記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

クリストファー・ノーラン監督「メメント」

2013-07-28 20:26:21 | マ行
大人って、汚い。

クリストファー・ノーラン監督「メメント」
有名な映画なので見た人の方が多いはず(な気がする)。
10分しか記憶を保てない主人公の行動を遡るように映画は進む。
(この「遡るように」という部分が非常に新鮮で面白かった)

10分間の記憶を記録し辿りながら、妻を殺した犯人に復讐しようとする主人公。
その主人公の記憶と現在が交錯しながら、真相に近づいていく。

で、どうして「大人って、汚い」となるのか。
誰も自分のことしか考えてないんですもん。
そもそも「復讐」って、自分を満足させるためのものだから、出発点からして自分本位だよね。むしろそこが清々しい。そんな映画。逆にすっきりするよね。
10分しか記憶が持たないっていうんなら、そこは利用するしかないよね。
釈然としないけど、よくわかるって感じ。変だけど。

映画についてこれ以上話をするとネタバレになるので、ほどほどにする。
面白い。面白いけど、この映画の情報を処理するには私の頭は単純だったようで、恥ずかしながら途中でよくわからなくなってきた。
主人公が保険の調査員(話はそれるけど、保険の調査員って聞くと「マスターキートン」を思い出す)時代に担当した人の話と、主人公を手助けしてたはずの女性の話についてはわかったんだけどなー。こういう「最後にすべての謎が解ける」ような映画を、一人で解決できるようになりたい。

蛇足
ガイ・ピアースの肉体美は必見。
体中にメモを残す(というか彫る)ので、メモの確認をする=脱ぐ。
細マッチョって、いいよね。

ジャミン・ウィナンズ監督「アナザーエフェクト 11:59」

2013-07-21 21:18:40 | ア行
タイミングがいろいろと良かった。

ジャミン・ウィナンズ監督「アナザーエフェクト」を観ました。
タイトルから、なんとなく「バタフライ・エフェクト」っぽい感じだなという印象を受けて、
借りて観たらこれが大当たり。

主人公(報道カメラマン)が少女誘拐殺害事件の容疑者を追い詰め、大スクープをつかんだと思ったら…!という話。
題名の「11:59」(原題でもある)は、主人公が夜の11時59分になるとなぜか過去に未来に飛んでしまうというところから、かな。

若干ネタバレ。
上記殺害事件の容疑者逮捕の裏には、州知事選挙に関する陰謀が隠れてるんだが、これを書いている今テレビでは選挙速報をやっております。

出演している俳優女優さんたちはあまり有名でもなさそう。映画賞も獲ってはいるけど…という映画らしいですが、この映画は観た方が良い。「アルゴ」みたいに、淡々としているけどスリリングな映画が好きな人はハマる。絶対にハマります。
タイムパラドックスに陥る主人公ですが、これがうまい具合に絡みあって、観てて非常に気持ちが良い!
粗も隙もない映画という印象を受けました。
「物事には必ず理由がある」とは、主人公の母親の言。タイムパラドックスなんて不可思議な現象がこの一言で解決(というか説明)できる。できちゃうんですよ。特に何も違和感なく、うまくうまくまとまってしまうわけです。すごいね。


蛇足。
音楽も良いです。良いんですよ。特にクライマックスシーンの音楽。
疲れが溜まってたのもあって完全に船漕いでた。やっちまっただ。

アラン・シャバ監督「ミッション・クレオパトラ」

2013-07-15 23:04:38 | マ行
今度は絶対に英語の映画を借りてくる。今回もフランス語だった。

アラン・シャバ監督「ミッション・クレオパトラ」を観ました。
紀元前のエジプト。クレオパトラとシーザーの意地の張り合いの結果
3ヶ月で城を建てろと命じられた主人公。
無論3ヶ月で建てられるわけはないので、魔法の力を借りようと、
魔法の薬を作れるというガリア人に助けを求めて…と書くと、ファンタジーっぽい
感じがするんだけどね。けどね!
ファンタジーはファンタジーでも、相当くだらないぞこれ!
「くっだらねーwwwww」と思わず叫んじまったぜ!

やたらと舞台背景衣装に力が入ってるからか、余計にくだらなさが目立つ。それがこの映画の良いところなんだよ、きっと。
いろんな映画のパロディがちりばめられてんだろうけど、まだ映画の知識に乏しい身としては、酔拳とスターウォーズしかわからんかった。あとはところどころにちりばめられたメタ発言。
この監督は何がしたくてこの映画を作ったんだろう。そこが謎でならない。
フランス人が思い描くエジプトを映像化するとこうなる…とか?
いやまさか。そんなわけはあるまい。

蛇足。
クレオパトラの衣装が、ミラノコレクションとかパリコレとかそんな感じ。
時代の最先端を行きすぎて凡人にはよくわからないような(でもきっとこれが「おしゃれ」とか「スタイリッシュ」なんだろう)格好だった。嫌いじゃないけど。

シュテファン・ルツォヴィッキー監督「ヒトラーの贋札」

2013-07-07 19:32:12 | ハ行
ほぼ全編ドイツ語(これは予想してた。)

シュテファン・ルツォヴィッキー監督「ヒトラーの贋札」
先週この映画の原作本を借りたことから、この映画を観ることに。
第二次世界大戦終盤、「ベルンハルト作戦」と言われた贋札作成プロジェクトに携わった
強制収容所の収容者を描いた物語。
主人公は贋札作りのプロ。収容されたのち、ポンド札とドル札の贋札を作るように命じられる
わけです。
最高の機材、(収容者の中では)最高のスタッフ、囚人としては最高級の待遇。
その裏には「いつかは殺される」という不安。
病気になれば死ぬ、働けなくなれば死ぬ、命令を果たせなければ死ぬ、戦争が終われば口封じに殺される。
それでも、生き続けていれば…という一縷の希望。

原作本も面白かったけど、映画も面白かった。
原作と違うけど、映画化するうえでは仕方ないんじゃないかな、というレベル。
(こう言っちゃ悪いが、一介の印刷工と希代の贋作師、主人公に向いているのは後者だろうな。)
この手の映画や話を見ると、「戦争ダメ!絶対!」と心の底から思う。
政治思想とか、面倒くさい話は抜きにしてね。別に変な思想とか持ってないからね。


特に蛇足はなし。
ケチのつけようがない映画だった。素晴らしい。
強いていえば、たまたまゲオでDVDを見かける→本を借りる→「そういえばこの名前、この前ゲオで見たぞ…!」
となったので、この映画との出会いは運命だったのかもしれない。