シイタケが出ていないかなと探していると、
お菓子のマフィンそっくりのキノコを見つけました。
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第503回(2024年10月21日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
経営の力と伴走支援 / 角野然生 / 経営の本棚(2)
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1.はじめに
最近、伴走支援関係の小冊子を作ることになり、「伴走支援」について勉強しています。
従来の伴走支援は、経営者と支援者が登場人物で、課題を支援者が中心となり決めて、対策を支援者が提案して、課題解決を共同で進めるという状態でした。
この本では新しい伴走支援について書かれています。新しい伴走支援は、経営者と支援者が話し合いをしたうえで真の課題を選定し、経営者が腹落ちしたうえで、改善を主体的に進めることになります。
この本は、新しいタイプの伴走支援について書かれたものです。
2.目次
はじめに
第1章 復興の現場から
第2章 対話と傾聴
第3章 潜在力を引き出すメカニズム
第4章 伴走支援の全国展開
第5章 地域再生と伴走支援
第6章 企業と人の潜在力を引き出す社会
あとがき
3.伴走支援の8つのプロセス
従来の伴走支援とは異なる、新しい伴走支援について、8つのプロセスが108pに記載してあります。新しい伴走支援の8つのプロセスを書き出してみますと、以下になります。
①会社の状況把握
②信頼関係の構築
③対話と傾聴
④敬意、共感と問いかけ
⑤裏課題の把握と従業員の巻き込み
⑥変曲点ー気づきと腹落ち
⑦内発的動機付けと「潜在力」の引き出し
⑧自己変革と自走
また、経営力再構築伴走支援モデルを図に表したものが123pに記載されており、わかりやすいので参照ください。
4.ポイント
いつものようにポイント(キーワード)を整理して記載したいと思います。
抽出したポイントは4つ、対話と傾聴、裏課題、腹落ち、潜在力になります。以下にそれぞれのポイントについて記載します。
対話と傾聴:対話と傾聴に関する構成要素としては、対話、(心からの)傾聴、共感、問いかけ、提案などがあり、経営者と伴走者の信頼の醸成が目的となり、成果としては経営者の気づきや腹落ちに繋がるようにしなければいけない。また、経営者と伴走者の対話の概念図が85pに記載されており、「具体と抽象の往来の中で、経営者が自己を客観化し、内省の質を上げ、新たな自己発見に導ていくプロセスこそ「対話と傾聴」の本質」との記載が有ります。
裏課題:裏課題に対する言葉は表課題になります。表課題は、伴走支援の最初に上がってくる課題になります。例えば「人が足りない」「新しい工場を建てたい」などです。しかし、対話と傾聴を重ね、伴走支援が進むにつれて本質的な課題、これが裏課題ですが、見えてきます。74pには、「裏課題は、経営者自身が気がづかなかったか、漠然と課題だと気づいてはいても向きあってこなかったものが多い印象です。」との記載があります。
腹落ち:このキーワードはなかなか難しいです。本の中にも明確な記載のようなものは無いように思われます。しかし、気づきだけではだめで腹落ちまで進まないと、それ以降の行動の活発化や行動の変容に繋がらないし、最終的な成果の大きさが変わってきます。個人的な意見としては、本質的な課題を解決するぞという強い決心と言えるのではないでしょうか。
潜在力:3pにこんな記載が有ります。「経営者の方々が、より本質的な経営課題に気づき、納得し、主体性を持って自己改革に取り組み始めたのです。そして、社員にもその動きが伝わったとき、企業組織が持っている潜在的な力(潜在力)が発揮されるようになっていきました。」。潜在力は、経営者だけでなく、従業員を含めた、組織自体が潜在的に持つ力と言えるかと思います。詳しくは記載しませんが、潜在力を閉じ込めるものとして3点の指摘が75pにあります。
8つの各プロセスに対して上記の言葉がどのプロセスで出てきて、その言葉がキーワードになることを確認いただけたらと思います。
