砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

私の頭の中の江戸川コナン

2020-06-15 00:29:25 | 日本の音楽
順調にブログ更新が滞っています。
一応言い訳をしておくと、書こうと思っているネタはいくつかあるんです。Radioheadとかブラジル音楽、あるいは東畑開人氏の『居るのはつらいよ』や最近読んでいた『オデュッセイア』とか。でもまだ自分のなかで納得がいかない中途半端な出来になっていて、公開は先になりそうです。
賢明な読者の皆様は「ブログなんてお金が入ってくるわけじゃないんだし、気軽に書けばいいじゃん」って思いますよね。私もそう思います。しかしそれが妥協できない。自分が凝り性だからなのかな。損な性格、ゴミみたい。



さて、恒例の自虐ネタ(?)も済んだので本題へ。今日の表題は頭の中の「江戸川コナン」です。
これはどういうことかというと。自分のなかで「まぁそういうもんか」「しょうがないよね」と思うことがあったとします。例えば居酒屋に行って、店員がとても忙しそうにしていて、麻婆春雨を頼んだのに麻婆豆腐を持ってきたとき、あるいはハヤシライスを頼んだのにカレーライスが出てきたとき、ハイボールを頼んだのに瓶ビールが出てきたとき。みなさんはどうしますか?キレますか?ビール瓶で殴りますか?高等裁判所に訴えて出ますか?


私だったら「まぁそれでいいか」「忙しそうだもんね」と思っちゃうのです。
心の底からそう思えるかは別として、そう考えるように努力をします。しょうがないよね、別にそれで自分がそんなに困るわけじゃないもんね、店員にだって事情があるもんね、今自分が声をかけたら迷惑かも...。

そこに颯爽と登場するのが頭の中の「江戸川コナン」です、バーロォ。
彼は少しでも不自然な点があると「あれれ~?」と言いながら世の中の疑問や不条理を問うていきます。それに対して頭の中の毛利小五郎が「ガキはすっこんでろ!」とか、服部平次が「せやかて工藤…!!」と反論するのですが、コナン君の意見は正鵠を射ている。

「店員さんが忙しくても、お金を払ったんだったらカレーを頼んだことは言ってもいいんじゃない?」とか「おじさんはカレーを食べたかったから注文したんじゃないの?」「春雨と豆腐だと全然違うけど、それでいいの?」「ハイボールと瓶ビールは響きが似てるしどっちも5文字だけど、全然違うよ?頭大丈夫?」とか。そういう高山みなみの声が聞こえてくるのです。
コナン君の問いかけはぶっちゃけイライラします。そういう葛藤がない方が楽なのです。諦めた方が、しょうがないと考える方が楽なのです、それが正しいがどうかは別として。


でも当然、自分が大事にされていないことへの憤りもあって。
怒鳴ったり瓶ビールで殴ったり、まして高等裁判所に行ったりするのも違う気がするけれど(まずは地方裁判所!)言うことはちゃんと言わないとね、と思うわけです。そういうことを、この年にしてようやく気付けてきた気がします。サンキューコナン。サンキュー高山みなみ。サンキューバーロー。
おかしいなと思うことをおかしいと言うことは―それが店員でも上司でも政治家でも家族でも―大事だよね。世の中には「怒りをコントロールする」という本がたくさん出回っているわけだけど、怒りってそんなに簡単にコントロールできないです。どうしたってそれぞれに趣味嗜好、考え方や自分自身があって。そういう自分を大事にしてほしくて。でもそれが大事にされないとき、憤るのは当たり前のことです。生きるために怒るわけです。それが必要じゃなかったら、こんな厄介な感情は備わってないと思う。


crystal-z Sai no Kawara


そんなわけで今日は最後にこの曲、crystal-z氏の「Sai no Kawara」を。
すごくいい歌詞、すごくいい曲、泣けるリリック。そんなわけで聞き起こした歌詞を下に記載しています、間違えてたらすみません。
正直、聴いていてめちゃくちゃ悔しくなる。自分は当事者じゃないけど、すごく悔しくなる。腹が立つ。
ぜひ最後まで耳を傾けてください。


あの頃はクルーもまだ活発で セルフパッケージのシングル自主で出して
出したら速攻でオンエアされて 日に日に感じた両手に確かな手応えを
でもそれぞれにそれぞれの家族が増えた
幸せな家庭 別の道歩きだし
定職と制作 終わる共同生活
シェアハウス解約してクルーは解散した
もうない行先も 機材も意味ない
ためたBeats and Rhymesじゃ 腹は満たされない
32歳 あてのないほの暗い未来
その先に光当てんのは自分次第
目指してみようか 医学の道へ
それはいばらの道へ だけど欲しいのは日々 
何かに打ち込めるゆるぎない意思
俺が生きている この命の意味

