記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

李相日監督「悪人」

2016-09-24 08:52:02 | ア行
2連続。

李相日監督「悪人」
フラガールは見たことあるからこっち。しずちゃん推し。

個人的には、泣かせにかかってくるのは「怒り」よりも「悪人」の方。妻夫木聡と深津絵里が全力で泣かせにかかってくる。
悪人も善人も絶対じゃないから、主観客観入り乱れる中で「誰が悪いのか」「誰も悪くなかったのか」判断するのは自分でしかないんだろうなー、なんて。
フィクションだからってこともありますがね、あの女の子は死んでも文句言えないと思うし男を見る目なさすぎだよ。

愛とか恋とかって、どこでどうなるか一番わからない感情だと思うから、出会い系をきっかけに一回抱いた(抱かれた)だけの相手を一生かけて愛することになることもなくはないと思うよ。だから急展開だなとか「何で?」とかは思わなかった。一緒に観た母はちょっと腑に落ちなかったみたいだが。
若干、吊り橋効果があったんじゃないか、とは思わなくもない。
短時間だったけど、命を懸けて愛した、んだと思う。思うよ。そう感じた。でも愛だけじゃ生きていけない。伸ばしたけど届かなかった指先。
観てると心がひりひりする。切なさと愛しさが混ざり合って、こんなに人を愛することがつらいなら、もう誰も好きにはなりたくはない。
好きになってしまった。愛してしまった。

被害者サイドと加害者サイドで話を切り分けて考えるとわかりやすいのかな。こういった話って、被害者と加害者の話になりそうだけど、被害者には被害者の、加害者には加害者の話があった。
お父ちゃんが犯人ではなく、あの大学生に対して苛立ちをぶつけたのは、少なくともあの時点では犯人がわかっていなかったから?娘は楽しそうに話をしていたのに、奴は全く気にしなかったから?まぁ、欠片も悲しんだり、哀悼の意を…みたいなこともなかったみたいだし、完全に保身に走ってましたし、家は金持ちらしいし。人の死を笑える人は気持ち悪いから、相応の目に合わされて「ざまぁw」とは思った。

感想書きにくいなー。うーん。うまく自分の気持ちを伝えられない。
フィクションだけど、なんだけど、祐一がちゃんと罪を償って、光代のそばに帰ってくることを願うよ。
その手は首を絞めるためにあるんじゃない。つないで、触れるためにあるんだから。


蛇足
ベッドシーン長くないすか。あと李監督、妻夫木聡にベッドシーンさせるの好きですか。



李相日監督「怒り」

2016-09-19 21:18:20 | ア行
いやぁ邦画っていいものですね。

李相日監督「怒り」
今公開中で大ヒット満員御礼中の映画の感想を書くのは主義に反するが、どうしても書きたいから書く。
衝撃が多きすぎて自分でも与えられた情報の処理が追いついていない。ネタバレしない自信もない。

最初は優馬(妻夫木聡)と直人(綾野剛)のベッドシーンを見たいからという理由だったけど、そんな生温い気持ちで行ったせいもあってか脳みそをぶん殴られて帰ってきた感じがある。
「信じる」ってなんだろう。私も相方に対して「信じてる」「愛してる」って言うけど、それがどこまで本気なんだろう。わからなくなる。
原作を読んでいないから、推測の域を離れていない部分もあるけど許してほしい、って念押ししておく。

最初から田中が犯人っていうヒントはあったらしい、が、気付かんがな。ただ、東京編と千葉編は今考えるとあからさまに怪しい部分がはっきりと出されているんですよね。沖縄編だけがあいまいにされているし、田代くんと直人は疑われるんだけど、田中は疑われないんだよね。前者二人は行方をくらますけど、田中はさらに日常に入り込んでくる。
信頼度合としては、千葉組(愛子と田代くん)>東京組(優馬と直人)>沖縄組(田中)のように感じる。田代くんは疑われて一度離れたけど、きっとどこかで信じたいという気持ちがあったから、最後に電話をかけてきたんだろう。田代くんと直人の違いはたぶんそこで、優馬と直人はそこから一歩踏み出せなかった。最後の最後で、信じきれなかったんだと思う。

沖縄組は「信じる」ではなく、泉も辰哉も田中に対しては「憧れ」だったんだと思うのよね。もちろんそこは田中の能力(「俺わかるんだよね、こいつは俺を簡単に信じるって奴が」みたいなことを言ってたし)のせいもあったんだろうが、信じるというより依存してたんではないかと。裏切られたと感じた時に、「怒り」に向くのか「悲しみ」に向くのか、そこが違うんだと思う。専門家ではないのでうまくは伝えられない。某死神漫画の某眼鏡が「憧れは理解からもっとも遠い感情だよ」と言っていたが、沖縄組はその言葉がしっくりくる気がする。

