記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

スティーブン・スピルバーグ監督「リンカーン」

2013-04-29 18:36:36 | ラ行
この映画の予告を、私は、ティム・バートンの「リンカーン」を観に行ったときに観た。

もう説明は不要ですよね。
主演男優賞おめでとうございます。

伝記ものは好きです。ダニエル・デイ=ルイスも好きです。だから観に行った。
わざわざ3時間かけて地元に戻って観てきたけれども、映画館で観れて良かったと思ってる。
ダニエル・デイ=ルイスの演技…迫力がありました。
役作りをとにかくしっかりやったというのは事前情報として仕入れていましたが(「リンカーンの声は高い」という記述を文献から見つけて、高めに話すようにした、とか)、実際当時の人が見ても本物と見分けがつかないんじゃないか、と思わせる役でした。
そして彼のアカデミー賞もあって若干話題の陰に隠れていますが、トミー・リー・ジョーンズが良いんですよ。
MIBの時から彼のファンですが、いやぁ良かった。彼の渋い演技って私は初めて観たかもしれない。

南北戦争の最中さてどうやって奴隷制を廃止しようか…リンカーン始め大臣たちは頭を悩ませます。
リンカーンはできるだけ汚いことをしたくない。というか、コミュニケーションで説得(納得)させるのを是とする人だったんでしょう。弁護士ってことからもそう感じました。
でも会話だけじゃ納得させられない、何かしらの策を講じなければならない時ってあるよね。
「信念」のために「信条」を曲げる(と私は思った)とでも言えばいいのか…最終目標=奴隷制の廃止のために、試行錯誤し、悩み…リーダーにも悩むことってあるんだなぁ。真に国のためを、国民のためを思い行動できる。こういう政治家が今もいれば世界はもうちょっと良くなるのかもしれない。

映画の展開から、息子というか長男ロバートがどうなったのか気になったので調べてみた。
ちゃんと従軍して、弁護士になって、政治家転身してんのね。(父ちゃんに従軍するな!と言われて親子喧嘩してたから…)
ついでに奥さんについても見てみたけど、この奥さんと今回の女優さんもそっくり。気合入ってたのはリンカーンだけじゃなかった。そりゃそうか。リンカーン暗殺後は精神病院で一生を終えたって書いてあったけど、この奥さんはもっと早い段階で入ってた方が良かったと思う。


蛇足
話の元ネタがフィクション・ノンフィクションのどちらであるかにかかわらず、俳優・女優としてその役に溶け込むのであれば、
それなりになりきる努力はやはり必要だと思いました。
役になりきる素振りさえ見せないばかりか、「この脚本は売れないと思いました」って言ってのけるのは言語道断だと思う。
個人的にはね。

M・ナイト・シャマラン監督「アンブレイカブル」

2013-04-21 09:08:42 | ア行
中二病をこじらせたとか思ってごめんなさい。

M・ナイト・シャマラン監督とブルース・ウィリスがタッグを組んだよ!
ジャンルはまたサスペンスだよ!という映画。
主人公(ブルース・ウィリス)は冴えないおっさん。嫁と一人の息子(ただし両方とぎくしゃくしてる)
冴えないおっさんが列車事故に巻き込まれたところから話が始まります。

ただ一人の生還者となった主人公のところにイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)からの招待状が届いたので、ある日イライジャの元を訪ねてみると…?というところで物語は動き出すのです。