5.おわりに
新しいタイプの伴走支援について書かせていただきました。まだ世の中に普及していない伴走支援ですが、今後の日本の活性化などの為にも、ぜひ普及させることが必要な伴走支援と考えます。
なお、この新しいタイプの伴走支援につきましては、「経営力再構築伴走支援ガイドライン」が中小企業庁から出ています。
井上直久
データ
著者 :角野然生(かどのなりお)・・中小企業庁の長官をされていました
出版社 :光文社
出版年 :2024年
ページ数:234p
定価 :本体860円+税
外観
散歩道にて。だいぶ前に撮影したと思います。
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第498回(2024年7月15日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
風船会計 / 松本めぐみ / 経営の本棚(2)
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はじめに
今回は財務の本をご紹介したいと思います。
財務はなかなかわかりずらいという印象を持っておられる方が多く、
私もその一人です。
過去にも、「ものづくり・経営改善 財務」の中で、
人事が書いた経理の本
財務3表一体分析法
財務3表一体理解法
等をご紹介していますが、どの本も「分かりやすく」「使いやすく」を目指しているように思います。
今回ご紹介する松本めぐみ様の風船会計の本も「分かりやすく」「使いやすく」を中心に置かれていると思います。
松本様は、結婚された関係で製造業の会社の取締役になり会計担当になったが、
会計がわからないので一から勉強をされ、
会社従業員にわかりやすく使いやすいたとえを用いた会計・財務の説明をされています。
正式は本の名前は、「知識ゼロでも分かる 風船会計メソッド」です。
また、本の帯には「数字が苦手な人でも理解できる!会計をビジュアル化」とあります。
目次
いつものように目次を書き出します。
0章 会計を俯瞰で見る「風船会計メソッド」【入門】
1章 貸借対照表と豚の貯金箱【貸借対照表】
2章 現金とお化け【運転資金】
3章 損益計算書と風船【損益計算書】
4章 キャッシュ・フロー計算書と豚の顔【キャッシュ・フロー計算書】
5章 会計と風船会計メソッド【まとめ】
ポイント
ポイントはやはり、会計・財務関係のいろいろなものを、ユニークなものに例えられている点と思います。ここでは、例えられたものが何なのか想像いただいて、実際に本を読んでいただけたらと思います。
豚の貯金箱
お化け
ラッキー・アイテム
風船
気球
豚の顔
それ以外にも、
3匹の子豚のカフェ
子豚のスタイル
豚レンジャー
等の楽しいお話も出てきます。
データ
著者 :松本めぐみ
出版社 :幻冬舎
出版年 :2023年
ページ数:110p
定価 :本体1500円+税
外観
井上直久
タチアオイの花。神鍋高原にて。目に染みるような赤です。
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第496回(2024年6月17日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
1年で結果を出す経営改善のツボ / 野村宜功 丸山直明 / 経営の本棚(2)
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1.はじめに
久しぶりの「経営の本棚」での投稿になります。
京都の診断協会の事業承継研究会でご一緒させていただいている、丸山直明が本を出されています。「ツボ」と「1年で」というキーワードが入ったタイトルが興味が沸き、興味深く読ませていただきました。
結果として、そのとおりですねという点が多く、皆さんのご参考になる点が多いと思い、ご紹介させていただきます。
2.目次
いつものように、他の本と同様に、目次から入ります。
第1章 お金と時間をかけても結果が出ない
経営改善が頓挫する理由
第2章 急所をつけば一気に変わる!
