記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

ターセム・シン監督「The Fall 落下の王国」

2013-05-27 20:04:38 | サ行
オチがよくわからない。

ターセム・シン監督「The Fall 落下の王国」。
特に目的もなくただ楽しむには良い映画だと思います。個人的には。

何がすごいって、衣装と舞台!ただただ美しい。もうそれだけで満足。
衣装は、昨年惜しまれつつ亡くなった石岡瑛子さんが手掛けたということで、色鮮やかで不思議な世界が
貴方を待っています。奇抜だけど美しい。

彼女を取られてやけになったスタントマンが無茶して入院して、同じく入院してる女の子に不思議なお話(といっても、自分が出演していた映画のストーリーを物語風にアレンジしたものっぽい。)を語り始めて…というのが本筋なんだけど、本筋はもうどうでもいいからとにかく物語の世界に入り込んでしまう。
物語の登場人物がフランス人だったりインド人だったりと、オリエンタルな世界観なんですよ。衣装も舞台もそんな感じ。世界24か国でロケを行ったんだって。世界遺産でもロケをしたんだって。とにかく力が入ってる。
女の子の名前がアレクサンドリアだからって、最初にアレキサンダー大王の話をするんだけどね、その舞台になってる砂漠がとにかく美しいの。真っ青な空と、砂漠の茶色と、でも地面は真っ白。このコントラストの美しさはまず類を見ないね。
それ以外にも、青い壁並みの街とかさ、砂漠の中に湖とか、なかなかこんなに美しい場所ばかり集めた映画ってないよ。
物語の主要人物の服の色が、赤・青・緑・黄色・白だったから、戦隊モノを連想してしまったのはここだけの秘密。

あとすごいなと思ったのが、女の子が大けがで手術を受けることになるんだけど、ティム・バートンちっくな気持ち悪くてでも目が離せない演出。

今日の蛇足は上記の内容に関して。
モルヒネで死のうとするのは別にかまわんが、女の子を利用して薬を盗ってこさせようとした時点で
あの主人公はクズだ。と私は考える。

スペンサー・サッサ-監督「メタルヘッド」

2013-05-19 15:52:25 | マ行
ヘッシャーはイケメン。

スペンサー・サッサ-監督「メタルヘッド」を観ました。
もちろんこれは邦題で、原題は「Hesher」。この映画の主人公の名前です。
主要登場人物は3人。ヘッシャーと、ヘッシャーに絡まれる男の子TJと、TJの父親。

このヘッシャーが癖のある奴なんだよ。ステージ上でギターをアンプに叩きつけて壊しちゃうタイプのロッカーなんだよ。
映画でも、車にガソリンぶっかけて放火、とか、パトカーにダイナマイト投げつける、とか、あんた過激すぎるよ!
そんな男に絡まれるかわいそうなTJ。TJも苛められっ子ぽい顔してるしねー。現にいじめっ子に絡まれてるしねー。(その絡み方も「俺のをしゃぶれよ!」とか「消臭剤食えよ!」とか斜め上な気がするのは私だけでしょうか。)

このTJの家っていうのが、自動車事故で母親を亡くして、TJはもちろんパパンも意気消沈。TJは行きたくもない被害者の会に連れて行かれ、おばあちゃん(このおばあちゃん可愛かった!)は家の中の暗ーい空気を何とかしたいけど何ともできず…。その空気をぶっ壊したのがヘッシャーなんだよな。
このヘッシャー、おばあちゃんには優しい。とても優しい。大麻(薬用)入り水煙草吸わせてたけど、散歩に付き合おうとしたり、おばあちゃんの世間話に付き合ったり。
いい奴なんだよ、ヘッシャーって。
映画のラストでとても心温まる話をヘッシャーがするんだけど、そのたとえに使ったのが「玉」と「竿」って!温まるものも温まらないよ!( ;∀;) イイハナシダナー…?ってなるよ!
あ、でも良い映画です。これは観た方が良いです。オチも大好きです。
「Hesher was HERE!」を「ヘッシャー、ここにありき!」って訳するのもいいなぁ。

いつもの蛇足。
ナタリー・ポートマンが出てますが、「ブラックスワン」の印象が強くて、金髪ちょいださ眼鏡のお姉ちゃんがナタリー・ポートマンと気づくのにちょっと時間がかかりました。
ヘッシャー役の兄ちゃんがイケメンだなぁと思ってググってみたら、この前観た「リンカーン」のリンカーンJr.(お兄ちゃんの方)じゃないですかやだー!気付かなかったぜ!

