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ものづくり・工場改善 経営改善⑤ 「原理・原則にもとづく現場改善の実践」 佐武弘章

2016年11月20日 | ものづくり・工場改善 経営改善 

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第285回記事(2016年4月18日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善 経営改善(5) 「原理・原則にもとづく現場改善の実践」 佐武弘章
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今回の記事には特別な思いがあります。
「改善・ムダ取りがなぜ経営の改善につながっていないのか?」
この疑問から出発した「ものづくり・工場改善」の一連の記事ですが,
スタート当初考えていた項目・内容は今回が最後になるからです。

◆はじめに
この本は、古畑友三先生が岐阜県の各務原市で改善・ムダ取りを指導された2年間の内容を佐武弘章先生がまとめられたものです。指導された2社はみごとに高利益・強競争力企業へ脱皮されました。
本は3部構成になっています。
 第一部 改善・ムダ取りを導く原理・原則
 第二部 原理・原則にもとづく改善・ムダ取りの実践事例
 第三部 モデル企業での改善・ムダ取りから高収益・強競争力体質への変革のステップ
この順番に読んでいくことで、工場の一隅での改善・ムダ取りをどのように工場・企業の改善につなげていけるのかが分ります。

◆第一部 改善・ムダ取りを導く原理原則
「すべての改善・ムダ取りには、それらを導き、根拠づける原理・原則があります。原理・原則によって説明できない改善は、真に有効かどうか疑問です。」(まえがき より)
ということで、改善・ムダ取りのすべての手法を知識・と理論で根拠づけながらすすめられています。
記載されている原則は10ですが、これは著者が理解できたもののみが書き出されています。事例をあげてみますと、
 原則1 ムダを100%顕在化する原則
 原則2 定位置化の原則
 原則9 一体化の原則
などなど。特に一体化の原則などはなかなか理解しにくい、むずかしい原則のように思います。
しかし、単に改善・ムダ取りの技法を習得するよりも、基本に立ち返り原理・原則を理解することや、技法のなかから原理・原則を抽出することが大切なことが理解できます。

◆第二部 原理・原則にもとづく改善・ムダ取りの実践事例
この第二部では、原理・原則にもとづいて実践事例19件が紹介されています。原理・原則を十分に理解していないと改善事例を読んでも理解することが困難になってきます。
記載内容から、4点ほどトピックをあげてみます。
 ①ムダの排除を直接表す指標(43p)
  最も一般的な指標としては、
   付加価値労働生産性(=付加価値額/従業員数)
  がありますが、製造の現場で改善・ムダ取りをすすめるにあたってはピンとこないところ
  があるように思います。ムダの排除を直接表す指標として、
   付加価値効率(付加価値をつくり出す正味の時間/1サイクルの作業時間)
  が使われていました。
 ②カラクリ作業台(51p)
  指導が行われた2社では比較的大型の製品を製造しています。その為、ワークの移動に
 時間がかかり、工程ではワークを一か所に固定して、溶接やサンダーがけなどがされて
 おり、作業者がワークの周辺を回ったり、クレーンでワークを回転させていました。
  正味の作業時間割合を増やす為、「からくり作業台」というものを新たに導入されました。
 これは、作業者が足で油圧シリンダーを操作することで、瞬時にワークを90度回転または
 反転できるすぐれもので、作業者が移動をする必要がなく定位置で作業をできるようになっ
 ています。確かに全体の作業時間が短縮できそうです。
 ③「ワークが我慢して待っている」(83p)
  大ロットで生産されている現場では、まさに「ワークが我慢して(加工されるのを)待って
 いる」状態ですね。この言葉が、指導された会社の中の1社ではよく使われていたそうです。 
 適切ではない現場の状態を実によく表していると思います。
 ④一体化の原則の拡大適用
  154pからは「一体化の原則の拡大適用」の実践事例が記載されています。先程、一体化
 を理解するのは難しいと言いましたが、具体的な内容が書いてありますので、参考にして頂
 けたらと思います。

