2022年
明けまして
おめでとうございます
井上 直久
近くの郵便局の局舎前の花壇に大きなヒマワリが咲いています。
気付いたのは12月からなのですが、
夏の花であるヒマワリをどういう方法で咲かされたのでしょうね
???
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第449回(2022年1月10日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・経営改善 製造業はなぜ儲からないのか /
「付加価値会計の強化書」 吉川武文
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1.はじめに
この特集では、「製造業はなぜもうからないのか」というテーマで話を進めてきました。海外からの安い輸入品のため、製造業のメーカが儲からないので、海外に工場を造ることがブームになった時期がありました。海外生産には①リードタイムは長くなる、②在庫をが膨れ上がる、③日本の生産技術者がサポートする費用がかかる、④その他いろいろな問題があります。個人的には疑問を抱いていましたが、そのあたりを整理して確かに海外生産は適切な戦略であると書いてある本はなかったように思います。そんな疑問に対してこの本は回答をほぼ書いてあるように思います。
2.結論
結論としては、117pや125pに書いてあります。その原因に関する部分だけ書き出してみます。
117p 今の会社が直面している問題点
皆が忙しいのに利益が出ないのは、活動がバラバラだからだ!
・・・
工数削減に取り組む場合は、
削減した工数で「何」をするのか?
を先に決めておかなければならない。
そうしないとムダがムダを呼ぶ活動になってしまう。
125p 会社が重大な危機に瀕している今、足りないのは
「どうかして社会やお客様の役に立とう」
とするその気持ちではないだろうか?
当社の製品の売上が伸びないのは社会の役に立っていないからかもしれない。
上記の部分だけを切り出しても分かりにくい部分があるでしょうが、製造業メーカが社内のことや原価計算などで、思考が内向きになっていることに大きな問題があり、お客様にとっての価値=顧客価値をあまり考えていないことに原因があります。
3.じゃあどうするの
①大きな原因の一つが全部原価計算で固定費が配賦されるために、誤った経営判断がされるため。直接原価計算でもまだまだ問題が残ります(13p)。
②結論としての対策は、付加価値会計の導入・実践となります。
(全部原価計算、直接原価計算、付加価値会計およびスループット会計の違いに関しては、78p、82p、235p、246pをごらんください。)
③付加価値会計を導入するにあたり、
大切なことは、
・付加価値の獲得 と
・付加価値の配分 を
明確に区別すること(243p)。
そのための3つのポイントは
・付加価値を明示
・管理のカーテンを取り払う
・研究開発費の管理から逃げない
です(76p、78p、80p)。
④これらは、製造業のコアコンピタンス(66p)
・現場のモノづくり力(特に材料費の管理力)
・モノづくり力を踏まえた製品やサービスの創造力
に基づいており、
PDCAを回すことになります。
具体的な打ち手などは88p~236pに記載されています。
4.終わりに
243pに以下のような意味の記載があります。
正しい指標が人の意識と行動を変え、
正しい行動が製造業行を復活させます!
付加価値会計の導入で、ぜひ製造業を復活させたいですね。
ご参考
本のタイトルを全て書き出すと、
「製造業の原価管理を根本から変える! 付加価値会計の強化書」
です。
データ
著者 :吉川武文
出版社 :日刊工業新聞
出版年 :2014年
ページ数:263p
外観 :
井上 直久
2021年最後の記事となりました。
皆さんはこの1年いかがでしたか?
私にとっては、退職して初めての年で、激動の一年だったように思います。
(ほぼ毎日散歩する石清水八幡宮の参道にて。
紅葉の落ち葉と石垣のコントラストがきれいでした。)
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第448回(2021年12月20日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・経営改善 製造業はなぜ儲からないのか /
「コストダウンが会社をダメにする」 本間峰一
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1.はじめに
前回の「製造業はなぜ儲からないのか」の記事では、「ザ・ゴール」とスループットを紹介しました。結論は、(経営者から)適切な指標が掲げられずに、不適切な指標で工場を運営するので、ムダが出て利益が出ない、儲からないということにさせてもらいました。
この「ザ・ゴール」では、物語り仕立てになっており具体的なところが少なかったです。具体的にはスループットや作業経費といった指標を、どうやってコントロールしていくのかに関する記述がほとんど出てきません(48p)。今回は、この「コストダウンが会社をダメにする」では、具体的なコントロールについて記載されていますので、以降でポイントを記載します。
その前に、本のタイトルに関係して、なぜコストダウンが問題なのかを記載しておきますと、「改善活動は、生産能力を向上させ売り上げを増やすために行う活動だ」「改善によって空いた分で売り上げを増やさなければ利益は増えて来ない。」(30p)ということです。
2.キーワード
①スループット 売値ー外部購入費(材料費+外注費)=外部購入費
(本カバーの裏の写真)
②スループット・マネジメント スループット会計に欠けていたもの(48p)。スループット管理方法全体。基本的な考え方はTOCスループット会計に準じている。
③スループット・バランス分析 当該企業の利益構造を見極めること。スループットと作業経費の時系列的な関係。(79p)
3.ポイント
スループット・マネジメントにおける各部門の役割
営業部門:同じスループットを稼ぐためには、薄利でたくさん売ろうとするよりも、良いものを少しでも高く売ろうと努力する方が、効果が出やすい。(66p)
生産部門:①ボトルネックの解消(67p) ②外部購入費の削減(68p)外部購入業者からの購入単価を出来るだけ安くすることと、できるだけ外に出さないで自分で作ったりすること、すなわち内作化の推進
スループット・マネジメントのPDS
