(2011年5月23日(月)発行)(次回2011年5月30日(月)予定)
(年間12冊の中の5月の1冊になります。)
訪問ありがとうございます。今回はものづくり・工場改善の2回目になります。前回の新郷重夫大先生の場合、思った以上に訪問者があり、うれしい次第です。とっても固い話なのに。
では、
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タイトル:トヨタ生産方式で鍛える「改善力」 ~生産現場の見方と改善の進め方~
著者:小谷重徳(現在は首都大学東京教授。トヨタ自動車の出身)
出版社:日刊工業新聞社
ここが読みどころ
中級レベルの工場・工程・作業の改善力を短期間で育成することを目的とする。
多くの経験豊富なコンサルタントの本が多数出版されている中で、この本をまず一番に取り上げる理由は、改善のために問題を見つけるという一番難しいプロセスに対する解決策が記載されているから。また、このプロセスは問題を見つけられないと改善が出来ないので、一番大切なプロセスでもある。この本を読むことで、問題点を発見力が向上するこ請け合いです。
内容:
①改善力:改善力(問題を解決する能力)は、問題発見力と問題解決力に分けられる。
②特徴を出す:生産現場の改善に関する本が多数出版される中で、著者は特徴を出すため、生産現場の問題発見をする方法にスポットを当て、Q&A方式で改善力を図ろうとしている。
③問題を見つける方法:問題を見つける方法は、分析をして見つけるのではない。理想を明確にし、理想と現実とにギャップがあることを見つければよい。理想はトヨタ生産方式である。しかし、トヨタ生産方式がそのまま当てはまらない場合は、生産に関する原理・原則を適用する。
④Q&A事例1:[設問3.1]それでは生産現場の問題点を発見するためには、何をどのようにみるべきなのであろうか。もちろん、生産現場の現状を理解するために、すべてを見るべきであるが、4つの観点で生産現場を見るとすると、その項目は何か答えよ。
[回答]は、自分でよく考え、書きだした上で、理由付けもした上で、本で確認ください。(39p)
⑤Q&A事例2:[設問6.1]生産ラインに要求されることは、
・品質が良い
・生産時間が短い
・設備や労働に関して生産性が高い
などを達成することである。そのためには、生産ラインはどのような条件を備えていなけらばならないであろうか。このような観点から生産ラインを見るためには、どのような項目があるか指摘せよ。
[見方]生産ラインを見る主要な観点は以下のとおりである。
・生産ラインの有無
・工程の編成
・段取り替え時間
・・・・・(90p)
とにかく、QからAをじっくりと考える(考え抜く)ことで、生産現場を見る観点からの知識の整理をする(自分なりの現場を見るポイントをまとめる)と、改善力・問題発見力は必ず向上します。
目次:
第1章 改善力の鍛え方
第2章 トヨタ生産方式の概要
第3章 改善の進め方
第4章 5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)に関する改善
第5章 作業に関する改善
第6章 生産ラインに関する改善
第7章 生産設備に関する改善
第8章 生産の仕組みに関する改善
第9章 工程間運搬に関する改善
第10章 品質に関する改善
第11章 トヨタ生産方式の導入よる工場改革
ページ数:243p
価格:2400円
写真:
井上三右衛門
ものづくり・工場改善の本の紹介の1回目です。
年間12冊の中の4月の1冊です。
最初はまずこの大先生の著作をと以前から思っていました。
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タイトル:工場改善の見方・考え方 -改善は誰でもできる-
著者:新郷重夫
出版社:日刊工業出版社
(ただし、現在は絶版になっていると思います。各都道府県立の図書館くらいで探してみてください。)
ここが読みどころ:
工場の改善は難しい。しかし、その基本を身につけると継続的に改善が出来る。
さすがに、大先生の書かれた本だけに、改善の本質に迫り、これからの改善に役立つ、
「目から鱗」の本になること間違いなしです。
また、サブタイトルの「改善は誰にでもできる」を実感できます。
内容:
①著者の新郷重夫先生の経歴と業績事例
山梨高等工業学校を卒業され、日本能率協会でコンサルタント活動。指導先は多数。
「ポカヨケ」「シングル段取り」の考え方を創出。
これらは、トヨタ生産方式の中にも生かされている。だから、すごい。
「新郷賞」という、製造業のノーベル賞に相当するものがあり。
②根本の考え方:改善には「改善の定石」を知る必要がある
工場の進歩には改善が必要
→現在、改善が活発にされていないのは基本的な考え方が理解されていないから
→改善の常識を知れば改善は誰にでもできる
という考え方のもとに、実に130以上の実例を図入りで説明してある。わかりやすい。
③改善の着想の12項目(254p):結論はこの部分
1.排除・・・・現状の手段の一部をやめる。
それは止められないか考える。
2.正と反・・・・現状の手段の一部を変える。変え方は対立的で。
反対のやり方を考える。
逆もまた真なり。裏から見れば!
3.拡大と縮小・・・・現状の手段の一部を変える。変え方は対立的。
小さいものなら、見なくてもよいように、掴まなくてよいようにする。
誇張して考える。
4.平行と直列・・・・現状の手段の一部(並べ方)を変える。
並べ方をヨコ並べ(並列化)とタテ並べ(直列化)で考えてみる。
5.順序の変更・・・・現状の手段の一部(並べ方)を変える。
順序を入れ替える。
6.定数と変数・・・・現状の手段の一部(質)を変える。
”変わる”と思っているものの中に変わらないものはないか。
変動するものと固定的なものを区別してみる。
7.差異と共通・・・・現状の手段の一部(質)を変える。
どこが違うのかという点で着眼する。
違う部分と同じ部分を見分ける。
8.結合と分割・・・・現状の手段の一部(組み合せ)を変える。
結んだり、離したりしてみる。1つにする・分ける。
9.附加と削除・・・・現状の手段の一部(組み合せ)を変える。
チョット付け加えると大いに改善。
ある部分を取り除くと大いに改善。
10.正常と例外・・・・現状の手段の一部(頻度)を変える。
例外は多くない。100回中2~3回くらいか。
多くない例外を考えすぎない。
11.集約と分散・・・・現状の手段の一部(多数の対象)を変える。
集約することがポイントになる場合がある。
12.補足・・・・現状の手段の一部を変える。充足と代替。
作業のアイドルタイムの原因を除く、他のことをする。
(着想の12項目の記載に当たり、青木幹晴氏の「操業技術を磨く日々」に記載されている「チェックリスト(1)新郷重夫のアイデア出しリスト」を一部参考にさせていただきました。)
目次:
まえがき
第1編 改善のための基本的な問題
第1章 豊かな生産をするために
第2章 判らないとは
第2編 誰でも出来る改善の定石
第1章 事実をはっきり�拙む
第2章 目的の追求
第3章 より良い手段
第4章 着想のいろいろ
[図表目次]
ページ数:256p
価格:1500円(昭和32年の出版当時)
写真
井上三右衛門