどうにか外したが、今回はどうしたものだろう。Rear Lens Unitも最も外側だけが外れたが、次が行けない。どうやらこの頃のZUIKO製品は接着剤で止めてあるようで、もはや疑う余地はない。
そろそろと元に戻して考えた。このまま進めば前回と同じになってしまう。長々と眺めて見たが、10月、思い切って(お高いオールドレンズになるが)プロに依頼することにした。接着剤の話しは一応しておいたが、「挑戦してみる」とのこと。
しかし、ここからが長かった。11月、12月と過ぎて、「さては、壊れて再起不能」になったかと思っていたが、明けて2021年1月、修理完了とのこと。報告書によれば、やはりすべて分解することは出来なかったようで、一部はレンズを取り出さずに裏表から清掃したらしい。本来磨き上げる所も一部出来なかったようだ。Web Pageを拝見すると、年末、「固着が激しくムリに解体を試みた為に手の甲を痛めた」、「四、五日仕事が出来なかった」と・・・。これは、このレンズが原因に違いない、と。
いやはや、大変な作業になったようで「申し訳ない」の一言です。で、小さなカビ痕は残ったものの、どうにか美しくなって戻って来た1本でした。
アダプターはK&F Concept KF-OME PRO(OM-NEX PRO)/Amazon
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