夏休みはどう過ごされましたか。
私は、雨の中を、いつものように墓掃除を3日やったら、お盆に突入しました。
とにかくずーつと天気が悪く、稲の作柄が心配になります。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第349回記事(2017年8月21日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
「食品工場は宝の山」 平林裕治 他 / ものづくり・工場改善 食品工場
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今回は、「ものづくり・工場改善 食品工場」シリーズの5回目、4冊目の本の紹介になります。
タイトルを正確に書くと、
発想の転換で現場改善 食品工場は宝の山
目次は、
第1章 駆け足で変わる経営環境
第2章 現場改善とは文化を作り上げること
第3章 食品製造現場の改善事例
です。
一読すると、既に紹介した弘中泰雅先生の本の内容とかなり似ているとの強い印象を持ちます。
しかし、ほぼ同じ事を書かれるはずもなく、その違いは何なのか、再度読み返してみました。
その結果、タイトル中にある「発想の転換」に焦点を当ててご説明したいと思います。
目次の中の小項目に、「発想の転換」という項目は無いのですが、
第1章の中に「よくある経営者の勘違い」という小項目があり、従来の発想が書かれています。
その項目を書き出してみると、
「現場改善は十分にやっており、さらなる改善の余地はない」
「閑散期の雇用維持は、固定費分を無視しても売り上げ規模を確保する」
「品質の維持には監視作業が重要である」
「設備投資を行えば、必ず生産性が上がる」
「生産量増加には投資と人材補強で対応する」
となります。(別の言葉では「ここが変だよ食品製造業」とも書かれています。)
ですから、このような発想から抜け出さないと食品工場の未来は無いことになります。
では、食品工場の明るい未来を創るための「正しい現場改善の実行手段」とはどんなものでしょうか?
それは、一言でいうと「現場改善前にしなければならないこと」があり、それをすること
になるかと思います。具体的には、
(経営者と従業員の)共通の目的を持ち、危機感と価値観を共有すること
経営理念を見直し、再構築すること
になるかと思います。
そして、第2章でもすぐには具体的な改善の事例に入らず、
「根っこ改善」が必要だということで、
トップ主導の工場現場パトロール
3直3現
などが項目として挙げられています。
この本を何度か読み返してみて、
食品工場の現場の生産性を上げたい(とにかく生産性が低すぎる)
現場改善のためには経営が変わる必要がある
適切な利益の確保による経営があってはじめて食の安全・安心が担保される
との思いがひしひしと伝わってくる本でした。
経営改善に苦しんでおられる食品工場関係の方に、一読をお勧めします。
井上 直久
データ
出版社 :幸書房
出版年 :2015年
ページ数:125p
定価 :本体2000円+税
表紙 :
九州の朝倉市・日田市の豪雨の映像を見るに、つくづく集中豪雨の恐ろしさを感じます。
そして、約10年前の、円山川の堤防が決壊し豊岡市の市街等が水没した災害を思い出します。
また、古くは、高校生時代に水害時に小舟で数日通学したことを思い出します。
被災された方にはお見舞い申し上げます。
今回の食品工場の品質管理の視点から考えると、工場自体が泥水を被ると、
衛生状態を元に戻される苦労は並みたいていの事ではないのでは感じます。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第346回記事(2017年7月17日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
「食品工場の品質管理」 河岸宏和 / ものづくり・工場改善 食品工場
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食品工場の関係の本の紹介は、今回が3冊目になります。
どの本も目から鱗が落ちるものばかりなのですが、今回は特に目から鱗が落ちる割合が高かったように思います。
特に、食品工場の衛生・品質管理の点からこの本を強く推薦したいと思います。
はじめに
私は会社では品質管理関係の仕事を主にしていますが、
食品工場の品質管理は全く異質なものと痛感しました。
それは人が食べるものに関係するので、消費者の安全が第一で、
安全・衛生が最優先になるからです。
この本はこのことを強く教えられる本でした。
著者の河岸先生は食品工場の品質管理を、運動会のテントに例えてされていますが、
この点を含めて初耳だなと思う点等を、3つの点からまとめてみました。
内容
1.経営的な点から知っておきたいこと
知っておくといろんな点で役立つかも。
①ドべネックの要素樽(19p)
作物が健全に育成するためには必要な各種の栄養が完全に供給されなければならない。
作物の育成に必要な量に対して最も供給の少ない養分が育成を制限する。
つまり、作物の育成は最小養分により決まるということです。