経営改善には「ツボ」がある
第3章 ツボを押さえた対策を講じれば企業経営は
1年で立て直せる
3.ポイント
読ませていただいて、ご経験からくる中小企業の経営改善のポイントを的確に抽出し書かれているように思われます。ポイントとしていつものように3つに絞らせていただきました。
ひとつ目のポイントは、経営改善の内容を探すときに、便宜的に分けたととのことですが6つのジャンルに分けておられます。①社長、②戦略・ビジネスモデル、③経営管理・マネジメント、④人と組織、⑤営業、⑥財務。この6つの分野に、全部で35項目のツボが書かれています。30pのツボ探しのチェックリストを使い各項目が該当するか否かを明らかにすることで、自社の問題点のありかを明確化できます。
さらに各項目にはA、B、Cの優先順位が付けられていて、優先的に取り組むべきものが明らかになります。
ポイントの2つ目として挙げたいのは、「大企業とは勝手が違う「中小企業の経営改善」」でしょうか。14p。中小企業であるだけに、経営改善の成果が出にくい点がある点は認識しておくことが必要と思われます。
ポイントの3つ目として挙げたいのは、記載されているいくつかのツールです。私が知らなかったために気になります。1つ目のツールが「年計グラフ」(114p)です。月次単位で過去1年間の売上を集計して、その推移をグラフにすることで純粋に売上高の上昇や下降のトレンドを知ることができます。2つ目のツールが(というより、やり方に近いですが)、営業関係のプロセスを顧客のリストアップ→訪問→情報収集→提案→クロージング→受注と分けて、それぞれのステップで行うべきことや注意すべきことが違いますので。153p。収集すべき情報や整理すべき情報や営業ノウハウについてのまとめ表(いわいるツール)は162pや164pにフォーマットの記載が有ります。
4.最後に
読ませていただいて、いくつかの気付きを得ました。皆さんも読まれれば必ずいくつかの気付きを得られる本であると思いますので、ご一読をお勧めします。
データ
著者 :野村宜功 丸山直明
出版社 :幻冬舎
出版年 :2018年
ページ数:226p
定価 :本体1500円+税
外観
1月5日の新聞に、信越化学工業の社長・会長を33年間されていた 金川千尋 様が亡くなられたとの記事がありました。
ご冥福をお祈りします。合掌。
かつて信越化学工業の業績が良いということで理由を調べている中で、今回ご紹介する本に巡り合いました。過去にご紹介をしていなかったので、この機会に是非ご紹介したいなと思い本を何度も読み返しました。
正直、この本を手にしたときタイトル中の「戦わなければ」という言葉にびっくりした記憶があります。今もウクライナで戦争をしていますが、「戦わなければ」という言葉が戦争を思い出しますので。
本自体は、2002年12月の出版で既に20年を経過していますが、内容的には決して古いわけでありません。それは、会社経営の原理原則に基づいているからだと思います。
また、この本を取り上げさせていただいた理由は、私も観察が大切だと考えていますが、金川様も大切だと強調されている点、歴史研究会に入っておられて歴史の話が出てきて歴史好きな私も興味をそそられ、近親感を持ったからです。
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第469回(2023年1月23日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
経営の本棚 / 社長が戦わなければ会社は変わらない 金川千尋
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はじめに
まず「戦わなければ」についてですが、何と戦うかということがポイントになります。戦うのは、①社内の陋習や官僚主義、②競合、③お客様の需要の波、特に谷にあたる不況です。(この点は筆者の内容を整理したうえでの独自解釈です。)これらとどう戦うかについては以下の内容の項目で説明したいと思います。
目次
いつものように、目次を記載します。
序章 成功体験には引きずられない
第1章 ”自分流の経営”で戦う
第2章 会社を変革するために戦う
第3章 少数精鋭でムダと戦う
第4章 世界を舞台に戦う
第5章 戦うトップの条件
第6章 日本企業よ共に戦おう
金川様は独自の経営を追求されていました、それが”自分流の経営”の言葉に表れているように思います。
内容
まず、信越化学工業についてご説明しておきたいと思います。会社の設立は1926年で大変歴史のある会社です。事業は多岐にわたりますが塩化ビニル、シリコーン樹脂、半導体シリコン、合成石英などです。それぞれの分野で高いシェアを持たれています。事業内容からわかりますように材料メーカさんで、オールドエコノミーな事業とニューエコノミーな事業が混ざっています。
