邦画ブラボー

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有馬稲子の「胸より胸に」

2010年05月20日 | ★人生色々な映画
生活のためストリップ劇場で働く娘(有馬稲子)の変遷を
彼女を囲む男たちを絡めて描く。
戦後の浅草界隈、仲見世、隅田川の映像がふんだんに盛り込まれ、
今となっては貴重な記録になっている。

戦争で家と家族を失ったにもかかわらず
イネコチャンは明るさを失わず生まれ育った下町で
踊り子をめざし働いていた。

工場で働いている
親友の久我美子は「歌おう会」なる、青年団に所属していて
(音楽担当は木下忠司。忠司的世界が爆発している)
イネコを誘うも「立派なストリッパー」になる夢を持っている彼女は耳をかさない。

この頃まだイネコはぼってりしたスカートに花柄ブラウスで垢抜けない。
うぶな少女丸出しである。

偶然知り合った大学教授(冨田浩太郎)は
純真な彼女にひと目惚れ!

イネコちゃんはあまりに無邪気で無垢で可愛いので、
彼女を見ると誰でも好きにならずにはいられなくなるのだ!

さらにナイスバディとくれば誰がほっとくであろうか!!
(勝手に興奮しております)

女癖の悪いインテリわけあり妻帯者(下元勉)も
同様にひきつけられる。
下元勉が暮らすのは海が見える鎌倉の家。
少女波とたわむれるの図は活き活き溌剌。キャワイイ~~

一旦はプリティ・ウーマンのような幸せを夢見たイネコだったが
彼らとは住む世界が違うことを自覚し、カタギの生活をあきらめる。

そうこうしているうち
バンドマンのチンピラ(大木実)にころっと騙されてしまい、
ヒモつきストリッパーとして一生懸命働き始める。

この時点で化粧もファッションもど派手になり、
見た目にも立派なクロウトさんに成長。

有馬さんは原作に惚れ込んで自ら願い出たそうだけど、
ストリッパー役なんて誰でも出来る芸当ではない!
さすがあっぱれイネコさまだ。
際どいポーズは取らないまでも
美しいおみ足と宝塚仕込のダンスを
惜しげもなく披露する場面は口あんぐりものです。

生活に疲れたイネコは
働く青年たちの「歌おう会」の世界に触れ、
新しく出直そうと決心するのだが・・・

イネコちゃんの熱演と戦後の風景が忘れがたい。佳作。
岸惠子・久我美子・有馬稲子の3人を中心に1954年設立された
にんじんくらぶ記念すべき第一作目の作品。

永井荷風もあの浅草の雑踏にいたのだろうか?

監督 家城巳代治
脚本  椎名利夫 家城巳代治
原作  高見順
撮影   木塚誠一
音楽  木下忠司
美術 平川透徹

1955年 にんじんくらぶ
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