②エシックス(17p)
エシックスは倫理観のことです。
食品工場の品質・安全性の土台はこのエシックスにより支えられています。
著者は、ビジネスエシックスとも書かれていました。
③メラビアンの法則(211p)
不具合が発生してお詫び会見をする場合、相手に伝わる印象は
服装(55%)ー声の大きさ(38%)-内容(7%)
で決まるという心理学者メラビアン教授が提唱されている法則。
2.食品工場の品質管理の点から知っておきたいこと
「えーそんなことにも気を配らないといけないの」と感じた点です
①工場内の街路樹(53p)
工場内に植える樹木は、
害虫がつかない種類で、葉が落ちず、実がならない
ものが適切です。
②建物配置図(126p)
以下の3つの図面を作成しておくと良い。
半径30kmの地図・・・30kmは鶏インフルエンザが発生した時の移動禁止距離
工場周辺の地図・・・10t車が毎日のように走行すると道路の損傷が激しい。自治体との打ち合わせが必要
工場内の地図・・・水たまりができている、街路樹が伸びているなどの現状の問題点を記載する
③雨の日に確認したいこと(136p)
工場の建屋や周辺に降った雨はどのようにどこに流れるか
雨樋にゴミがつまって、排水が溢れていないか
駐車場に降った雨はどこに流れて行くか
3.私自身が再認識したこと
①食品事故の要因(37p)
物理的危害、化学的危害、生物的危害、ペスト、日付表示ミス、アレルギー表示ミス
の6つが大きく分けるとある。
②アレルギー表示(58p)
容器包装された加工食品では、
卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに
の7つを特定原材料として表示する必要がある。(2010年時点)
③カタラーゼ検査(203p)
どの工程で異物が混入したか調べる方法で、
昆虫・人毛などの生体反応がある異物が過熱工程以降に混入すると、
その異物を過酸化水素水に入れると泡が出る。
最後に
河岸先生は、食品工場の品質管理に関するノウハウをこれでもかこれでもかというほど多数
提供されており、正直びっくりしました。
それだけ参考になる点があると強く思います。
井上直久
データ
タイトル:ビジュアル解説 食品工場の品質管理
著者 :河岸宏和
出版社 :同文舘出版
出版年 :平成19年
ページ数:230p
目次 :(10章ありますが、省略します。)
外観
今日18日は神鍋高原マラソンの日で、神鍋高原は、
全国から集まったマラソンランナー一色に染まっているのではないでしょうか。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第342回記事(2017年6月19日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
「食品工場改善入門」 小杉直輝 / ものづくり・工場改善 食品工場
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はじめに
前回ご紹介した、弘中泰雅先生の本が、食品工場の生産性改善への熱き思いが前面に押し出された本ならば、
今回ご紹介する小杉直輝先生の本は、食品工場の生産性改善への強い強い思いは内に秘めて、
論理的かつ具体的に食品工場の改善について書かれた本と思います。
それだけに、内容を具体的に把握しすれば、食品工場の改善に対する実力が格段にアップするのでは。
私のおすすめどころ
本のサブタイトルが、「金をかけずにすぐできる!」となっているように、
金をかけないで改善する方法が多数記載されています。
その中で、この本の私のおすすめポイントとして2点挙げたいと思います。
①作業の改善の着眼点
著書の小杉先生は、食品工場の作業の改善の切り口を、
トヨタ生産方式における7つのムダ
小杉先生独自の改善の着眼点
動作経済の原則
の3つから記載されている。7つのムダと動作経済の原則は良く知られているので、小杉先生独自の改善の着眼点が記載されている
22p~28pや
図2-2 作業の構成と作業改善着眼点図
が大変参考になると思います。
②洗浄を含む切り替え作業の改善(155p~)
食品工場に固有の課題が、切り替え(段取り替え)作業の場合に、前の製品の残渣をきれいに洗浄することです。
その切り替え作業の改善のポイントである、
・ながら洗浄の利用
・難洗浄作業を無くす
・洗浄面積を広げない
などが、改善着眼点図として図9-13に示されています。
井上 直久
以下、目次とデータです
目次
第1章 改善の進め方
第2章 ムダの見つけ方
第3章 具体的改善事例
第4章 人偏のついた自動化
第5章 倉庫は諸悪を隠すムダの根源
第6章 不要作業の見つけ方と改善事例
第7章 改善事例その2
第8章 食品の製造と標準作業
第9章 多品種少量を成功させる
データ
タイトル:食品工場改善入門
著 者 :小杉直輝
出版社 :水産タイムズ社
出版年 :平成11年(ということは18年前ですが、古さは全く感じませんでした)
ページ数:211p
外 観 :
今回の記事は、長い間休んでいた「ものづくり・工場改善 食品工場」関係の本の記事です。