何と戦うかについては、既に①社内の陋習(※)や官僚主義、②競合、③お客様の需要の波と書きました。これらとどう戦うかについて、これから書いていきます。①社内の陋習や官僚主義に対しては、陋習については「体を張って陋習と戦う」(65p)、官僚主義については「あえて蛮勇を振るう」(73p)ということになるでしょうか。陋習と官僚主義で組織運営が硬直化し非効率な仕事のやり方が無批判にまかり通っている中で、社員に常識を疑うようよう促されています。悪い常識を覆すのが社長の仕事で、合理的な仕事のやり方を全社に広められました。結果、とっても合理的な経営となり、コストも下がりました。
※陋習:いやしい習慣、悪い習慣
また、②競合に対しては、「スピードが市場を制する」(41p)ので、スピードで勝つようにする、スピードを武器に戦うと考えていただけたら良いと思います。(170p「スピード経営」も参照。)具体的には、300mm口径シリコンウエハは信越化学が世界で最初に市場投入して成功し、シェア60%を獲得できたそうですが、シリコンウエハの市況を見て判断され、工場の建設などは3カ月以内の完成を命じられたそうです。また、市場投入の速度を上げる方法をいろいろと工夫されています。結果、他社に先駆けること約10カ月早かったそうです。
③お客様の需要の波に対しては、「市況商品の場合、データのチェックポイントは、相場の変わり目を確実にとらえること」です。具体的には、需要家が製品のオーダーをキャンセルしてきたり、「すぐ出してくれ」と言っていたものを「1カ月延ばしてくれ」と言い始めたりしたとき(169p)注意しなければいけません。市況は減速を始めていると考えられ、不況への対策を実行開始することになります。競合が手を打ってくるのは、信越化学工業で手が打たれてから2~3カ月後のことがよくあったそうです。とにかく市況をよく観察することが大切になります。
最後に
最後に、私が気に入った部分を4カ所抜き出してみました。
①「不況を言い訳にしない」(本のカバーのサブタイトル)
②「一生懸命やる必要はない。・・・ただし、勝たなければ困る。要するに勝てばいいんだ。」(63p)
③「元気のない日本経済でも、いろんなところにチャンスがあります。ただし、それはだれにも見える形で転がってはいません。それを見えるようにするには、普段から目の前の課題を寝ても覚めても考え抜いて、現状を深く遠くまで見通せる目を鍛えておかなければならない」(197p)
④「そして、楽しく仕事をすることを忘れないでください。」(209p)
大変参考になる部分がありました、一読をお勧めします。
データ
著者 :金川千尋(かながわ・ちひろ)
出版社 :東洋経済新報社
出版年 :2002年
ページ数:214p
外観 :
井上直久
これが、今回の記事で紹介する本です。
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4月だったでしょうか。家に帰るために駅前のバス停でバス待ちをしている時に、タクシー乗り場のある異変に気が付きました。
「今まではタクシー会社2社の車が客待ちをしているのに、1社の車が全くいない。」
時間によってはありえることですが、どうもおかしい。もしかしたら。そう思い、後日、駅近くのタクシー会社さんの本社を訪れてみました。玄関には以下の張り紙が。
告示書
その張り紙には「事実上倒産」「自己破産」の文字が。コロナ禍でどの会社も経営的に厳しい中で、悪戦苦闘されていますが、最悪の事態が発生してしまいました。このタクシー会社さんとは一時支援金・月次支援金の申請のお手伝いをさせていただき、経営状態は何となく感じていましたが・・・。
そんなことがあったものですから、今回は以下でご紹介する、「事業再生」に関する本をピックアップしました。著者の方は「事業再生」に関する経験が豊富で、本の中では事業再生についての手順・ステップが大変わかりやすく書かれていると思います。ご一読をお勧めします。
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第455回(2022年7月18日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
「あなたの会社をお救いします ~事業再生総合病院~」 洲山 / 経営の本棚
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はじめに
事業再生はどんな手順・ステップで進めるかについて、目次を見ていただくとわかりやすいので、まず目次を記載します。
第1章 「洲山再生総合病院」があなたのお命をお救いします!