◆第三部 モデル企業での改善・ムダ取りから高利益・強競争力体質への改革のステップ
 ここでは改革のステップが7つのステップに分れて書かれています。
 ステップ1 個々の工程と作業をより確実なものとする
 ステップ2 工程と工程の同期化を図る
 ステップ3 溶接組立ラインに合わせた部品加工ラインの同期化を試みる
 ステップ4 「1個流し生産」を推進するために自動機・ロボットの稼働条件を明確にする
 ステップ5 工場の一隅のムダ取りから出発した改善活動が企業全体の改革活動へと発展する
 ステップ6 全社をあげての改善・ムダ取りを推進する
 ステップ7 同期化による「一個流し生産」を確立して製品市場の諸種の要望に迅速に応える

 正直言ってこれらのステップの内容は説明しきれません。詳細は本を読んでいただくしかありませんが、その基礎となっているものは、
 ●改善やムダ取りの原理や原則を理解した従業員がいる。
 技法の知識だけをもった従業員であってはいけない。
 ●その従業員が各社にあった手法を積極的に開発・活用している。
 そこには、「改善のコンサルタント」はいない。
 ●職場の一隅(点)から始まった改善が、線となり、面となり、立体となっている。 
 その時は、現場だけでなく事務管理部門・営業部門等でも改善が進められいる。
 ●経営トップは全社の目標となる経営ビジョンを提起し、従業員全体で共有する。
 共有することで、改善・ムダ取りの活動が経営ビジョンの実現するための活動となっている。
 
                                               井上 直久(記)

データ
 出版社:日科技連
 出版年:2007年
 ぺージ数:194p
 価格:2600円+税(当時)
 カバー写真
 

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ものづくり・工場改善 経営改善④ 「攻めのコントロール管理法」 山口俊之

2016年11月13日 | ものづくり・工場改善 経営改善 

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第277回記事(2016年2月22日(月)配信)
 ものづくり・工場改善 経営改善(4) 「攻めのコントロール管理法」 山口俊之
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 今回は山口俊之先生の「攻めのコントロール管理法」という本を紹介します。この本を紹介しようと思った理由は、本の中で指摘されている企業の第3の利益(=コントロール管理利益)について紹介したいと思ったからです。コントロール管理利益とは、製造現場でのいろいろなバラツキを抑えるようにコントロール管理することで得られる企業利益です。

 本の内容を紹介する前に、本の表紙を見てください。

4つの見出しが書いてあります。
 ①利益を増大する
 ②攻めのコントロール管理法
 ③真の実態をITで正確に見える化!
 ④多品種少量生産での見えずらいムリ・ムラ・ムダ・をあぶり出す!!
企業の利益をなぜ増大できるのかを、①から④の順番の逆、つまり④から①の順番に説明していきます。

 ④最近のものづくり企業では、多品種生産・少量生産・短期間生産の傾向が強まっており、生産ラインでの”外乱”が多発していろいろなロスが増大しています。たとえば、多品種生産・少量生産の傾向がますます強まり、段取り替え回数が増加して、段取り替えロスが増大しています。また、顧客からの急な注文により、生産オーダーの順番が急に変更され、オーダー外乱が発生して、段取り替えロスが発生します。
 これらのロスはムダ・ムリ・ムラと密接に関係しているもので、たいへん見えずらいものです。
 ③この見えずらいロスを無くすため(もしくは減らすため)、生産現場で発生しているミクロのデータを、IT(具体的には、POPシステム+ITツール)を使用することで見える化する。
 ②その上で、データを活用しながらPDCAのサイクルを回すことでコントロール管理する。コントロール管理するとは、コントロール目標を決め、現在の実態値を把握してそれをフィードバックし、目標値と実態値の差を縮めるように調整することです。
 ①このコントロール管理により、売上げアップによる利益や、コストダウンによる利益によるものでない、第3の利益(いろいろなバラツキを抑えるように経営資源をコントロールして生み出される利益)を出すことで、企業全体での利益を増大させる。

