伊万里から唐津街道と称される国道204号を北上し、伊万里湾に浮かぶ、福島へ向かいました。
佐賀県波多津町から福島大橋を渡り、長崎県松浦市福島町の福島に入りました。
島の北西端の初崎を目指します。
初崎のヤブツバキ群生地は4万本以上のスケールを誇るツバキの名所です。
島の道をはしり続けると、海へ落ち込む斜面に棚田が広がっていました。
駐車スペースには「日本の棚田百選認定」といった文字と一緒に、夕陽に染まる見事な棚田の写真が掲げられていました。
畦道に2600本の灯籠に火を灯す、土田(どや)棚田の火祭りが毎年9月に催されるそうです。
棚田を過ぎ、初崎入口の鍋串に差し掛かった辺りで、道路右に小さな祠と、掲示物を見かけました。
祠の横に四角い板石で囲まれた小さな石塔があります。
石塔の横に表示板があって、
「寺山団助の墓
松浦党の一族、志佐純意(すみもと)の重臣で、福島の押役として鍋串に居城していた寺山団助は、文武に優れた武将として住民からも慕われていた。
天正17年(1589)7月10日、ざん言を信じた志佐純意は、討手を差向けて寺山を急襲した。
団助は父とともに応戦したが、無念の最期をとげ、一族は滅亡した。」とありました。
1589年といえば、秀吉が天下統一を成し遂げた頃のことです。
つい最近まで、船でしか渡れなかった小さな島の、数百年前の一武将の話が、こうして市指定史跡として伝わることに驚きました。
この島の時の流れは、人間の坩堝となる東京などとは明らかに異なる様です。
鍋串から初崎へ伸びる半島の先に初崎公園があります。
椿の群生地の中に、海岸へ向かう散策路が設けられていました
岬の先に立つと、静かな入り江に、岬や島々が折り重なっていました。
初崎公園の展望台に上ってみました。
展望台の足元に、赤い花を付けた椿が枝を広げていました。
そんな時、一人の男性が展望台へ上って来て、
「東京からですか?」と声を掛けられました。
この地(松浦市福島町鍋串)にお住まいの、御歳73歳の磯部さんです。
私の車の「練馬」ナンバーを見て、後を追ってきたのだそうです。
私は磯部さんのご自宅に、お招き頂きました。
下の写真は、磯部さんご自宅のベランダからの眺望です。
磯部さんは奥様と二人、伊万里湾を見下ろ家で、悠々自適の生活を過ごされているそうです。
磯部さんは東京練馬区の日大芸術学部を卒業され、最後は博多で事業を営まれましたが、バブルが弾け、この地に移り住むことになったそうです。
別荘の斜面をツワブキの群落が取り囲んでいました。
新緑の頃にその葉を摘んで、おひたしで食べるのが楽しみと仰っていました。
眼下の海は魚も豊富で、山海の味覚に溢れた、素敵なお暮しのご様子でした。
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