第2章 ようこそ、洲山再生総合病院へ
~受付問診・初回診断
第3章 緊急止血で、「一命とりとめ」
~応急処置室で「とにかく止血」
第4章 社長さん、即、「入院」してください!
~あなたの会社を徹底ドック
第5章 内科での「総合治療」で完全治癒を目指す!
~効果絶大の輸血・点滴、投薬、食事療法
第6章 ヤバイ会社の手術開始
~外科・ICU治療室での復活劇
第7章 「おめでとうございます!」リハビリも順調に、いよいよ退院
第8章 銀行に、笑ってお金を返そう!
~事業再生「成功へのゴールデン・ルール」
病める会社を病人に例えて書かれていますので、ポイントとなる点を太字にして、会社の場合はどんなことをするのか説明します。
緊急止血⇨会社から社外に流出する現金(主に銀行への利子や借入金元本)の返済をやめる
徹底ドック⇨会社の状況を精査する、財務・事業DDなどを実施する
輸血・点滴⇨特に輸血は残されている資金調達方法で、資金を調達する
手術⇨不採算部門撤退やM&Aや人員削減等に相当します。
書かれている4つのポイント
書かれている内容を4つのポイントにまとめてみました。
一つ目のポイントは、緊急止血に関係することですが、倒産するのは「返せない金」「払えない金」を払おうとして、手持ちのお金が無くなるからです。返せない金を返そうとして倒産されてしまうと、銀行も迷惑なのです。その点から、銀行も相談にのってくれる(いわゆるリスケの相談にのってくれる)可能性があります(61p~64p)。(ただし、利益を出していない場合などは、危ない会社と思われるので、自分で自分の首を絞めることになることもあります。)止血方法としては、主に以下の4つがあります。①銀行への返済を止める、②リースの支払いを止める、③家賃の支払いをストップする、④社会保険・税金の納付を待ってもらう。
二つ目のポイントは、緊急止血に関係することですが、リスケをやるならバッサリです(71p)。中途半端なリスケなら、しないほうがよいということです。出血量を少なくするだけの処置では、遅かれ早かれ出血多量に至るのですから、中途半端なリスケでは、ほとんど意味がありません。棚上げする元金の額を大きくすれば、「返済を減額する」ことが、「新規融資」を受けるのと同じ効果を生みます。これがリスケの奥義になります。
三つめのポイントは、病気やけがを治すのは、実はドクターではなく、患者さん本人なのです(42p)。患者さん本人に治る気、治す気がなければ、治る病気やけがも治りません。実際、経営改善計画が作成されても、実行できなければ、治癒(健全な会社への復帰)はありませんので(238P)。必ず救われる患者さんのタイプは以下になるそうです。①踏まれても蹴られても「あきらめない」タイプ、②専門家であるドクターの意見を「素直」に聞き入れるタイプ、③「隠し事をしない」タイプ、④「実行力」のあるタイプ、⑤「判断力・決断力」のあるタイプ。これらの5つを全てかねそなえた社長さんなら、病院に来た時にはかなりの重症でも、とんとん拍子に治療が進み、完治するケースがほとんどだそうです。
四つめのポイントは、リハビリ時(経営改善計画実行時)、資金繰表を作成し、常にお金の出入りをチェックすることです。(202p)資金繰りについては、4つのポイントが202pに書かれていますので、記載します。①「利益がある=お金がある、という考えを捨てる」、②「資金繰表を作成し、常にお金の出入りをチェックする」、③月ごとの入金期日を、支払い期日より前に設定する」、④「現金決済に徹する」。ここまでやれば、まず「資金ショートはあり得ない。」そうです。
データ
著者 :洲山(希望大地会長)
出版社 :幻冬舎
出版年 :2011年
定価 :本体1100円+税
ページ数:254p
外観 :記事の先頭に表示
井上 直久・・・大変参考になる本でした
なんとなくもうすぐ春という感じの花なので撮影してみました。隣のお家の歩道で。
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第452回(2022年3月7日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
「経営の定石」の失敗学 小林忍 / 経営の本棚
