記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

アンドリュー・ニコル監督「ガタカ」

2017-08-06 21:39:25 | カ行
これぞディストピア的な。

アンドリュー・ニコル監督「ガタカ」
遺伝子で全部わかっちゃう怖ーい世界。産まれた瞬間に遺伝子検査で寿命までわかっちゃうって怖くて怖くてそんな世界で生きていけないわ。
でも自分が年取って年金で生活できるような歳になったらそんな世界になっちゃうんだろうか。生体ICチップを社員に入れてる会社があったりするって言うし。

産まれた瞬間に人生の優劣も何もかも決められてしまうってどうなんだろう。そんな世界で夢を失わず生まれた意味を探し続けるってどれだけ意志が強いんだろう、と、主人公の心情を、こう、痛いほどに考えさせられる。

常に君は劣っている、劣等だ、と友人を見て、弟を見て、きっと周りから言われ続けて、それでも自分の夢を叶えるために努力を惜しまず、でも遺伝子は変えられず……。
遺伝子上は非常に優れていても体がどうにもならず、周りから有形無形のプレッシャーをかけられ続けてそれに応えられず……。
最後に「夢をもらったからな」と言ってはいたけれども、きっと、夢を叶えたヴィンセントを見てるのが辛くなったんでないかな。きついな。

ヴィンセントはヴィンセントで、ずっと自分でも周りからも弟アントンと比べられ続けて、弟が自分よりはるかに優れているって辛いな。辛いよな。

でもさー、見てる人っているんだね。優等か劣等かなんて気にせずに、きっと遺伝子ではどうにもならない人格を見て評価してくれている人。それが救い。


蛇足…?
特にないけど、人によってはだいぶだいぶいろんな意味で切なくなる、と思う。

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督「キングコング・髑髏島の巨神」

2017-04-17 20:39:27 | カ行
綺麗なサミュエル・L・ジャクソンかと思ったらそうでもなかった。

ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督「キングコング・髑髏島の巨神」
怪獣好きが高じて観に行ったんですが、ストーリー的にはとても良かったんだけど、吹替が…。やっぱり字幕がいいな。

というのは置いといて。
ゴリラが大暴れする映画。
ゴリラがとにかく大暴れする映画。
ゴリラが大暴れしてヘリを潰したりトカゲと戦ったりする映画。
まーねいきなり人の家に上がりこんで爆弾落とし始めたらそりゃいくら神としてあがめられている心優しいキングコングさんも怒りますわ。

開始早々「モナーク」という単語が出てきてそわそわ。そわそわそわそわ。今度ハリウッド版ゴジラ見直すわ。
大嵐の中に突っ込んでいくところでそわそわ。ラピュタか。
ヘリ部隊がキングコングと対峙するところでそわそわ。このシーンめっちゃかっこいい。夕日に浮かび上がるコングのシルエット。
どこかで見たことがあると思ったら「地獄の黙示録」のオマージュだった。

髑髏島の生き物が観てて楽しいんですよ。いやねそりゃね「この島では人類が最弱(うろ覚え)」なんて言うものだから正直危険な生き物の方が多かったんだけど、ナウシカの蟲とかハリポタの不思議生物とかハンターハンターの生き物とか大好きなので、今回のような空想上の生き物は観てて楽しいんですよ。怖いけど。ちょっとビビったけど。

基本的に登場人物は綺麗にフラグを回収してくれる。一級フラグ建築士の皆様ばかり。
大佐役がサミュエル・L・ジャクソンで「今回はまともなサミュエルだ!」と思ったらそうでもなかった。いつもの感じだった。
でもこの前のサミュエル・L・ジャクソンよりはまともだった。この前はミス・ペレグリンだったからな…。
そういう意味でモーガン・フリーマンとサミュエル・L・ジャクソンは綺麗にキャラクターのすみわけができている気がする。
そして今回はシェー・ウィガム扮するコールについて触れないわけにはいきませんね!あんなにきれいに燃え尽きた人(文字通り)久しぶりに見た。
「コール…」→「コール!」→「コール!?」ってなる。アホの子は最後までアホの子だった。

もう公開期間はそんなにないだろうけど、これを読んだ人がまだキングコングを観ていないというのであれば、そしてこれから観るというのであれば、
これだけは絶対に言いたい。
エンドロール後まで、絶対に、見た方がいい。
特に「モナーク」と聴いてピンときた人は最後まで絶対に観た方がいい。絶対にだ。

ピエール・モレル監督「96時間」

2017-04-16 20:24:12 | カ行
父ちゃん最強説。

ピエール・モレル監督「96時間」
最近リーアム・ニーソンとジェイソン・ステイサムばっかり観てるなと思いつつリーアム・ニーソンをチョイス。

元CIAのお父さんがそのキャリアを存分に生かして誘拐された娘を助け出すという映画なわけだが。
最愛の娘を誘拐されたお父さん、キレてるせいで頭のキレも体のキレも半端ない。
というか現場で力を最大限発揮する実の父&きっと財力的には実の父を際限なく支援してくれるであろう義理の父、を敵に回した時点で
誘拐グループの命運は尽きていた気がしないでもない。
それにしても娘ズと母親不用心すぎ!そりゃ父ちゃん心配性で少々うざかったかもしれないけど!フランスだけ行くって言っておいて実はヨーロッパツアーの追っかけっていやいやいやそれは止めなきゃダメでしょママン!

