シイタケが出ていないかなと探していると、
お菓子のマフィンそっくりのキノコを見つけました。
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第503回(2024年10月21日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
経営の力と伴走支援 / 角野然生 / 経営の本棚(2)
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1.はじめに
最近、伴走支援関係の小冊子を作ることになり、「伴走支援」について勉強しています。
従来の伴走支援は、経営者と支援者が登場人物で、課題を支援者が中心となり決めて、対策を支援者が提案して、課題解決を共同で進めるという状態でした。
この本では新しい伴走支援について書かれています。新しい伴走支援は、経営者と支援者が話し合いをしたうえで真の課題を選定し、経営者が腹落ちしたうえで、改善を主体的に進めることになります。
この本は、新しいタイプの伴走支援について書かれたものです。
2.目次
はじめに
第1章 復興の現場から
第2章 対話と傾聴
第3章 潜在力を引き出すメカニズム
第4章 伴走支援の全国展開
第5章 地域再生と伴走支援
第6章 企業と人の潜在力を引き出す社会
あとがき
3.伴走支援の8つのプロセス
従来の伴走支援とは異なる、新しい伴走支援について、8つのプロセスが108pに記載してあります。新しい伴走支援の8つのプロセスを書き出してみますと、以下になります。
①会社の状況把握
②信頼関係の構築
③対話と傾聴
④敬意、共感と問いかけ
⑤裏課題の把握と従業員の巻き込み
⑥変曲点ー気づきと腹落ち
⑦内発的動機付けと「潜在力」の引き出し
⑧自己変革と自走
また、経営力再構築伴走支援モデルを図に表したものが123pに記載されており、わかりやすいので参照ください。
4.ポイント
いつものようにポイント(キーワード)を整理して記載したいと思います。
抽出したポイントは4つ、対話と傾聴、裏課題、腹落ち、潜在力になります。以下にそれぞれのポイントについて記載します。
対話と傾聴:対話と傾聴に関する構成要素としては、対話、(心からの)傾聴、共感、問いかけ、提案などがあり、経営者と伴走者の信頼の醸成が目的となり、成果としては経営者の気づきや腹落ちに繋がるようにしなければいけない。また、経営者と伴走者の対話の概念図が85pに記載されており、「具体と抽象の往来の中で、経営者が自己を客観化し、内省の質を上げ、新たな自己発見に導ていくプロセスこそ「対話と傾聴」の本質」との記載が有ります。
裏課題:裏課題に対する言葉は表課題になります。表課題は、伴走支援の最初に上がってくる課題になります。例えば「人が足りない」「新しい工場を建てたい」などです。しかし、対話と傾聴を重ね、伴走支援が進むにつれて本質的な課題、これが裏課題ですが、見えてきます。74pには、「裏課題は、経営者自身が気がづかなかったか、漠然と課題だと気づいてはいても向きあってこなかったものが多い印象です。」との記載があります。
腹落ち:このキーワードはなかなか難しいです。本の中にも明確な記載のようなものは無いように思われます。しかし、気づきだけではだめで腹落ちまで進まないと、それ以降の行動の活発化や行動の変容に繋がらないし、最終的な成果の大きさが変わってきます。個人的な意見としては、本質的な課題を解決するぞという強い決心と言えるのではないでしょうか。
潜在力:3pにこんな記載が有ります。「経営者の方々が、より本質的な経営課題に気づき、納得し、主体性を持って自己改革に取り組み始めたのです。そして、社員にもその動きが伝わったとき、企業組織が持っている潜在的な力(潜在力)が発揮されるようになっていきました。」。潜在力は、経営者だけでなく、従業員を含めた、組織自体が潜在的に持つ力と言えるかと思います。詳しくは記載しませんが、潜在力を閉じ込めるものとして3点の指摘が75pにあります。
8つの各プロセスに対して上記の言葉がどのプロセスで出てきて、その言葉がキーワードになることを確認いただけたらと思います。
5.おわりに
新しいタイプの伴走支援について書かせていただきました。まだ世の中に普及していない伴走支援ですが、今後の日本の活性化などの為にも、ぜひ普及させることが必要な伴走支援と考えます。
なお、この新しいタイプの伴走支援につきましては、「経営力再構築伴走支援ガイドライン」が中小企業庁から出ています。
井上直久
データ
著者 :角野然生(かどのなりお)・・中小企業庁の長官をされていました
出版社 :光文社
出版年 :2024年
ページ数:234p
定価 :本体860円+税
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