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1.はじめに
この本はなんとなくタイトルに惹かれて読み始めましたが、読み始めるとついつい面白くて最後まで読んでしまいました。しかも2回も。
経営の定石となっていることを実行しても、経営に失敗する。そんなことはあり得ないと考えられるかもしれませんが、囲碁や将棋で定石を指しても、その戦いの場では必ずしも最適の手にならない(逆に悪手になる)ことがあるように聞いています。それと同じことと思います。
筆者は経営の定石と言われる10の定石についての失敗事例と対策を記載しています。失敗事例はなぜ失敗したのか、その理由がよく理解できるものになっています。以下では、経営の定石の10項目と、それに対する失敗の原因のひとつ(実際は本の小項目ですが)を列挙してみました。
2.項目と内容
①経営コックピット・・・”得意なものだけを見る経営幹部”が会社の危機を招く
②俊敏な経営・・・速度のために手順を飛ばす”ワープ経営”が裏目に出る
③リーダーシップ・・・強いリーダーは宿命的に”裸の王様”になる
④ワイガヤ・・・場の空気で意思決定されてしまう
⑤現場主義・・・現場は経営者には”学芸会”を見せるもの
⑥コミットメント経営・・・「各人がコミットせよ」主体をすり替えたのは誰
⑦モチベーション経営・・・モチベーションを隠れ蓑にする”嫌われたくない経営者”
⑧選択と集中・・・集中はしたけれど選択は?
⑨ポートフォリオ経営・・・一つのカゴに盛った卵 本当にリスクは分散されているか
⑩花形商品経営・・・ブラックホール 花形商品が事業の空洞化を加速する
3.おわりに
個人的には、ワイガヤはホンダさんで成功した経営手法ですが、以前から「場の雰囲気」に流されるのではと心配していたのですが、やはりその心配は当たりのようです。
各項目に対する対策が書かれていますが、著者は言葉が丸まっているとどうしても伝わらないところがあり、泥くさい生の言葉で語りかけましたと言っています。
上記の10の経営の定石が失敗する理由に思い当たるところがある方は是非一読ください。あなたが罠にはまらないために。
データ
著者 :小林忍
出版社 :株式会社ディスカバー・トゥエンティワン
出版年 :2016年
価格 :定価 本体1600円(当時)
ページ数:323p
外観 :
井上直久
ご近所の家の庭から道にはみ出している木の実。
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第451回(2022年2月21日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
「ドラッガーの時間管理術」 吉松隆 / 経営の本棚
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先日、表題の本を読んでいて、時間どろぼう対策に関連して、CIAの前身の組織が作成した、相手組織に送り込まれたスパイがその組織を崩壊させるためのマニュアルが書いてあり、大変面白いなと見ていました。127p。そしてその翌日の新聞でも「秘密文書が教えるダメ会議」というタイトルで同じ内容のことが載っていました。もの凄い偶然ですので、ぜひ皆さんにも知ってもらいたいと思い、その「サボタージュ・マニュアル」の一部を記載します。
書いてある内容とは逆のことをしたら、またはこれらのことをしなければ、生産性が必ず上がるということになります。思い当たる点があれば直ぐに改善しましょう。
・何事をするにも「決められた手順」を踏んでいなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな。
・重要な仕事をするときには会議を開け。
・可能なところでは「さらなる調査と検討」のためにすべての事柄を委員会委ねろ。委員会はできるだけ大人数とせよ(けっして5人以下にしてはならない)。
・もっともらしい方法で、ペーパーワークを増大せよ。ファイルを複製することから着手せよ。
・以前の会議で決議されたことを再び持ち出し、その妥当性をめぐる議論を再開せよ。