今回非常にネタバレが多くなると思います。

まず、なぜ「中二病をこじらせた」と思ったのか。イライジャが漫画に対して熱すぎる思いを持っているからです。まるで修造のように。
「漫画はいつか起こる現実を表している」「それを世の中に伝えるために漫画はある」「どの文化も大切なことは“絵”で伝えてきた」というトンデモ理論(だと思ったんだって!)で主人公を混乱させる…しかもこのおっさん漫画に対しての思いが強すぎて若干どころかかなり周りに迷惑かけてんだぜ。この息子を誇りに思うって言ってのけた母ちゃんはすごいと思う。
最後の部分にはかなり共感するが。漫画って昔でいえば絵巻物だろ。きっと小説よりも伝わりやすいんじゃないかな。
で、イライジャは「鉄道事故でただ一人生き残ったお前はヒーローに違いない。」と言っちゃうわけですよ。こいつ漫画の読みすぎだろって思うよね?絶対思うよね?イライジャが病気持ちで日常生活を送るのも難しいという部分を考慮しても「こいつ…やばい」って思いますよね?主人公も当然そう思うわけですよ。そりゃそうだ。
主人公の持ってる能力はサイコメトリーに近いのかしらん。他人の意識が読み取れるという部分で。サイコメトリーに超筋力が備われば確かにヒーローになれるわな。
主人公サイドは、夢を断たれた(ことになってる)主人公は生きる目的を失いつつあってもやもや、奥さんはそんな旦那にもやもや、もやもやしてる父を見続けるハメになってもやもやする息子。息子は父親にヒーローでいてほしい。それは当然だろう。だからって「父ちゃん=ヒーロー説」を信じて父ちゃんに拳銃を向けたときはびっくりしたぜ!

紆余曲折あって、新たな能力(サイコメトリー)も開花して、「これは…!」と思った主人公、本当にヒーローになってしまいます。
息子大喜び。そりゃ今まで頼りない父ちゃんだったからな。実は「人を助ける力と優しさを持った頼もしい父ちゃん」だったとなれば、息子との関係もうまくいかないわけがない。主人公は、「家族との絆」と「自分への自信」を取り戻したのです。良かったね。最後のオチまで含めて良い話でしたね。オチの部分は次この映画を観る人のために言わないでおきます。
ただ自分は、オチまで観て、デビルマンを思い出しました。デビルマンは飛鳥より不動の方が好きです。悪魔だとシレーヌが好き。


今回の蛇足
サミュエル・L・ジャクソンは実際に漫画好きだそうです。これが最大のオチだと思いました。
Wikiに「好きな漫画は『ブラック・ラグーン』」と書いてあって、なんだか嬉しくなりました。
あと、時々、ジャン・レノとブルース・ウィリスの違いがわからなくなります。割とガチで。


全体的に無駄のない作り。監督の才能が光ってます。

梅津泰臣監督「A KITE」

2013-04-12 20:27:06 | ア行
にゃんこにポテチ食べさせちゃらめぇえええええええぇぇぇ!

「A KITE」…アニメ映画です。
どこからどう突っ込めばいいかわからないアニメ映画です。
ただ、私この映画嫌いじゃない。

音楽はとても良いです。ジャズっぽい。ずっとトランペットが鳴ってる。私好きよ、こういうの。
今敏が好きな人なら絶対好きです。今敏が攻殻作るとこんな感じ。
あと主人公の身元保証人(と書いて飼い主というかなんというか…)がタイプです。悪い事しか考えてない飄々としたちょっと小汚いおじさん。そしてスーツ。
ストーリーの作り方が面白い。47分でよくこんな濃いストーリーをまとめたものだ。

さてどこから突っ込もう。箇条書きで行こう。
・にゃんこにポテチ食わせる。
・主人公の飼い主は絶対ロリコン。JC(推定)のヌード。JC(推定)がヘブン状態。JK(推定)の事後。もう慣れきったJK。
・寝っ転がってトマト丸かじり。いやそれ汁垂れてくるよね!?でも全く汁の垂れないトマト。でも汁が飛ぶ。飛んで目に入る。
・主人公の彼氏の顔が…カンフーの彼にすごく似てる。顎とがってる。あれ何か既視感が…。
・服装のセンスが悪すぎる彼氏。

最後はとても面白かったね。うまくおちたね。予想できるオチではあったけど。「まぁ、そうなるよね」みたいな。
でも一番のオチは、これが元は18禁アニメだったってことと、実写化されるってことだな。
映画本編よりも、wikiの上記記述の方に驚きを隠せない。