そのころのバイト先の塾には辞表
最後のお別れは英語の授業でかけた”i used to love H E R”
和訳したプリント 配ったらめちゃくちゃに怒った塾長
毎月御茶ノ水で受けるテスト 塗り変えていく先月の自己ベスト
進む今日も明日も明後日も日々前に
知識蓄えた 寿命と引き換えに
開館から閉館 図書館の最上階
毎晩救われた彼女の晩御飯
なまった頭のバンドマンもなんとか
青から赤に変わっていったチャートが
Daydream Believer そう呼ばれるのを聞いた
でも研がれた牙 携えて前進した
怠け者の俺はもう死んだ
矢のように時は過ぎ迎えた 初めてのWinter

順調じゃなくていいから
天才じゃなくていいから
堂々巡り 巡り
繰り返し 東京 偉大なこの街
順調じゃなくていいから
天才じゃなくていいから
堂々巡り 巡り
繰り返し 東京じゃ春は来ないし

悪くない手応え ゴールはもう目の前
高校の頃の点も抜いた センター試験
だけど前だけを見て 次の壁は別次元
そして今の俺の持てるすべて出した二次試験
だけど まったく結果は出ず
目標の東京の学校は全部
その年も その次の年も全滅
ペーパーができても 越えられない面接
模試の結果はいつもA判定 でも合格発表では「え、なんで?」
年齢のハンデ 夢にさえ思わねえ ゴールテープごとずらされるなんて
東京にこだわれば確実に落ちる 地方を受ければ彼女とは離れる
身も心も引き裂く 究極の選択
俺は後者を選んで飛行機に乗り込んだ

合格発表のページにはついに 俺の番号があった間違いじゃない
シャワー浴びてた彼女にプロポーズをして
びしょ濡れのまま 泣きながら抱き合った
友達に両親 そしてこの街に
愛すべき人たちと 過ごせた日々に
遠くてもたまに 来てよ遊びに
感謝を残し 訪れた旅立ちへ

順調じゃなくていいから
天才じゃなくていいから
堂々巡り 巡り
繰り返し 東京 偉大なこの街
順調じゃなくていいから
天才じゃなくていいから
堂々巡り 巡り
繰り返し 東京じゃ春は来ないし

再の河原...




余談
この方は大学のサークルの先輩でした。自分はサークルに2つ入っていたのもあって、そんなに交流があったわけではないけれど。
でもすごく印象に残っている記憶があって。緊張しながら初めて部室に行ったとき、当時部長のcrystal-z氏にナンバーガールが好きですと言ったら「へーナンバガ好きなんだ、超いいじゃん!」と言ってくれて。それがすごく嬉しかったし、いい人なんだなと思ったのです。自分は高校の時からナンバーガールが好きだったけど、周りには趣味が合う人がほとんどいなくて。だからこそ「超いいじゃん!」と言ってくれた先輩がとても頼もしく、嬉しく思えたのでした。
そのあとは、合宿所の階段で布団滑らせたり他サークルも交えた音楽祭で寸劇をしたり、変な人だなと思ったけど(笑)先輩が4年生の時にライブでやっていたブッチャーズは、あのJack Nicolsonはものすごく格好良かった。なにより、他人の趣味嗜好をすっと認めてくれる姿勢がすごくいいなと思いました(小並感)。


あの一言が無かったら入部しなかった、とまでは言いません。でも私にとってはすごくあこがれの人だった。一緒にバンドを組んだこともないし、絡んだことは少なかったけれど、あこがれの人だった。そういう人が―複雑な事情、壮絶な思いがあってのことだけれど―今回また音楽を作ってくれたことが嬉しい、とも思うわけです。私は今このブログを書きながら泣いています、何故かはわかりません。何故でしょうね。


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1 コメント

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Unknown (nao)
2020-06-16 13:43:00
sai no さんの音楽を勿論初めてお聴きしました!私は音楽には詳しくないのですが、イントロはエレクトロニカ?と思い聴き始めましたら、ラップ系?のゆったりとした感じでした!・・・・直後にradioheadのライブ映像が流れトムのデイドリーミングに心が切り替わりました(笑)最近はアトムスフォーピースのトムのピアノバージョンをよく聴いてます。中でもIngenuは心が
洗われます!!
トムのtomorrow modern boxのguess again(違うよ考えてみてよ)は最高です。
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