・あらゆる決断に対する妥当性について懸念を示せ。計画された行動はそのグループの権限内にあるのか、それが上層部の方針と矛盾していないか懸念を投げかけろ。
・指示、小切手などの発行に必要な手続きと認可を増やせ。一人でも十分なことに、3人が認可をしなければならないように取計らえ。
『サボタージュ・マニュアル』
井上 直久
へブンリーブルーという昼顔だそうです。散歩中に家内から教えてもらいました。
10月なのに、まだいっぱい咲いています。凄い生命力と思います。
(朝顔とも書いてありますが、昼でも咲いているので、ウキぺディアに従い昼顔としました)
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第444回(2021年10月18日(月)配信)・・・・・毎月第1第3月曜日配信予定
経営の本棚 生産性向上はこうする / 平石奎太
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「経営の本棚」というコーナで、色々な本を紹介してきましたが、久しぶりだねと思い確認
すると、2016年(5年前)以来の記事になります。
主に製造業の会社さんの経営改善についてあつく書かれていることが、久しぶりに記事を
書こうと思った理由でしょうか。
製造業関係の方は一読をおすすめします。
1.はじめに
この本は著者が北大阪商工会議所所報”NORTH"に連載されていた「事例に学ぶ」という
コンサルティングの成功事例の紹介が100回を迎え、記念集を発行されたところ、
幻冬舎の編集者の目に留まったとのことです。
そのため、事例が生生しく記載されています。
また、北大阪商工会議所は住んでいる場所から近く、興味深く読ましてもらいました。
主に製造業関係の会社さんについて書かれており、たいへん参考になるものでした。
2.目次
目次は
第1章 実例で探る改善策
第2章 コストダウン編
第3章 体質改善・人材育成
のわずかに3章です。働き方改革を実現するための生産性向上は、理論書はあっても
具体的にどう進めるのか、その「具体的な事例」はあまり見かけません。生産性の向上
の方途がわかる、ヒントとなると思われます。(特に第2章。「おわりに」より。)
3.コストダウン
主に第2章で書かれています。具体例は実際に読んでいただければと思います。
ここでは、書かれている内容から、コストダウンの体系をまとめてみました。
変動費の改善ーーー材料費の低減ーーー材料費の値下げ交渉
| |ー不良率の改善
| |ー試作回数の削減
| |ー廃棄ロスの改善
|ー設計主導のコストダウン
|ー外注費のコストダウン
|ーその他の変動費のコストダウン
4.生産性向上
この項目も第2章で記載されています。129pに「生産性向上」の説明があり、
「人と設備を増強せず、増大する生産高・売上高を達成する」とあります。
具体例は実際に読んでいただければと思います。体系的にまとめてみました。
固定費の改善ーーー製造部門の生産性向上ーーーレイアウト変更
| |ーシングル段取り化
| |ー機械設備保全
| |ー作業改善
| |ー工程改善・工期短縮
|ー設計・開発部門の生産性向上
|ー営業部門の生産性向上
コストダウンも生産性向上も、経営改善においては重要なものであり、
具体例として大変参考になるものでした。
データ
著者 :平石奎太
出版社 :幻冬舎
ページ数:241p
出版年 :2020年
外観 :
井上 直久
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第297回記事(2016年7月18日(月)配信)・・・・毎週月曜日配信予定
経営の本棚(24) 「上杉鷹山 リーダーの要諦」 佃律志
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今回ご紹介する本は、佃律志(つくだりつし)先生の書かれた、「上杉鷹山 リーダーの要諦」(日経ビジネス人文庫)です。
約20年前くらいでしょうか、「上杉鷹山」公がブームとなり、沢山の本が出版され、私も2~3冊読んだ記憶があります。
しかし、この本が他の本(小説が多い)と違うのは、
①上杉鷹山公の行った改革を現代の(中小)企業の経営にどのように活かしていけばいいか、対比しながら書かれており、
