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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第258回記事(2015年9月28日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
ものづくり・工場改善 経営改善② 「工場改善の仕組みづくり発想法」 西谷和夫
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はじめに
この本を読んで、いくつもの共感する点がありました。
その理由は、私がふだん考えているものづくり企業のありたい姿と共通する点が多いからだと思います。
お薦めの本のなかでも、トップクラスのお薦めの一冊です。
ものづくり企業の経営者の方にぜひ読んで頂きたい。
◆この本を一言でまとめると
一般的な工場は「作る・売る」の機能を必ず備えていますが、
この本で推奨しているのは「作る・売る・儲ける」の機能を備え、
特に「儲ける」ことにフォーカスした一貫した仕組みをつくることです。
◆本の内容で共感した点
この本を読んで、いくつもの共感する点がありました。
その理由は、私がふだん考えているものづくり企業のありたい姿と共通する点が多いからだと思います。共感した点を以下に記述します。
①「儲ける」ことが大切
日本人にとって「儲ける」と表紙に書いたり、ストレートに表現する事が苦手なように思います。それは、きたないといったイメージを持たれるせいでしょうか、逆にそれが日本人の美徳かもしれませんが。
この本では、「儲ける」事が大切で、「儲ける」ためには、工場は工場の役割をはたすようにする、社長は社長の役割をはたして売上げ拡大を図ることが大切ですと書かれています。
②具体的にはそれぞれの役割分担をはたす事
「儲ける」ためには、工場・社長がそれぞれの役割をはたす事が大切ですが、具体的に何をすべきかが目次から分ります。
目次
第1章 工場の役割
第2章 社長の役割
第3章 製造業《改善ナイン・シークレット》
③「工場改善」は「改善」の集合ではない
本のタイトルの中にある「工場改善」という言葉は、このブログでもテーマのタイトルとして使用しています。しかし、あまり「工場改善」という言葉は使われていないように思います。一般には「改善」という言葉は「現場改善」を示す事が多いのですが、現場改善で満足されてしまっていたり(もしかした、それだけで疲れてしまったり)されているのかもしれません。著者は個別の「改善」では工場や経営の改善は出来ない、部分+部分は全体にはならない(52p)と書いています。
◆気に入った文章・フレーズなど
工場・経営者それぞれについて、気に入った文章・フレーズなどを抜き出してみました。
工場
工場を、会社全体から見た「生産プロセス」と考える(14p)
これまでの「改善常識」を捨てる 工場は出荷してなんぼの世界(27p)
特定の工程の改善が、必ずしも全体の効果につながるわけではない(52p)
改善メンバーは数より質(99p)
手早く作って素早く出荷(55p)、そのために、リードタイム改善(62p)
経営者
お客拡大のマインドセットが必要(105p)
やりきるマインドセットをして、PDCAを回せ(110p)
自社のUVP(ユニークバリュープロポジション)を見つけ出すことが必要(125p)
とにかく市場にアピールする(153p)
本のカバー
データ
タイトル: 工場改善の仕組みづくり発想法
著者: 西谷和夫
出版社: 中央経済社
定価: 本体2600円+税
ページ数: 185p
出版年: 2013年
井上三右衛門
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第254回記事(2015年8月24日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
タイトル ものづくり・工場改善 経営改善① はじめに
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ものづくり・工場改善 ムダとり・改善 のシリーズが2015年7月20日に8回で終了しました。
今回から、新シリーズである
ものづくり・工場改善 経営改善 のシリーズを始めたいと思います。
始めるにあたり、このシリーズの狙いや位置付けについて整理しておきたいと思います。
前シリーズがタイトルに「ムダとり・改善」とあるように、ムダを省き製造現場を改善することに関係する本を集めました。
今回のシリーズはタイトルに「経営改善」と入れているように、ものづくり会社について現場に限定されず、むしろ現場を離れて、少し大きな目で見た経営的な視点での改善について書いていきたいと思います。その時に、ものづくり会社が顧客価値を向上させようとする場合、①製造、②販売と営業、③製品開発の主要な3点から経営を考えていく必要があると認識しており、この3点とのかかわりが重要になると思います。