 以上が、企業の利益の増大のさせ方です。この具体的なコントロール管理として8つのものが提示されており、個別実績原価コントロール管理とか、在庫コントロール管理とか、品質コントロール管理などが挙げられている。確かに、品質コントロール管理では、成り行きによるFコスト値ではなく、コントロール管理でを抑え込まれたFコストにする必要がありことには同感である。

 とにかく、多品種生産・少量生産の中で利益をだすことに苦労されている方にはお薦めの本になります。

                                               井上 直久(記)

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ものづくり・工場改善 経営改善③ 「勝つ改善力」 平山賢二

2016年11月06日 | ものづくり・工場改善 経営改善 

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 ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
 第272回記事(2016年1月18日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
 ものづくり・工場改善 経営改善③ 「勝つ改善力」 平山賢二
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 今回は、ものづくり・工場改善の中の「経営改善」の3回目の記事になります。
 取り上げた本のサブタイトルの中にある「ベスト・ワースト法」に大変共鳴するところがあり、この本を取り上げました。第2章「ベスト・ワースト法」の部分だけでも読むことをお勧めします。
 必ず経営改善につながるヒントがあると思います。

◆この本のお薦めポイント
 冒頭にも記載したように、「ベスト・ワースト法」がお薦めのポイントです。私は日々の業務で品質管理関係の仕事をしていますが、データを取って、それを分析し、改善の方向性を出すことが大変重要だと考えています。その中で、データに騙されない事とデータの中に埋もれている情報を読み取る事が大切です。そうしなければ、的外れな改善案となり、改善効果が無くなるからです。
 平均値でデータを見ても見えないものが、バラツキ(もしくはベストデータやワーストデータ)で見ることで見えてくるものがあります。著者の「ベスト・ワースト法」はこの点に注目した方法で、たとえばベスト10とワースト10のデータを抽出し、なぜデータに違いがあるのか掘り下げ、問題解決の切り口を見つけます。また、改善目標は1/3のベターなデータで設定します。そのため、納得性のある目標設定になります。

◆この本の概略
 「おわりに」(172、173p)に列挙されている5項目が、著者の述べたい点と推測します。本文の内容も考慮して、この5項目を「△△より◇◇」という形で私がの経験も含めまとめ直してみました。
意見よりもデータ
 社内の多くの意見は発言者のフィルターを通っており、その多くが都合よくデータを使っており、間違っている。データを基に解釈が組み立てられなければいけない。(私は拍手したくなるくらい全く同感です。)
②データの平均値よりもデータのバラツキ
 平均値でデータを見ると見えないものが、バラツキ(そしてベストデータやワーストデータ)でデータを見ることで見えてくるものがあります。そこに解決の糸口があります。(私の経験でもそうです。)
そのままのデータよりも並べ直したデータ
 そのままのデータとは取得された順に並んだデータのことです。解決の糸口を見つける為には、取得されたデータを、ベストからワーストの順とか、また別の切り口で並べ直すことが大切です。必ず気がつくことがあります。(私がよく使っているテクニックです。)
④改善計画よりも改善実行
 改善の為には、3つの希少資源(時間、能力、歩留まり)に注目して、改善のPDCAを回すことが重要です。計画も大切だが、さらに実行が大切です。1つの改善ができたら、さらに、継続的な改善を繰り返す。(私の経験では、中小企業さんは実行が弱いですね。)
⑤改善実行よりも利益刈り取り
 改善を行う目的は経営改善をするためです。改善が実行できたら、目的である利益の刈り取りまで確実につなげましょう。(利益の刈り取りに繋がらない改善実行は無意味ですよね。)

◆外観
 

◆目次
 第1章 希少資源を管理する 
 第2章 ベストワースト法で課題を発見する
 第3章 具体的な進め方を学ぼう
 第4章 高い目標に挑戦するイノベーション
 第5章 改革事例

◆データ
 タイトル  :勝つ改善力
 著者    :平山賢二
 出版社   :JIPMソリューション
 ページ数 :175p
 定価    :本体1800円(税別)(当時)

                                                  井上三右衛門

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