2月12日
夜分に降り出した雨は朝方までに上がっていました。
車をスタートさせる前に、走行距離が最短となるルートを考え、今日のスケジュールを立てました。
佐賀市の周辺と福岡県南部に多くの梅園や、椿、山茶花の名所が点在しています。
今の時期、花は期待できませんが、可能な限り花園の存在だけでも確認しておきたいと思いました。
何時ものように車の中で朝食を済ますと、最初に佐賀県立森林公園へ向かいました。
しかし、公園の梅林周辺は工事中で、広範囲にフェンスが張られ、近づくことができません。
フェンスの外からズームを利かせシャッターを切ります。
幹に藁が巻かれているのが梅の木でしょうか。
スタートから残念な結果になりましたが、そんなときほど、楽しい一日になる筈と、楽観的です。
旅も人生も全部上手くいくなんて、期待する方が間違っています。
3割も当れば御の字なのです。
次の目的地は、サザンカ自生地の千石山。
かつてはサザンカの北限地とされ、昭和32年に国の天然記念物に指定されました。
しかし、その後長崎県壱岐にサザンカの自生がみつかり、更には山口県萩市 指月山にも自生地が見つかっています。
長崎道の東背振ICの先の国道385を北上すると、10分程で道の駅「吉野ヶ里」に到着しました。
道の駅のパーキングの北端に「さざんか園 遊歩道 10月中旬から11月下旬までが見頃です」の看板を見付けました。
国道の下を潜り、階段状に整備された山道を100m程も登ると簡易舗装された道に出ました。
正面と左右の尾根一面に広葉樹林が広がっています。
簡易舗装の道を歩いていると、一本の木の下に赤い花が落ちていました。
あれ? この花はサザンカではありません。
サザンカは、花が散る時には花弁が一枚ずつバラバラに散ります。
更に、この花は蕊が筒状になっていますが、これはツバキの特徴です。
道路脇の森を見ると、サザンカの森に一定の頻度でツバキを見かけました。
下の写真では、小さな明緑色の葉がサザンカで、奥の大きな暗緑色の葉がツバキです。
この場所はサザンカの純林と言われていますが、ツバキも混じるので、ツバキとサザンカが交配した、ハルサザンカなどが見つかる可能性もありそうです。
道路上に見た赤い花も、ツバキにサザンカの血が混じっているかもしれないと思うだけで、想像力が刺激されます。
この森で詳細なツバキの調査をすれば、面白い結果が得られるかもしれないと考え、一人でにんまりしつつ、
おぉっと、こんな顔を人に見られたら、変質者に思われるかも、などと案じ、慌てて周囲を見回しました。
サザンカはヤブツバキとともに日本原産の植物です。
かつては佐賀県の千石山が北限と言われたサザンカも、江戸時代に改良が進み、今では300を数えるサザンカ園芸品種が全国に広がり、宮城県多賀城市にサザンカ園ができるほどになっています。
私は以前からサザンカを訪ね歩いていましたが、一度は訪れたいと思っていた千石山に来れて、それだけで満ち足りた思いに浸ることができました。
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