つまり、今回のシリーズのテーマをズバリ一言で言い表すと、
「経営改善」
です。
現在ピックアップしている本は以下ですが、順次追加もしていきたいと思っています。
(サブタイトル等で省略している部分があります。)
本のタイトル 著作者 出版社
・工場改善の仕組みづくり発想法 西谷和夫 中央経済社
・勝つ改善力 平山賢二 JIPMソリューション
・攻めのコントロール管理法 山口俊之 日刊工業新聞社
・現場改善の実践 佐武弘章 日科技連
井上三右衛門
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第250回記事(2015年7月20日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
タイトル ものづくり・工場改善⑧ ムダとり・工場改善 「改善のやり方が面白いほど身につく本」 東澤文二
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まずこの本に関してお伝えしたい事は、
このジャンルの中にこの本を入れるかどうかでかなり悩みましたが、結論は入れました。
理由は、小さな改善から始めて、だんだん大きな改善へ、そして改革などへ繋がるの一般的であり、そのスタートの小さな改善について書かれた本だからです。
著者の東澤文二さんは、「改善済み提案」で名前を以前から知っており、改善活動のご指導では活躍をされていました、また、現在の工場管理という雑誌へ毎月記事を投稿され、活躍されています。
(但し、最近は改善活動が私の勤めている会社でも低調で、改善活動自体の存続が・・・・といった状態だと思います。)
改善を進める為には、まず誤解をとく必要があると書かれています。また、今回本を読み返してみて、私も誤解していた点があったと思います。まず、その点について。
①誤解1 改善はむずかしい
改善はむずかしくありません、むしろむずかしく考えて過ぎていませんか。(第1章)
②誤解2 改善は自分が楽になるためにするもの
「改善済み提案」の前の提案制度では、他の人に何かをやってもらう提案が主流でした。
しかし、提案は自分が仕事を楽にするためにするものであり、提案書等の記載でも苦労するべきものではない。(第5章)
これらの誤解=壁を打ち破れば、著者が主張している、改善の成功へのポイントとなる
①キーワード「とりあえず」「ようするに」を使って活動を前に進めるようにし、
②改善にあたり「やめる」「へらす」「かえる」からまず考え、
③「言っ放し」「やりっ放し」「書きっ放し」の3つの「放し」を撲滅し、
④提案カード改め「提案メモ」を簡単に書けるようにすれば、
提案活動はそれなりに活発に行われると確信しました。
提案活動を始められる方や、提案活動で悩まれている方にはお勧めかも知れません。
データ
出版年:2001年
出版社:中経出版
定価:1100円+税
ページ数:159
外観:
井上
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第245回記事(2015年6月15日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
タイトル ものづくり・工場改善 ムダ取り・改善⑦ 『5ゲン主義 ムダ取りの実践』 古畑友三
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以前から、
「原理・原則にもとづく現場改善の実践」(佐武弘章著)(日科技連出版社発行)
について記事を書きたいと考えていました。この本は、難しいが読み込めれば「経営改善」に関して大変有効な本です。
その紹介の前に「現場改善」に関する
「5ゲン主義ムダ取りの実践」(古畑友三著)(日科技連出版社発行)
について紹介をしたいと思います
理由は、「原理・原則・・・・」の本の著者は佐武先生ですが、内容は「5ゲン主義・・・・」の著者の古畑先生の製造メーカにおけるムダ取り・現場改善についてまとめられたものです。そのため、「原理・原則・・・・」について紹介する前に、「5ゲン主義・・・・」を紹介しておくとわかり易いのではと考えました。著者は異なりますが、大変関連性の深い本同士です。
最初に、聞きなれない「5ゲン主義」ですが、これは
3ゲン(3現)=現場+現実+現実に、
2ゲン(2原)=原理+原則を加えた主義です。
私は市場から返却されてきた不具合品の品質改善を会社で行っていますが、改善に当たっては3ゲンだけでなく2ゲンをさらに加えることで効果的な改善・対策ができていると自負しています。つまり、有効に活用しています。
2点目に無駄の定義について。2014年10月26日の「ムダとり・改善① 本のリスト」の記事の中で、『ムダ』の定義は著者等によりいろいろだと書いています。その理由は、製造現場だけを対象とする場合、製造現場以外の間接部門にも範囲を広げた場合などなど、『ムダ』を考える範囲がまちまちです。著者の古畑先生は、トヨタ生産方式でよく取り上げられる7つのムダ