先週、(株)但馬寿 遊月亭 さんの おいしい「栃おはぎ」を食べて、
長い間、食品工場の記事を書いていないことを、思い出しました。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第338回記事(2017年5月22日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
「食品工場の生産性2倍」 弘中泰雅 / ものづくり・工場改善 食品工場
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この本を読んで、
筆者の食品製造業・食品工場への熱い熱い思いがほとばしっている良著
だと思いました。
食品製造業・食品工場の関係者の方には、経営改善に向けて、ぜひ一読いただきたい本です。
はじめに
日本の食品製造業の生産性は、日本の製造業の生産性平均値の約60%しかないそうです。
そのため、食品製造企業の従業員の給与は低く、いい人材が集まらず、経営は苦しいそうです。
この厳しい状態を打破するため、著者は過去のデータに基づいて低生産性の原因を明確にし、
改善のための観点・対策を多数提案されています。
目次は以下のようになっています。
第Ⅰ章 日本の食品製造業の問題点
第Ⅱ章 食品製造業の生産性を低迷させた原因
第Ⅲ章 意識を変えることでムダをなくして生産性を向上させる
第Ⅳ章 食品工場のムダをなくして生産性を向上させる
第Ⅴ章 食品製造業の生産性2倍への道
驚きの低生産性の理由
私も食品工場への経営アドバイスをした経験があり、低生産性の理由をいろいろと想像できます。
①原材料が生もので、生産が急がれる。②原材料の量的確保が困難に。③機械化が困難な点が多い。
しかし、著者はこれらが原因ではないといいます。なぜなら、終戦から10年程度の期間の食品製造業の生産性は
製造業の生産性平均値とほぼ同じだったから。その後に、大きな生産性の差が生まれてしまった。
その理由はぜひ本をお読みいただきたいと思います。第Ⅱ章に記載されています。
低い生産性への改善策
改善策は第Ⅲ章、第Ⅳ章に記載され、全12項目あります。
経営陣がすべきこと、現場レベルですべきこと、経営陣と従業員が一緒になってすべきこと。
レベル感の異なるものが出てくるわけですが、著者はこれを「意識を変えること」(第Ⅲ章)と
「その他(現場で変えること)」(第Ⅳ章)の2つに分けて記述されています。
全てを記載しませんが、数点づつ書き出しみました。
意識を変えること
①我々の生産性は低いと認識する
②⇒我々は変わらなければいけないと認識し、新しいものを取り入れて変える
③⇒変えるポイントは、企業の内部条件に関係し、全要素生産性のアップである
④⇒具体的な変え方は、トヨタ生産方式の導入である(ただし、これに限るわけではない)
現場で変えること
①個人完結型の作業から、作業をライン化する
②⇒そのうえで、生産スケジューラーを導入する
③⇒スケジューラーなどの導入で、ムダを見える化する
④⇒見えたムダを継続的に改善する
・効率の悪い作業の改善
・付加価値の低い仕事の自動化
・材料のムダの削減
・設備関係のムダの改善
・運搬のムダの改善
(以上の下線部以下の詳細は、著者の書かれたものを井上が整理して、個人的に記憶に残るよう整理していますので。)
井上 直久
データ
タイトル: 食品工場の生産性2倍
サブタイトル: ”ムダに気づく”ひとづくり・仕組みづくり
表紙記載: 製造業の低生産性の原因を明らかに!気づけば必ず改善できる
著者: 弘中 泰雅
出版社: 日刊工業新聞社
出版年: 2016年
ページ数: 212p
外観
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第218回記事(2014年11月17日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
タイトル ものづくり・工場改善 食品工場 はじめに
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15日の日は兵庫県中学校駅伝大会でした。
晴天の中、選手の方はそれぞれにベストを尽くされたのではと思います。
記録を調べると、男子は加古川山手中学(たしか6連覇では)、女子は小野中学(オリンピックにも出場した小林選手の母校だったかな)が優勝されたようです。全国大会頑張ってください。
30日には同じコースで近畿大会があります。
ほぼ毎年、駅伝の行われる日には実家に帰り、干し柿つくりをしているのですが、
今年は中小企業診断士の資格維持のため、
食品工場さんを訪問し、財務諸表を分析し、報告書を書く準備をしています。
そんなわけで、今回は新しいカテゴリーを作り、そこで報告書作成の為に参考にした、下記の本を順次まとめていきたいと考えています。
①弘中泰雅:食品工場の工程管理(日刊工業新聞)
②河岸宏和:食品工場の品質管理(同文舘出版)
③山崎康夫:食品工場の生産性向上とリスク管理(幸書房)
④小杉直輝:金をかけずにできる!食品工場改善入門(水産タイムス社)
井上 直久