お父ちゃんがとにかくかっこいいのもそうですし、個人的には変に正義感を振りかざすタイプの主人公じゃないところに好感を持てる。
「復讐は何も生まないがスカッとする」みたいな感じで娘を助けるためという理由だけで(本人も「個人的な理由だ」って言ってたしね 笑)犯罪組織を一つ潰してしまうとは…いやはや。
誘拐するにもちゃんとこう獲物は選ばないとね。

人身売買の現場に乗り込んでからのシーン展開が非常に面白い。殺人ピタゴラスイッチからの個人的な理由。面白くてそこだけ3回くらい繰り返して観た。もう一度観てもいい。

何度でも言おう、この映画はすっきりする。

それにしても、処女信仰は日本も海外も変わらないんですかね…?

ジョン・エリック・ドゥードル監督「クーデター」

2017-02-05 18:28:37 | カ行
原題より邦題の方がしっくりくる気がする稀有な例だと思う。

ジョン・エリック・ドゥードル監督「クーデター」
主人公は「ナイト・ミュージアム」でお馴染みのオーウェン・ウィルソン。既視感があると思ったら「ダージリン急行」と「グランド・ブダペスト・ホテル」に「ミッドナイト・イン・パリ」にも出演。意識はしていなかったけど意外に観たことのある人だった。

オーウェン演じるジャック一家が到着したその日にクーデターが勃発。開始5分で殺される国トップ。早いよ。トップの死を目撃し近くにあったナイフで自らの首を掻っ切るSP。諦めるの早いよ。

この映画の怖いところって、もしかしたら自分もいつかそういう場面に遭遇することがあるんじゃないか、と思わせるくらいにはリアリティがあること。だとしてもいきなり銃ぶっ放されたり戦車が町中を走っているような事態には遭遇したくはないが。
ジャック一家の幸運はあるゲストに会っていたこと、なんだろうけど、そんな幸運が自分の身にも起こるとは俄かに信じがたいし。

別にジャック父さんは元傭兵みたいな経歴を持っているわけではないので、暴徒相手に壮絶なアクションを繰り広げる、というものでもない。イメージとしては映画版クレヨンしんちゃんのひろしに近いような活躍の仕方をする。それがまたリアルなんだよなぁ。
でもって暴徒のリーダーがゲスい。あの兄ちゃんがちょいちょい出てきたからきっと暴徒のリーダーであってるんだろうけど、ゲスい。レイプ(未遂だったけど)は想定内とはいえ、そのほかにもいろいろと。なんつーかね、うん、あんまりやることが汚いと、いくら信条や使命があったとしても評価はされんよ…って感じだった。
ジャックの奥さん相当恨み溜まってたんでしょうね。最後は若干、本当に若干リーダーが可哀想になった。

設定如何で「面白いB級」と「観るに堪えないB級」のどっちかにこの手の映画は転ぶ気がするんだけど、これは面白い方だった。

ギレルモ・デル・トロ監督「クリムゾン・ピーク」

2016-08-21 22:57:56 | カ行
違うこれはホラーじゃない。

敬愛するギレルモ・デル・トロ監督の最新作をどうしても見たくて見たくてたまらなかったので観ることにした。
ホラー嫌いだけど、って思ってたけど、全然平気だった。これをホラーとしてしまったらガンジーが助走つけて殴りかかってくるレベル。

小説家になりたい主人公イーディスちゃんが、悪い男に引っかかって云々ってのが発端なんだけれども。
悪い男がわかりやすく悪い男だし、その姉ちゃんはもっと癖がありそうな感じだし。
あーでも夢破れて支えも失ってってなってるところにちょっと優しくしてくれる男がいたらくらっと来ちゃうよね。

わかりやすく悪い男=トーマスとその姉ルシールが悪いことしてたのが原因でそれにイーディスちゃん巻き込まれちゃったというか運悪くターゲットにされちゃったのね、というお話なのですが。誤算はトーマスが少なからずこれまでのことに罪悪感を覚えていたことと、イーディスにガチ惚れしちゃったことなんだろうな。それ相応の報いは結果あったんだけどな。

ホラーというよりは、「本当に怖いのは人間だよね」って話で、あと愛は人を狂わすってところか。「パンズ・ラビリンス」を作った監督だなって思う。少なくとも「パシフィック・リム」を作った監督ではないw二重人格か?ww

あまりにラストが衝撃すぎて恐怖吹っ飛びましたよ。あんな怖いキャットファイト知りませんよ。スコップを振り回すミア・ワシコウスカ…可愛い子なのに……。
ナイトガウン姿でナイフを振り回すルシール「あんたのせいでトーマスは…!」VSナイトドレス姿でスコップを振り回すイーディス「あんたたち気持ち悪い!」(「 」内はあくまで個人の感想です。)
でもさ、リーチが違いすぎて、最近見た「猫とマンチカンの喧嘩」を思い出したわ。あんなにほほえましくないけど。

蛇足っつーか…さ……
ルシールさんの趣味が悪すぎる。笑