①手待ちのムダ
②作りすぎのムダ
③不良品を手直しするムダ
④加工のムダ
⑤運搬のムダ
⑥在庫のムダ
⑦動作のムダ
を取り上げられた後に、
7つに分類して、一般に言われているように定義づけることはあまり良いことではない。
(中略)何故であるかについては、私は”ムダとは、価値の生じない変化”と定義している
(中略)この言葉の意味の捕らえ方があまりにも狭く、物造りの現場におけるものと思い込んでいる人たちがあまりにも多い(中略)。(p74、p75)
と述べられています。そのため、著者の古畑先生は(間接業務などにも範囲を広げた、)幅広い定義をされています。
①待ちのムダ
②必要以上に行動するムダ
③良いと思って行動したことが結果として修正を必要とするムダ
④製作、作成、設置のムダ
⑤運び移すムダ
⑥物が必要以上に置いてあるムダ
⑦事を行うために身体を動かすムダ
このように定義された理由は、76pから114pに具体的に記載があります。ご参考に。
大切なことは、定義を与えられたもので、変えられないものと考えるのではなく、自社や現場にあわせて範囲を拡張したり定義を変更して、
自社にとって有効なムダ取り・改善を行うこと
と考えます。
井上
データ
著者:古畑友三(こばた ともぞう)・・・・出版時は京三製作所社長
定価:1800円+税(定価)
ページ数:270p
出版社:日科技連出版社
出版年:1992年
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第238回記事(2015年4月20日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
ものづくり・工場改善 ムダとり・改善⑥
ムダとりの達人 山田日登志の カイゼン7つの法則 宮坂賢一
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<はじめに>
「カイゼン」という言葉を聞いて、多くの人が最初に思い浮かべる人が「山田日登志」先生ではないでしょうか。しかし、山田先生の著作を読むと、具体的な事例を列挙した本が多く、理論的な背景が実にわかり辛いという問題があると思います。また、山田先生の「カイゼン」によりいくつのも会社の経営改善がなぜできたのかという繋がりも、またわかり辛い点です。
本書は、雑誌記者である宮坂賢一さんが、山田先生のカイゼン指導の現場に密着し、
カイゼンで成果を挙げる為の理論的な背景と、
なぜカイゼンにより経営改善が可能だったのかという点を、
工場用語を使わずにできるだけ多くの人がわかるよう、噛み砕いて書かれた良書です。
<キーポイント>
山田先生のムダとり=カイゼンは、単に製造工程のムダを省くだけではなく、「お客様ニーズ」を出発点にして、出荷場から製造工程を上流に遡りながら、「人」と「在庫」などを関連付けながら、経営的なムダを省くものです。具体的には「日本で克つ」ために、①コスト削減、②納品までの期間を短縮、③多品種少量生産に対応するもので、その結果「活人」「活スペース」などができ、人のムダや在庫のムダなどが削減できて、顧客満足度も上がる結果、経営的な改善ができます。
言葉で書いても分かり辛いので、全体的なカイゼンのステップは13pを見ていただけたらと思います。(本を読み込まれないと、自社でカイゼンを進められるための十分な理解はできないと思いますが。)
法則1 お客様のニーズを「見える化」する
法則2 仕事のペースを決める
法則3 停滞のムダとり
法則4 運搬のムダとり
法則5 動作のムダとり
法則6 計画を見直す
法則7 ステージを上げる(この後、法則1に戻る)
山田先生は、カイゼンを進めるためには、カイゼンの技術(知識)だけではなく、心(意識)も大切であると説いていられます。こちらは21pを見てください。
(目次は、法則1~7の前後に、
総論 カイゼンで成果を出すために手順を知る
CDで学ぶ 心を鍛えてカイゼンを加速する
が入ります。)
<詳細ポイント>
この本の主要部分は、法則3~5の3つのムダとりです。それぞれの法則の解説に入る前の扉ページにサブタイトルが記載されています。これが大変参考になるのではと思います。
法則3 作業の流れを見直して作りかけの押し付けをやめる
法則4 作業の流れを円滑にするために距離を近付ける
法則5 作業者一人ひとりの体の動かし方を見直す
また、法則5については、「動作のムダ」を減らすための6か条が記載されており、役に立つと思います。ご参考にしてください。特に私は3番目の、
「高さをそろえる」(作業台の高さと推定します)
が参考になりました、というのは他の本ではこの記載を見たことがありませんので。当然のことなのですが。
<データ>
著 者:宮坂賢一(日経トップリーダー記者)
ページ数:215p
価 格:本体1600円+税
出 版 社:日経BP社
出 版:2011年7月25日
表 紙:
井上