記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

ピトフ監督「ヴィドック」

2013-06-30 19:54:03 | ア行
全編フランス語\(^o^)/この前はスペイン語だったなぁ。

ピトフ監督「ヴィドック」を観ました。
前回の「パンズ・ラビリンス」に引き続きダークな世界観の映画。革命前夜のフランスかな?
世の中が不安定で、破裂寸前の風船のようになっているその時、奴は現れた!
「その鏡に顔が映った者は、殺される」鏡の面を被った殺人犯と、それを追いかける探偵ヴィドック。
この事件の結末は?そして犯人の正体とは?
こんな映画です。


アクションがぬるぬるしてる。良い意味で。平成ライダーに近いものを感じた。
バク転とかもういろいろとぬるんぬるんしてた。
90分にいろいろと詰まってた盛りだくさんの映画。もう少し長くても良かったんじゃないかな。
黒魔術的なやつとか、錬金術的なやつとか、気になる部分が映画の中にちらほらとあったんだよ。
そこもうちょっと観たかった!観たかったんだよ!
あと、このヴィドック、実在した探偵ということで、先進的な捜査方法を確立したり、パリ捜査局の前身となる組織を作ったりと、すごい人らしい。
『レ・ミゼラブル』の主人公2人、ジャン・ヴァルジャンとジャヴァールのモデルにもなったとか。

本日の蛇足。
作品の中では、5人殺されるんだけれども、そのうち3人は死んで当然というか、鏡の男GJ。

ギルモロ・デル・トロ監督「パンズ・ラビリンス」

2013-06-24 20:03:32 | ハ行
全編スペイン語!困った\(^o^)/

ギルモロ・デル・トロ監督「パンズ・ラビリンス」。
「大人のダークファンタジー」ということでしたが、まさにその通り。
見応えのあるファンタジーでした。

舞台は第二次世界大戦最中のスペイン。レジスタンスと軍の衝突最前線に行くことになった主人公オフェリア。
読書大好きな夢見る少女。でも大人の手のひらくらいの大きさがあるバッタみたいな虫を見て、「妖精がいたの!」というのはフィルターかかりすぎだと思うぞ。

最前線の基地の隣に遺跡があって、その遺跡に魅かれるように入っていって、そこで出会った山の神パンがオフェリアに告げた衝撃の事実とは…!と、ここまでがプロローグ。

あとはお決まりの冒険なんだけど、常に異世界にいるような感じじゃなくて、現実と異世界が錯綜しながら物語は進んでいきます。
もしかしたらオフェリアの想像の世界なのかもしれない。オフェリアにとって現実はそれほど辛いものだったんですよ本当に。義理のパパンは冷たいし(息子age娘sageのがっちがちの軍人)、頼れる存在であるはずのママンは臨月で苦しんでるし、オフェリアに優しいメルセデスは軍の基地で働きつつレジスタンスの手助けをするというギリギリ綱渡り状態だし。
最後はハッピーエンド、なんだろうな。ぶっちゃけオフェリアは死んじゃうんですが(超ネタバレ!)、あのラストはあのストーリー的にあれしか考えられない。輪廻転生、ブッディズム的な雰囲気すらある。
彼女、オフェリアを待ち受ける未来を考えると、あの展開が彼女にとっても最善だったのではないか、とすら思える。そんな展開だった。
この映画は映画館で観たかったなぁ。


蛇足。長いよ!
“ダーク”ってつくぐらいだから、若干気持ち悪い表現があったりするんだけど、それよりもこの映画観てて痛いシーンが多い。
怖いのも嫌いだが痛いシーンもダメなんだよ。痛みを想像しちゃう。
治療のためとはいえ足を鋸で切るわ、頬をナイフで切られて口裂け状態になるわ。そしてその口を自分で縫うんだぜ!痛い痛い痛い!
口を縫った後お酒を飲んで痛みで顔をしかめてたけど、そりゃ痛いだろ!絶対痛いって!見てて「ふえぇ…」ってなったわ!

この映画はまた観たい。

ウェス・アンダーソン監督「ダージリン急行」

2013-06-15 22:41:58 | タ行
いやぁ良い映画だった(つい最近同じことを言った気がする。)

ウェス・アンダーソン監督「ダージリン急行」を観ました。
前観てた海外ドラマの予告編でしょっちゅう見かけた映画だったので、気になってはいた。
休みの日にゆったり観るのに良い映画。観終わった後すごくリラックスする。

主人公は3人。男ばっかり3兄弟。次男が一番タイプ。
自分が一番長男、優柔不断気味の次男、輪をかけて優柔不断気味の三男。
まぁ最後は皆ハッピーエンドで終わりそうだから良かったんじゃないかな?

