記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

ザック・スナイダー監督「ウォッチメン」

2013-11-30 17:47:43 | ア行
ヒーローってなんだったっけ…


ザック・スナイダー監督「ウォッチメン」を観ました。
最初5分の緊張感と緊迫感が半端ない。あそこでグッと観客を惹き付けて、あとはヒーローの苦悩と過去を炙り出しながら世界を救うための話が始まる…でいいのか?
それにしてもこれをヒーローと言ったら虎徹が切れて滔々と自身のヒーロー論を説きそうな感じのヒーローだったな。正義とエゴの境目がわかりにくくなってる。というか、何をやっても「これが正義です!」って主張しそうなヒーローでした。
冒頭いきなりレズかよすげーな!とかヒーローというよりもお前確実に悪役だろ!って奴とかいろいろいたけど、ヒーローも人なんだよな…一人人外がいたけど。
「大を救うために小を犠牲にすること」の可否や、「正義のための殺人」なんて、確かにどのヒーローも抱えてそうな問題よね。正義というよりも、意見か?もしくは信条か?お互いに譲れなければ、妥協できなければ衝突は必至だろうしなぁ。
皆が皆、自分の正義を貫いた。その結果、世界は救われた。そういう意味でハッピーエンドなんだろうね。
むしろ、バットマンみたいに非難の的になりかねない中で、ヒーローの役割を全うするにはそこまで意志が強くないとだめなのかもしれない。
少なくとも、エイドリアンの選択は間違ってなかったと思う。そのあとのジョンの台詞もまたいいなぁ。
「許しはしないが 非難もしない だが理解する」この台詞は私が今まで観た映画の中でベスト3に入る良い台詞だ。
というわけで、ラストシーンも非常に惹き付けられる映画だった。
「正義」って言葉は非常に曖昧で、人によって「正義」の持つ意味や、見え方は全然違うのだろう。そこにこの作品にロールシャッハが登場する意味があるのだと推測。深読みとか苦手だからたぶん違うんだろうが。

この作品、スローモーションの使い方が上手いと思う。要所要所でちょこちょことスローになるんだけど、その緩急のつけ方が良い。「ここを観てほしい!注目してほしい!」って部分なんだろうが、面白さをより引き立てている気がする。


いつもの蛇足
最近のマイブームが、「映画を観る→Wikiで監督と俳優・女優の別作品をチェック」なんだが、あの今一つパッとしない感じのナイトオウルさんが私が唯一DVDを持っている映画「オペラ座の怪人」のラウルとはいやびっくり。確かにラウルの時もパッとしなかった。(「オペラ座の怪人」は断然ファントム派)
「私とダーリンは前後一体!前から後ろから愛のボルケーノ!」ってのはわかる人だけわかってくれればいい。今まで様々な表現を観てきたけど、炎は初めてだ。そうか、そこまで燃えたのか。

ルイ・ルテリエ監督「タイタンの逆襲」

2013-11-26 20:04:59 | タ行
厨二病臭が前作より薄くなった気がする。

ルイ・ルテリエ監督「タイタンの逆襲」を観ました。
べ、別に観たい映画が見つからないからって借りたわけじゃないんだからねっ!(うちの最寄りのゲオに「ウォッチメン」はないらしい…)

この手の映画はたとえ深いテーマがあったとしても深読みもテーマを探ったりもしないのが信条。
味方が敵をやっつける、それだけでいいじゃない。
あえて言うとしたら、絆、なのかなぁ。(正直「絆」という言葉は聞きすぎて胸焼けしてきてるレベルなのだが。)
ゼウスとペルセウス、ペルセウスと息子ヘレイオス、ゼウスとハデス…ゼウスとハデスの関係はちょっぴり涙出てくる。
黒いペガサスはいつ見ても厨二心をくすぐるぜ。あれ欲しい。乗りたい。
アレスは偉大なる父を超えられず、父の愛情に気付けず、ペルセウスを逆恨み、ってところなのかな。まぁペルセウスは半人ってだけで父から心配され、半神だからヒーローになれた。アレスがどれだけ愛情を掛けられてたかは映画からわからないけど、愛情が憎悪に変わってしまったんだろうか。

蛇足
ポセイドンの息子アゲノールがだんだんなすびに見えてきてだな…困った。

デイヴ・マッキーン監督「ミラーマスク」

2013-11-18 23:14:54 | マ行
久しぶりの投稿。

デイヴ・マッキーン監督「ミラーマスク」。
女の子同士で観て、観終わった後にクスッとしたくなるような映画。
主人公の女の子ヘレナが夢の世界に迷い込んで大冒険!みたいな感じ。この夢の世界が癖になるんだよね。グロテスクで、でもどこか愛らしい。夢って楽しいだけじゃないよね、ってことなのか。女の子の深層心理の表現か。
この映画のラストシーンは大好きだ。私の好きなタイプのラストだ。暖かい笑みがこぼれるラスト。ほっこりした気分になりたい時にもう一度観たい。
アンティークとスチームパンクがかみ合ったような世界観を彩る不思議な生き物たち。あの世界観であと3本は話が作れるね。
そして、音楽が良い。サックス他木管楽器の暖かみのある音が異国情緒あふれる不思議なハーモニーを奏でるのです。この映画のサントラないのかしら。欲しい。
特に、ヘレナが囚われた後のシーン。ここが素敵。パペットたちの歌声がまた温もりと癒しを運んでくるようで、でもパペットたちは機械なんですよ。このアンバランスな映像と音楽の組み合わせがもう最高だよね。あの場面だけ繰り返し観てもいい。

疲れて荒んだ心に丁度良い映画だったかも。今日は幸せな気分で眠れそうだ。