絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

中学生作品コンクール2

2009-10-21 | 新ピカソ
私は、割と気楽に平然とやってきてしまいましたが、この作品コンクールを開くということは、結構大変なのです。

一番大変なのは、作品を集めることです。やるのは良いのですが、作品が集まらなければ話になりません。今は、私の後を卒業生の棚沢君が引き継いでくれていますが、その集める努力をすることを知りませんでした。黙っていても、集まるものだと思っていたそうです。生徒の立場で経験していますが、生徒の知らないところで、先生がどのくらい努力をしていたかを初めて知ったのでした。

私は初めて行なった時は、書道の高橋先生と相談していろいろな中学校を訪問して、説明に周りました。また、要項ができると郵送しましたが、送りましたという電話を入れました。届いたかどうかの確認をしないと、途中で握り潰される場合があるからです。美術の先生や書道担当の先生に届かない内に、捨てられてしまう学校もあると知りました。だから、確認の電話作戦をするのです。

夏休みが終わって、搬入の時期が近付くと、搬入の時期になりました。ご出品いただけますか?という電話もいれました。搬入時期を間違わないように、お願いする意味もありました。場合によると、時期を過ぎてから届く場合もあったのです。
それでは、審査が終わってしまいます。せっかく良い作品があっても賞がもらえません。だから、電話作戦は必要でした。

このような努力をして、集めていました。
回を重ねてくると、初めのころのように努力しなくてもかなりの数が集まるようになりましたが、たくさん集まることが発展ですし、多ければ多いほど、意味のある展覧会になります。たくさんの中から選ばれたという方が賞をいただいても価値があるからです。また、参加する先生方にしても、たくさんの中学の取り組みが見られて、これからの美術の授業を展開する上でも、他校の取り組みが参考になるのです。だから、たくさん集めることは、常に努力する必要がありました。

実は、出品点数には制限があります。1つの学校について、美術は20点、書道は30点までと決めました。団体賞の関係もありますので、作品点数を同じにして、合計点で争う形にしました。だから、団体賞を狙うには、限界までのできるだけたくさん出す必要があります。

会場は、管理職の理解が得られて、体育館を使うことができました。だから、その体育館の全ての壁を全部埋めてみようと思いました。ある年は、美術だけで700点を越えて、みんなが驚いたことがありました。
書道より多く集まりました。元々、書道の方が多く出せるので、美術が少ないのがあたりまえなのですが、こんなところでも私は勝負をしていましたね。書道よりたくさん集めてやるという気持ちです。私は、どこでも勝負をするのが好きでした。

夏休みの体験入学でも、書道と吹奏楽と勝負をしていました。吹奏楽と勝負をすると負けるのですが、それでも勝ちたいと思いました。吹奏楽は団体競技なので、一つの中学で参加する生徒がいると、友達がつきそいのような形で、いっしょに参加して来るので必然的に多くなります。その点、美術は個人競技なので、そういう意味で負ける可能性が高いのです。それでも、勝とうとしました。これは、余談でした。

という訳で、たくさん集めることは、大切なことでした。

つづく
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ベネチア派3

2009-10-21 | 美術
ジョルジョーネの代表作は、眠れるビーナスを覚えると良いと思います。
なぜなら、ティツィアーノとの関連が掴めるからです。

この眠れるビーナスは、ジョルジョーネが途中まで描いたものをティツィアーノが完成させたそうです。ティツィアーノが描いたときは、背景にキューピットも描かれていたそうですが、後の画家がそれを消してしまったという話しがあります。

ティツィアーノのウルビーノのビーナスは、目を開けてこちらを向いていますが、ジョルジョーネのビーナスは眠っています。その対比で覚えるとよいでしょう。
また、背景が外であることです。

ーーーーー
ジョルジョーネのビーナスは、アングルやカバネルに影響を与えたと聞いています。
アングルなら「泉」でしょうか、カバネルは「ビーナスの誕生」でしょう。
みなさんは、絵が思い浮かびますか?
紹介します。

  