東京組はネウロの弥子ちゃんの言葉を思い出した。今コミックスが手元にないのでうろ覚えだが、人の関係は磁石のようなもので、大切な人ほど失った時にごっそりと自分を持って行ってしまう、といった趣旨だと思う。優馬と直人の関係は、出会いこそいびつだったのかもしれないが(なんせ優馬ったら直人のこと無理矢理襲ってましたからね)、二人の絆が強まっていく描写を散々見せられて魅せられた上で、あのラストはつらい。優馬にとって、最初は、直人はたくさんある自分のものの一つにしか過ぎなかったと思うよ。それが、直人と生活を共にするようになって、直人のことを考え始めて、おそらく今まで自分が大切だと思っていたものと直人とを比較して、直人を優先させたんだろう。そして残った大切なもの=直人を失ったときの優馬の心中たるや。どうしても自分に置き換えてしまって、自分が相方を失ったら?ということを考えてしまって、胸が詰まる。
世間慣れしてなさそうだし、自分の命が残り少ないってこともわかってただろうし、優馬に魅かれてしまって大切な唯一のもの=優馬だったと思うのよね。その優馬に少しでも疑われたら…?直人が失った大切なものというのは、優馬だったのか、優馬からの信頼だったのか。それにしても直人マジ天使。
「一緒には無理かもしれないけど…隣なら、いいよね」って直人お前それが最後の台詞って泣かせに来てるだろ!たぶん一生忘れない台詞。

千葉組がおそらく一番ピュア。純粋。信じてたから確かめたかったのか…どうして通報したのかはまだわからないけれど、それでも信じたい。裏切ってしまったのは受け入れた槇親子の方で、田代くんはそれをまた信じたんだ。信じるって、本当に難しい。
渡辺謙も松ケンもそうだが、宮﨑あおいの演技力が半端ない。これが本当に宮﨑あおいなのか?って思う。

前評判でいろいろ仕入れていたこともあり、感想の量からもお分かりかとは思いますが、東京組への思い入れがすごいです。やばいですあのカップル超好みです。優馬も直人も可哀想で胸が詰まります。
もちろんベッドシーンも良かったというか、出会い頭のシーンが完全に挿入済って感じで吐息とか喘ぎとか直人の声出さないようにしてるであろう感じとか優馬の色黒細マッチョとか鼻血通り越して吐血します。血を吐きます。直人マジ天使。
私がここで長々と感想書くよりTwitter等々で感想探したほうがこれは早いと思う。

もう一度見返すには度胸がいるが、もう一度見たい。映画が終わってからしばらく動けなかった。信じるってなんだろう。怒りって何なんだろう。

デヴィット・エアー監督「スーサイド・スクワット」

2016-09-14 21:04:08 | サ行
ハーレイクインちゃんを愛でるための映画。

デヴィット・エアー監督「スーサイド・スクワット」
ハーレイクイン可愛いの一念だけで観に行った。エンチャントレスも確かに良かった。カタナは女子力(色っぽさ的な意味で)を磨いてから出直してこい。

じゃなくて。

悪党がどんな悪党を倒すんだよ、と思いつつ、悪党なんだから暴走するだろこれ、と思ってたら本当に暴走というか簡単に悪堕ちしましたね。誰がとは言わないけれど。
ディアブロさん何者だったんですかね。普通に人外語使ってボスとコミュニケーション取ってましたね。
一人だけ明らかに人外だったんですけど、魔女らしいんですけど、魔法(物理)って感じでしたね。普通に刀持ってカタナと斬り合ってましたね。魔女というのであればイデアみたいに氷飛ばしたり、ワルプルギスの夜みたいに明らかに人外っぽい登場したり、呪いかけたり蛇出したりしてほしかったですよね。
あといまだにカタナの存在意義がわからない。
ジョーカーは、今回のジョーカーが悪いとは言わないが、ヒース・レジャーのイメージが強すぎて、今作のジョーカーは「悪」というより「小悪党」という感じ。そして思ったより登場時間少ない。お前何もしないのかよ。ハーレイクイン助けに来ただけかよ。
今回は、誰が何といおうと、ハーレイクインのお尻が良いです。戦闘が激しくなるにつれて崩れていく化粧が良いです。メイク崩れた後のハーレイクインちゃん超可愛いぜ。
原作アメコミ知らなくても楽しかったけど、ノリに一旦ついていけなくなると急につまらなくなってしまうタイプの映画な気がする。

蛇足
一人わかりやすく死亡フラグおったてて勝手に死んでった人がいたのでとても面白か…かわいそうだなと思いました。
あと絶対大佐と彼女のベッドシーンあると踏んでたんですけどなかったのでとても良かったと思います。

本木克英監督「超高速参勤交代リターンズ」

2016-09-14 09:09:41 | タ行
前作観てない。

本木克英監督「超高速参勤交代リターンズ」
「前作わからなくても大丈夫だから!」という家族の言葉に押し負けて観に行った。前作ストーリーは待ち時間にWikiで補完。
きっと前作は「無茶をどうやって乗り切ろう」という話だったんだろうけど、今作はそれよりも攻城戦というか…戦い多くね?湯長谷藩の皆様、主人公補正がかかってるんだと思うんだけど、強くね?7人対1,000人ってどんな「300」だよ。
どうでもいいけどいまだに「300」のスパルタ王と「オペラ座の怪人」映画版のファントムが同一人物の役だというのが信じられない。

台詞は訛り&大声で聞き取りにくい部分もあるけど、そこは展開で補いつつ。時代劇っぽい最後に正義が勝つ感じの話。というか、あの悪代官やることなすことみえみえすぎて隠れて悪事を働くつもりとかたぶん欠片もないよね。
独身最後の砦とも言われているらしい佐々木蔵之介の袴姿というか和装が全体的に美味しい。あと寺脇康文がイケメンというかイケてるおじさん。

ちょこちょこ笑いを取りに来る映画なのでサクッと構えず笑いたい人にはいいかもしれない。