記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

テリー・ギリアム監督「未来世紀ブラジル」

2016-12-11 12:18:20 | マ行
Dr.パルナサスの鏡、の監督と知ってなんとなく納得。

テリー・ギリアム監督「未来世紀ブラジル」
情報統制がなされた「20世紀のどこかの国」の暗黒社会を舞台としたブラック・ユーモアな映画。
ぶざまなほど統制された(awkwardly ordered)人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求(by wiki先生)の一言で説明がつく気がする。
ディストピアと聞くと「市民、幸福は義務です」を連想する発想力の持ち主なので、あーこれパラノイアの世界だなーと思いながら観てた。
主人公の妄想癖は「LIFE!」を連想するものがあるけど、あれより突拍子もない。抑圧された世界にいるから、発想がそれに反発するんだろうか。

情報が命、というのは現代社会でもそうだと思うけど、情報を貨幣のように使うのではなく、この世界では情報は完全に政府の所有物なんだな。
最初から最後まで超お役所仕事。時代が時代だからだろうけど、書類の山。人は書類のみに生きるにあらず。
主人公サムは、社会からの抑圧と、職場からの抑圧と、ミスによる重責と…いったいどれくらいのものに押しつぶされたんだろう。
その抑圧されたものを吐き出す場所があればいいんだろうけど、あの世界にそんなものはなさそうだし、外に出せない圧力が中に向かった結果があの結末だったんだろうね。まさかの展開というよりは、想像しうる展開だったな。どっちかというとサムとジルがくっついたことの方がまさかの展開だった。

映画自体は好き嫌いあると思うけど、あの世界観は(あの当時では)近未来的で且つ退廃的で皮肉に溢れていて嫌いじゃない。
ストーリーは好き嫌いがある。あれ、映画館で観てたら多分時間を無駄にしたと思ってると思う。