このカバネルの絵は、どこかで見たことがあるでしょう?
ただ、画家の名前を覚えるところまではいってないかな?と思います。

そこで、海の上で裸で寝ているビーナスなのに、カバ寝る?なんてかわいそうと覚えると頭に入りますよ。

ビーナスの誕生というと、ボッチチェリーが有名ですが、これもビーナスの誕生です。ウラノスの男性器がクロノスに切り取られて、海に落ちて海の泡と結合してビーナスが誕生したことは、以前話しましたよね。だから、カバネルのビーナスも海にいるのでしょう。

この絵を描いたとき、マネが草上の昼食を描いて裸が問題になったときでした。マネは裸を描いて、問題になったのに、この絵は問題になりませんでした。不思議です。その理由は、この絵は神話の女神なので裸でも構わなかったのです、マネの場合は、普通の人が裸だったので、問題になりました。





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中学生作品コンクール

2009-10-21 | 新ピカソ
中学生作品コンクールを開催したのは、平成元年からでした。

これは、生徒募集の一つでもあります。目的は、文化の社会的貢献ということもあり、地域の文化の向上に役立てたいということですが、私学としての狙いは、絵の好きな子を発掘して、美術を勉強したいなら本庄第一高校へ来て学びませんかということでした。

生徒募集というと、なーんだ、利益の追究か!結局商売か?と。
しかし、美術の好きな子がどこで学んだら一番力を伸ばせるかと考えたら、良い環境を作ってやることが必要でしょう。そして、その環境がここにあるよと知らせてやることが必要だと思うのです。

私は、実績が上がっていない時も、ここに一生懸命絵を教えたいと思っている美術教師がいるぞーーーと叫びたくて、みんなに知らせたくてしょうがなかったです。
しかし、なかなか声は届きません。だから、中学を周って、生徒募集をしたことがありました。

美術の先生たちにお会いして、一生懸命教えますから、私に預けていただけませんか?とお願いしました。
いくらやる気があっても、生徒がいないのでは、話になりません。だから、生徒を集めることはとても大切なことなのです。
運動部なら、中学の大会で活躍している力のある選手を獲得することが実績をあげる一番の方法でしょう。そのために、特待生制度作って、募集する方法を取ります。しかし、美術でそのような方法はほとんどされていないでしょう。
私も初めの内は、特待生はありませんでした。それに、美術においては中学時代の実績などというものはほとんどありませんから、好きなら良いのです。

だから、絵の好きな子はいませんか?高校に行ったら絵を本格的に学んでみたい子はいませんか?という探し方です。その上、絵が上手だということが分かれば、尚良いのです。

絵が好きで、学んでみたいと思っている子が、満足してもらえる環境をつくることが、私の仕事で、それを知ってもらって、来てもらえるように宣伝することも私の仕事でした。

だから、美術部の顧問は、募集宣伝マンでもあったのです。

実績をあげて、宣伝しなくても希望する生徒がたくさん来るなら良いのですが、私学のため、余程気に入ってもらえなければ、来てくれません。授業料が高いということが、ネックです。
公立より高い授業料を払ってでも、ここへ来る価値があると判断されなければ、来てもらえません。集めるためには、初めからハンデがあるのです。
それには、私の熱意を伝えることと今預かっている生徒たちの絵のレベルや実績です。それから、もっと言えば、生徒たちのハートのレベルもその一つです。
あの学校へ行けば、あのように真面目できちんとした高校生になれると思われたら、保護者の理解も得られます。

いろいろな裏の事情がありますが、中学生作品コンクールは、その生徒募集の一つとして、始めたことでした。

これによって、絵の好きな中学生を知ることができました。絵の力も分かりました。そして、本校の生徒たちの絵も見てもらえる機会が作れました。高校生の絵も展示して、見てもらえるようにしたのです。

さわらび展もその目的もありましたが、なかなか中学生がたくさん見に来てくれる訳ではありません。だから、この作品コンクールは、中学生に見てもらえる良い機会になりました。

つづく



コメント (1)
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