長男が「兄弟の絆を取り戻すため云々+母さんに会う(ヒマラヤで修道女になった)」と言って弟たちを誘ってインド旅行に行くわけですよ。
その時に乗ったのが「ダージリン急行」。問題行動起こしまくって途中で降ろされてたけどね。
物語の進み方もいいけど、インドの風景がもう素敵でたまらない!寺院に荒野に町や村。インドって色彩鮮やかだよね。バスやタクシーの中も花のような模様がいたるところにペイントされてるし、女性たちの身に着けるサリーの色鮮やかなこと!きれいだったなぁ。

そして実は「良い映画だった!」以外にあまり書くことがない!
大事件が起こったり、アクションがあったりするような映画でもないし。
良かったなぁ。ただただ、この映画を観て、良かったなぁ。



ニール・ラビュート監督「ウィッカーマン」

2013-06-10 21:06:25 | ア行
そういやこんな名前の悪魔がメガテンにいたなぁ。なんて理由で借りてくるんじゃなかった。


もう観たくない、と思う映画にもいろいろありますが、そのうちの一つが「後味が悪い」。
最近ハッピーエンドかそこそこハッピーエンドの映画しか観てなかったから余計にきつい。

というわけで、後味悪し。そういう映画が好きな人にはお勧め。
虫が嫌いな人には逆におすすめしない。
主人公(ニコラス・ケイジだって!豪華!!)の元に届く元カノからの手紙。主人公を襲う幻覚。そもそも婚約までしてたのにふらっといなくなった彼女の願いを聞こうとするなよ。
で、まぁ、彼女からヘルプがあったので、彼女が今住んでいる島(超閉鎖的!)に単身向かいます。向かった先で彼を待っていたのは…!的な話。

どうもこの島。力関係が完全に女>男となっているようで。男は力仕事か、種馬としての役割しか求められていませんでした。小学校で、先生の「男性とは?」の問いに対して、子供たちが「男根です!」って答えるからね!びっくりしたわー。
なんとなく、薄々、オチを考えてはいた。まさかそれはあるまいという最悪の展開まで考えた上で、「新たな種馬」として呼ばれたと思ってましたが最悪の展開に転んだ。最終的には自分の娘に殺されるっておまけつきで。
夢見が悪くなりそうなオチの映画も何回か観てきましたが、これはカルト・ムービーというだけあって鬱展開だった。
ちなみに、ぱっと思いつく「鬱展開・鬱ラスト」の映画は、「セブン」と「ムカデ人間」。
他にもあったと思うけど、この2本は印象に残ってる。特に後者。

本日の蛇足。
ロリータ双子は可愛いけど(翠星石と蒼星石みたいな)、ロリータを着た双子のばあさんは恐怖の対象でしかない。

ニール・バーガー監督「幻影師アイゼンハイム」

2013-06-02 09:50:10 | カ行
いやぁ良い映画だった。

ニール・バーガー監督「幻影師アイゼンハイム」を観ました。
実は映画を観始めてからずっと気になっていた映画ではあった。今回やっと観た。
いやぁ良い映画だった(2回目)

ストーリーとしてはありがちな「身分違いの恋」がテーマ。主人公アイゼンハイムの恋人はなんと公爵令嬢!(その後皇太子の婚約者候補として再登場するので、けっこうなご身分の方である。)公爵令嬢の方も主人公に惚れちゃってるので、そこは別に問題はないんですが、令嬢と家具職人の息子じゃ周りが賛成するわけもなく。
この主人公、おそらく家具つくりとか装飾には長けてたんでしょうね。手先の器用さ等々を生かして奇術師(幻影師と名乗ってるけど)として有名になり、そして何年か後、彼女と再会しちゃうわけですよー。後はお決まりの密会コース的な。
主人公と令嬢の恋物語もさることながら、ここはあえて警部に注目したい。上司(皇太子)からは「主人公を逮捕しろ」とせっつかれ、でも主人公のことをある種友人のようなものと考えているわけです。でも皇太子に忠誠を誓ってるし。主人公の事はなんとか逮捕しない方向でいきたいし。ザ・板挟み。やっぱりありがちだけど上司はくそだった。

ところでですね、物語の冒頭(若き主人公と令嬢が密会しているシーン)で、令嬢が主人公に「私たちを消してしまって」とお願いするんです。
この時は、2人は無情にも()引き離されてしまうんですが、再会後、ちゃんと消えます。
あまり後腐れのない方法で消えます。
いやこの過程が面白いんだわ。私はまんまと騙されましたわ。最後の警部の笑顔が全てを物語ってるよね。皇太子が頭をパーン\(^o^)/したのは予想外だったんでしょうが。
いやぁ良い映画だった(3回目)

読後感の非常に良い小説を読み終わった気分になります。素晴らしかった。
なぜこんな映画が日本では流行らない。あでも流行ったら流行ったでちょっと悔しい。
ちなみにアメリカでは、最初50館くらいの映画館でしか上映されなかったらしいんですが、あまりの人気に上映館数もぐっと増えたとかなんとか。


いつもの蛇足は特にない。
あえて言えば上司(皇太子)はくそだった(2回目)
あ、そうそう。この映画あまりBGMが目立たないです。その代り、床のきしむ音とか、馬の駆けていく音とか、効果音が良く聴こえたような気がします。その点も非常に良いと思いました。