SEE:①スループットバランス分析を行い、スループットと作業経費の関係と経過を明確にする(79p)
②在庫の増減による影響を取り除く(83p)
③一人当たりスループット額で比べる(89p)
PLAN :①スループット目標額の設定
②実行計画の作成
(具体的なステップの102Pに記載されています)
4.結論
DO:利益を生み出すコツは足し算思考 スループットは足し算で貯めていくものである、という意識を従業員に十分に植え付けること(130p)。そして、スループットが1%であってもスループットが稼げるなら、それを実行すること。
目次
第1章 コストダウンのどこが問題なのか
第2章 大事なことはコストダウンではなくスループットの向上だ
第3章 スループット・マネジメントの進め方
第4章 スループット・マネジメントの限界
第5章 製造業以外の業種におけるスループット・マネジメント
第6章 スループット・マネジメントの応用
データ
著者 :本間峰一
出版社 :日刊工業新聞
出版年 :2008年
ページ数:188p
外観 :
「ルリマツリ」という花だそうです。
近所の道を車で走っている時に、家内から教えてもらいました。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第446回(2021年11月15日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・経営改善 製造業はなぜ儲からないのか②
/ザ・ゴール(コミック版) エリヤフ・ゴールドラット原作 岸良裕司監修
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1.はじめに
●1984年に出版された「ザ・ゴール」は全世界で1000万人以上が読んだ大ベストセラーで、TOC(制約条件の理論)で大変有名です。
●しかし、「日本で翻訳販売されると、貿易の不均衡がますます加速し、世界経済が破壊する」という原作者エリヤフ・ゴールトラット博士の意向で、日本での販売は2001年まで17年間禁じられています。
●私も日本語略の発売直後に読みましたが、物語り風に書いてあることもあり、なかなか中身の理解は難しいものでした。
●しかし岸良裕司先生が監修され、大変分かりやすい・大変理解しやすいコミック版が2014年に発売されています。
2.結論を言えば
●会社の目標(ザ・ゴール)とはお金をもうけること(35p)
●本社で使う指標は工場の現場レベルでは使いにくいのではないか、だから重要な情報が見えてこない!
現場ではもっと別の新しい指標が必要なんだ!(42p)
●現場での役に立つ新しい指標①(47p)
①スループット(販売を通じてお金を作り出す割合)
②在庫(販売しようとするものを購入するために投資したすべてのお金)
③業務費用(在庫をスループットに換えるために費やすお金)
●現場での役に立つ新しい指標②(56pに別の表現がされている)
①スループット(入ってくるお金)
②在庫(製造プロセスにたまっているお金)
③業務費用(スループットを稼ぐために出ていくお金)
●目標はスループットを増やしながら同時に在庫と業務費用を減らすこと(70p)
3.問題、対応策・方向性、スループット、バッチサイズ
問題
●問題は「効率」だ!もっと「効率」をよくすればこの工場を改善できるはずだ!(11p)
⇒これ間違い
●生産性なんてものは目標がわかっていなければ全く意味がない(28p)
⇒そのとおり
●効率を高めようとすればするほど目標からは遠ざかる(64p)
⇒残念なことです
●人を働かせることと利益を出すことは別のもの(168p)
⇒この点の理解が現場で不足しています
対応策・方向性
●工場の生産能力がちゃんと目標に沿って管理されているか調べてみる必要がある(67p)
●ロボットを導入した部署で生産性が上がったか?(20p)
ロボットの導入は人件費の削減につながったか?(20p)
ロボットを導入して仕掛などの工程途中の在庫は減ったか?(22p)
●ボトルネックを通過するフローを市場からの需要に合わせる(131p)
スループット
●スループットはボトルネックが決定している(142p)
⇒ということはスループットを上げるためにはボトルネックに注目すべき
バッチサイズ
●バッチサイズを半分にしてリードタイムを短くし、沢山オーダーを取ってこれる(186p)
●バッチサイズを半分にしたら工場内の在庫が半分になります(186p)
4.まとめ
●スループットを上げるためのボトルネックへの対応(212p)
ステップ1.制約を見つける
ステップ2.制約をどう徹底活用するかを決める
ステップ3.他のすべてをステップ2の決定に従わせる
ステップ4.制約の能力を高める
ステップ5.ここまでのステップで制約が解消したらステップ1に戻る
●システムには必ずどこかに制約がある。その制約に集中することが全体最適になる。(212p)
結局は、適切な指標が掲げられずに、不適切な指標で工場を運営するので、ムダが出て利益が出ない、儲からないということですね。
井上 直久
秋めいて来ました。近所のお家の駐車場にて。
急激な温度変化があり、体調不良状態になっています。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第445回(2021年11月1日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
ものづくり・経営改善 製造業はなぜ儲からないのか① / はじめに
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このブログも12年目に突入しました。
前々から、一度、きりを付けたいと思っていました。
今回、「製造業はなぜ儲からないのか」というカテゴリータイトルにしたのは、
このブログを始めた理由の1つが、なぜこんなに製造業はもうからないのだろうか
という疑問から始まっているためです。
製造業の中には儲かっている会社もありますし、
儲かっている業種もあります。
しかし、製造業の会社さんは儲からないところが多いいのではないでしょうか。
その理由に迫ることが出来たらいいなと思います。
そして、一度きりを付けてしまいたいと考えます。
今回、「製造業はなぜ儲からないのか」で挙げさせていただく本は、
1.ザ・ゴール(コミック版) 原作:エリヤフ・ゴールドラット 監修:岸良裕司
2.コストダウンが会社をダメにする 著者:本間峰一
3.付加価値会計の教科書 著者:吉川武文
の3冊になります。
井上直久