ジョナス・ペイト監督「精神科医ヘンリー・カーターの憂鬱」

2013-05-12 22:48:53 | ハ行
ジャケット観てコメディだと思ってた。

タイトル見て、「そりゃ精神科医だって憂鬱になることあるよねー」と思って借りたら、思ってたものと全然違う内容だった。
ベッタベタな展開だけど、私はストーリーの深読みとか制作の舞台裏とか監督の意図とかまったく気にせず単純に映画を観るタイプなので、純粋にイイハナシダナーで終わりましたよ。

主人公ヘンリーは、タイトルの通り精神科医なんだけれども、妻が自殺してから若干やけになってマリファナ漬けになってます。
そのヘンリーの元に患者がお悩み相談で押しかけるわけですよ。セックス依存症と言い張るおっさんとか、超潔癖症の凄腕プロデューサーとか、母を亡くした女子高生とか(←これ重要)
あとは、プロデューサーの弟?とか、ヘンリーの義理の弟とか、か?セレブ夫婦(離婚寸前)もいたな。
このセレブ夫婦の妻の方(サフロン・ブロウズ)が美人さんなんだよね。「ディープ・ブルー」は観たことあるな。

あとはもう予定調和で、皆さんが悩んでいるところがうまく補完されていって、最後はみんなハッピーエンド。
ラストシーンは、ヘンリーが(おそらく妻の死後使っていなかったであろう)ベッドに横になって、部屋の電気が消えて…という確かにチープかもしれんが妙に余韻の残る場面。ああいう演出嫌いじゃない。

「自殺は止めましょう」という監督からのメッセージだけは通じた。ヘンリーも女子高生も身近な人を自殺で亡くしてるんだな。
しかも、病気とか、何か問題があったというわけでもなさそうだし、死んだ理由は一切わからない、という。
母を亡くした女子高生の悲しみもさることながら、ヘンリーはショックだったろうて。そういう悩みの解消の手助けを生業にしてるのに、妻が理由なく自殺だもんな。
同じような悩みを抱えた相手だからこそ、お互いにお互いの気持ちが理解できたし、だから女子高生の思いも良い方向に向かっていったんだろう。

全体的に良い映画だと思う。理屈とかなんとかいらないからとにかく良い話を観たい人向け。


蛇足。
妊婦フェチはマニアックだからやめとけ。
妊婦の次に手を出すのが女子高生とか、ちょっとマニアックかな。

ジャスティン・カーゼル監督「スノータウン」

2013-05-06 22:56:30 | サ行
※これは実話です。

ジャスティン・カーゼル監督「スノータウン」。実話をもとにしたサスペンス映画です。
実際は男女12人を殺害したとんでもない事件だとか。

主人公の少年(青年)は気弱…なのかなぁ。気弱だからこそ悪ぶりたくなるお年頃なんだろう。
冒頭から町全体に漂う鬱屈とした空気。何の変化もないマンネリ感たっぷりの情景。
そこで性的虐待が発覚したもんだから大騒ぎ。物語の始まりはこんな感じ。

そんな中現れた一人の男。主人公の青年の母親の彼氏になっちゃった。
この彼氏がまた間違った正義感を持っちゃたというか、「相手は性的虐待するようなド変態の底辺なんだから何やってもいいだろう」となっちゃったわけで。
あんな暗い空気の街で欲求不満を晴らすとなれば、必然的に弱いところに向かっちゃうのも仕方ないのかなぁ、と。

それにしてもこの主人公。よく掘られる。最初性的虐待に遭うし、そのあと隣人(同居人?友人?)にまた掘られるし。ねじ伏せられて「お前はメスだ」なんて台詞BL漫画でも聞かないぞ。
そんな立ち位置だったから、母親の彼氏が殺人をしていると知っても、その「力」や「強さ」の部分に従ってしまったと見た。強さに憧れてたんだろう。たとえそれが間違った力の使い方だとしても。
それなりに見応えのある内容でしたので、サスペンス好きにはおススメしたい映画です。