②豊富な(中小)企業のコンサルタント経験からのアドバイスがある、
点です。
特に、現場の人の”モチベーション”をどのようにアップし維持するかの点で大変参考になると思います。
ぜひ読んでいただきたい、お勧めの一冊です。(私は、たいへん歴史好きという点もあり、1週間で3回も通読してしまいました。)
上杉鷹山公をご存じない方もおられるかもしれませんので、まずそのご紹介を簡単にして、
その後にこの本のポイントを数点ご紹介します。
上杉鷹山公は、江戸時代中期の人で、山形県の米沢市にあった米沢藩の第9代藩主です。
米沢藩は、かつては120万石の収入があったのですが、関ヶ原の戦いに敗れ30万石に減額されます。その後、後継者を決めていないために、15万石まで減額されます。
ところが、武士の数は減らしていません。
現代の企業経営でいえば、売上が1/8になったのに、リストラを実施していない会社と同じです。
そのため、藩の財政は大赤字で、借金の利子の返済ができないので、商人からの新規の借り入れもできません。
赤字の会社が、借金とその利子が返せないので、銀行から新規の融資をしてもらえない、泥沼状態です。
上杉鷹山公はそんな状態の米沢藩の藩主になり、改革をされ成功に導かれた方です。
「為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」(262p)
この言葉は有名ですので、ご存知の方も多いと思います。しかし、私には精神論のように聞こえてこの本を読むまでは嫌いな言葉の一つでした。
しかし、208pの図表7-2「鷹山の改革は動機付けと効率化の繰り返し」を見ていただくとわかるのですが、
①人のマネジメント(動機付け)
②仕事のマネジメント(効率化)
の改善サイクルを回し続けた結果、改革に成功したのであり、改善サイクルを回し続ける気持ちを持つことが大事なことが分かつてきました。
①人のマネジメント(動機付け)については、現代では、「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」(103p)や「マズローの欲求5段階説」(115p)や「マクレガーのY理論X理論」(160p)がありますが、そのような理論の知られていない中で、常に考えて良い方向に改善して行く案を実行されています。その案が現代の理論とも一致しているので、改革は良い方向に転がりました。
②の仕事のマネジメント(効率化)については、225pの図表8-1「財政16カ年の組立」と問題解決の手順との関係 も参考になります。とにかく、短サイクルでPDCAのサイクルを回すことがたいせつです。
PS
現代企業経営では、戦略の立案が最重要視されている(と私が勝手に思い込んでいたのでしょうか。)。
従業員の方のモチベーションをどうアップさせるかがより大切だと思い込んでしまいそうなほど、
”モチベーションアップ”の重要性を痛感させられる本でした。
井上 三右衛門(記)
外観
データ
タイトル:上杉鷹山 リーダーの要諦
著者:佃律志
出版:日本経済新聞出版社
ページ数:297p
大きさ:文庫本タイプ
出版年:2016年
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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第305回記事(2016年9月19日(月)配信)・・・・・毎週月曜日配信予定
経営の本棚 「経営者に贈る5つの質問」 P.F.ドラッカー
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最近、ドラッカー先生の本を読んでいるのですが、やはりなかなか理解できずにいます。
そんな中で、この本は以下の5つの質問について書かれたもので、すごくわかりやすい。
とにかく単純な質問ほど回答しにくいのですが、現在の自分の状況での質問と考えると、一読の価値ありです。
1.われわれのミッションは何か?
2.われわれの顧客はだれか?
3.顧客にとっての価値は何か?
4.われわれにとっての成果は何か?
5.われわれの計画は何か?
井上 直久