記憶の場所

観た映画の感想をつれづれなるままに書き連ねるブログ。週1~2本、たまに映画館。

マーティン・マクドナー監督「セブン・サイコパス」

2015-05-30 22:39:00 | サ行
悪くない、うん、悪くない。

マーティン・マクドナー監督「セブン・サイコパス」
主人公の脚本家マーティン(コリン・ファレル)が締め切りすぎてるってのに原稿上がってなくて、書いてる原稿「セブン・サイコパス」を完成させるために頑張るんだけど、全く進まないから友人ビリーが新聞に「サイコパス募集」って広告出したりなんだりどたばた…

ってか広告を読んできたサイコパス一人だけだし!マーティンの周りそもそもサイコパスだらけだったし!
犬のためなら何でもしちゃうっていうマフィアのボスが一番まともだった。
サイコパスっていうからもうちょっとぐちょぐちょのべちゃべちゃになったりするのを想像してたけど、みんな理由が異常なだけで銃しか出てこない。いや、別に、ぐちょぐちょ肉の塊とかを期待していたわけじゃないんだけどね?
「サイコパス」って題名に入ってる割には結構泣かせてくる感じ。ハンスの物語とかたぶん心が弱ってる時に見ると泣いちゃう。

でもこれ、厳密にいうと絶対アクションじゃないのよ。少なくともアクション棚にあっちゃだめよ。アクションのファンに怒られる。
wiki見たら案の定「クライムコメディ」って書いてあって、そっちの方がまだ納得する。
これがイギリス人の考えるコメディなのね…。アメリカンだとたぶんもっとこうドタバタハチャメチャ劇をやる。絶対にやる。

普通に面白くて普通に楽しんでしまったのであまり書くことがないんですが、でも見て損はしない感じ。
そういう意味で突っ込みどころも特になかったりする。

ジム・マイクル監督「肉」

2015-05-03 21:11:54 | ナ行
謎の感動。

ジム・マイクル監督「肉」
新宿の映画館でポスターを見かけてからずっと観たかった映画。絶対に地元じゃやらないからね。
ちなみに前回「スノーピアサー」を見て、今回「カニバル」と一緒に借りてこようとしたから、そろそろビデオ屋の店員に趣味を疑われるような気がする。

グロ描写が多いのかなと思ったらそうでもなく。重大な役目を担うことになった姉妹の葛藤やら悩みやら日常が崩れていく様子やら(いや、そもそも崩れてたか)が描き出されていて、これが面白い。
今まで積み重なっていたものが(文字通り)溢れ出してあらわになって、そこからの狂気の奔流が素晴らしいと思いました。

伝統を粛々と受け入れてきた一族ってのもすごいけど、それを誰も変えようとしなかった、逃げ出そうとしなかったってのもまぁアレだけど、洪水の件や人骨が現れた件やそういう諸々も含めて、変わるときに来てたんだろうな。

ネタバレになるのはわかるけど、あのクライマックス。
実の父親を貪り食うという、狂気あふれるシーンではあるけれども、美人姉妹ということもあって非常にエロティシズムに溢れる魅せられるシーン。こうやって命は受け継がれていくのですね…(違)
あの姉妹にとって、一族の伝統=自分たちの運命=父だったのではないかと思うのですよ。見えない何かをすべて具現化していたのが父だった、と。それを食らうというのは、運命を受け入れるという面もあり、食らうことで力関係を示す、つまり、運命よりも自分たちの方が強いのだと示す意図もあったのではないかと考える次第。食らうことで運命を文字通り食い破り、そこから脱出した、と思いたいです。そうすると綺麗なハッピーエンド。

でもきっとあの姉妹は土地を離れても人肉食を続けると思うな。人肉の魔力に憑りつかれたからのあのクライマックスだと思えなくもない。
父と違うのは、それでもまだ罪悪感(=髪飾り)が残っていること、なんだが…まぁなぁ。
あのラストは、「パフューム」を思い出した。全ては愛。愛のなせる業。


蛇足というかなんというか。最近エロネタが続いててなんだけれども。
彼氏とちょっといい空気→青姦、かーらーのー、父登場!それこそ発狂してもおかしくないレベルだと思う。
唐突なエロシーンにげんなりしてたから展開に大爆笑したけど。