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ものづくり・工場改善 5S (5) 5S導入ハンドブック 西沢和夫

2016年05月29日 | ものづくり・工場改善 5S

第171回記事(2013年11月25日(月)発行)
         (次回12月2日(月)発行予定)

 今回は5Sに関する5回目の記事になります。本としては4冊目になります。
 企業の成果・利益に繋がる5Sの視点で本を選択しています。この本を選択した理由は、表紙(ブックカバー)の中に「●利益が増える!」という言葉が入っているからです。だだし、この言葉はタイトルの「5S導入ハンドブック」の下にある大きな赤丸の中の「職場の乱れに5S」とある下に3項目が記載されており、その1項目として「●利益が増える!」があります。そのため、どれだけ「5S」と「会社の利益」の関係が書かれているのか、繋がりが強いのか、心配をしながら読みました。

<外観>
Photo

<データ>
著者:西沢和夫(中小企業診断士。技術士(経営工学部門)。コンサルティングファームのチーフコンサルタントして5Sなどの数多くの指導経験を持つ。)
出版社:かんき出版
出版年:2007年
ページ数:207p
価格:1500円+税

<章構成>
序章  現場の乱れは5S導入による人づくりで解決する
第1章 本物の5Sで現場のムリ・ムラ・ムダをなくす
第2章 5S導入は事前準備で決まる
第3章 本物の5Sを効果的に導入する
第4章 オフィスに5Sを導入する
第5章 5Sを定着させる対策をとる
第6章 5Sでカイゼンできる職場をつくる
第7章 5Sで見える化で高収益企業をつくる

<利益が増える(出る)ステップ>
 利益が増える(出る)ステップは以下になります。
本物の5Sの実施・徹底 → ムダ取り → カイゼン効果が出る → 利益が増える(出る)
明確になっています。

<5Sの目的と定義><本物の5Sと見せかけの5S>
 5Sの定義はどの本にも書いてありますが、目的については記載が少ないように思います。以下のように記載されています。「日々の5S活動によって社員全員がカイゼンの種を見つける目を養い、ムダを省いてカイゼンできる職場をつくり、利益を生み出す活動を続けること」(4p)
 5Sの定義は以下のようになっています。これについては、最後のところでコメントさせていただきます。
  整理 職場のムリをなくす
  整頓 職場のムラをなくす
  清掃 職場のムダをなくす
  清潔 整理・整頓・清潔を継続させる
  躾  人づくりをする
 従来の5Sは誤解をされている方がいて、単に捨てたり並べ替えたりすることと思われているが(これを「見せかけの5S」という)、それに対して著者は「本物の5S」(トップが先頭に立ち、ムダを省いて、カイゼンを行い、付加価値を生み出す5S)を提唱されています。
この件についても最後のところでコメントさせていただきます。

<参考にしたいポイント>
 134pで「あじかげん運動」について書かれています。
  いさつ(挨拶)運動
  かん(時間)を守る運動
  んがえる(考える)運動
  さんげん(三現)主義の導入
それぞれに大切なことであり、「本物の5S」を支えるものであり、参考になると思います。

<ちょっと、2点言わせてください>
 まず、5Sを清掃と片付け・美化運動と誤解している方や「見せかけの5S」運動が多いように記載されていることですが、結果的にそうなってしまっているというではないでしょうか。それは、5Sの定義に注目が行き、目的は何なのか忘れてしまっていたり、活動がマンネリ化してより上のレベルである利益を出すという目的に繋ぐことが出来ていないからではないでしょうか。また、成果・利益に繋がるストーリーも十分に出来ていないのではないでしょうか。
 5Sの定義は、一般的な定義とは異なります。それぞれに定義されることは悪くは無いのですが、清掃の定義を「職場のムダをなくす」こととすると、清掃をすればムダがなくなることになってしまいます。ムダとは、193pにあるように、取り置きのムダ、歩行のムダ、などでこれらをカイゼン活動で知恵を出してなくすことで利益が出るわけで、5Sの定義としては適切かなと思ってしまいます。

<最後に>
 本のタイトルの中にも「導入」とあるように、「導入」の本を考えたらよいと思います。
 その観点から一度読まれるのはいかがですか。

                                                井上 三右衛門


ものづくり・工場改善 5S (4) 人づくりによる儲ける新5S実践マニュアル 長谷川祐三 

2016年05月22日 | ものづくり・工場改善 5S

第165回記事(2013年10月14日(月)発行)(次回10月21日(月)発行予定)

 今回は5Sに関する4回目の記事になります。本としては3冊目です。
 企業の成果・利益に繋がる5Sの視点で本を選択していますが、この本を選択した理由は、タイトルの中に「儲け」という言葉が入っているからですが、何度か読み返しましたが、なぜ最終的な利益(儲け)に繋がるか、そのストーリーが最終的には私には理解出来ずにいます。そのため、本のお薦め度については記載いたしません。(ではなぜ理解できていない本を紹介するのかと聞かれれば、本に興味をもたれる方がおられるかもしれないし、理解できている方から教えていただけるかもしれませんので。)しかし、タイトルにマニュアルという言葉も入っているように、具体的なところまで記載されており、その点はお薦めです。

 一度、いかがですか。

<データ>
 著者:長谷川祐三(1920年代のお生まれと推定、1987年からコンサル活動実施)
 出版社:日本規格協会
 出版年:2002年
 ページ数:317p
 価格:2300円

<章構成>
 第1章 儲ける新5Sの考え方
 第2章 なぜ新5Sが「モノ」づくりの基本か
 第3章 儲ける新5S活動の要点
 第4章 儲ける新5S実践のポイントと手順
 第5章 儲ける新5S活動の進め方
 第6章 新5Sマニュアル

<理解できた範囲で書くと・・・>
 再度になりますが、何度も読み返しましたが、なぜ最終的な利益(儲け)に繋がるか、そのストーリーが私には(はっきりとは)理解出来ずにいます。
 各章のタイトルを見ていただくとわかるように、「新5S」という言葉が出てきますが、これは従来の「5S」の原則を5ゲン主義の考え方で、躾を中心にして再構築したもので、「モノ」をつくる人「サービス」をする人の心(心掛け)をつくることに主眼を置き、”人づくり”と”儲ける”(利益を上げる)という目的をもった、目的指向型の5Sです。(14p)
 そのため、整理・整頓・清掃・清潔・躾の中で最後に出てきた「躾」が中心となり、躾のためには「叱る」手法から「褒める」手法が中心的な手法になります。(17p)
 新5Sは、従業員が道徳心を身につけ(この辺になると理解できなくなってきます)、創造力を高め、総原価低減をして儲ける活動のことである。(18p)正直このページあたりまでくるとイメージが湧かなくなります。

<新5Sの4本柱>
 新5Sの考え方・4本柱が整理して書かれています。(60p)
  目的指向
  人間形成
  原価低減
  歯止め

<もう一度整理してみると>
 ポイントは58p60pくらいになります。
 ①社会環境や人の考え方が現在はドンドン変化しており、自己中心的な人が増えている。このため、躾が大切になっている。
 ②躾の目指すところは、感謝する心、他人を喜ばす心、思いやりの心(心掛け)の要請である。
 ③躾の先には教育もあり(個人的な理解です)、創造力を高める、道徳心を養う必要がある。
 ④創造力等が高まれば、改善が進みムダ取りが出来る。
  道徳心が養われれば、企業内の人間関係向上だけでなく、「モノ」づくりや、顧客に対するサービス、つまり大事な顧客満足に繋がる。
 ⑤ムダ取りが出来ればロスコストが減り、儲け(利益)が向上する。
 (躾の中で物事を成し遂げることの能力を向上すると、ムダ取りのための教育をしなくても、ムダ取りが出来るように思えて・・・)

今回はこんなところでしょうか。
よく理解されている方がおられましたら、ご指導いただけたらありがたいです。
ご指導に従い修正していきたいと思います。

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                                                井上 三右衛門