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ハナウタ うたこの「宝物がいっぱい」

自分にとっての「好き」や「嬉しい」を集めて綴る、ささやかなことのブログです。

今日のは貸しだな

2017年09月11日 | ⓭ 職人技

今日は襖の日。

親方とともにリフォーム依頼のお宅へ伺うと

外壁も塗装仕直すようで、足場のチームが来ていた。

初めてお会いした足場の親方が、震えあがるほど怖かった・・・・。

 

「あれじゃ近所迷惑だ」

と襖の親方が小さい声で言った。

朝から若い人たちを怒鳴りつけていて、私も聞いていられない。

「俺も昔はあれくらい厳しかったけどね」

と親方が言った。

「いやいや、今も相当ですよ

と言ったら

「使えねぇヤツと組むとどうしてもそうなるよね」

だって。

・・・・ナンダコノヤロー、手伝わないぞ

 

親方の作業場へ戻って、

古い襖紙と障子紙をはがす作業をして、襖板にサンドをかけていたら

建具の親方がやって来た。

明日請け負う分の建具を今日のうちに持ってきたのだ。

(チッ!余計なことを

 

この建具が特注品で、東京の金持ちが発注したらしく

手間賃が普通の建具の3倍といわれる豪華版。

しかも板が厚くて重いのなんの。

1枚のサイズが大きくて、ひとりでは貼れない大きさなの。

貼り方も特殊で手間がかかる上に、撥水加工とかしていない和紙を貼ってくれと言う。

親方が

「オレ、やだよ。こんなのやりたくない。貼りたくない。」

ってずっとダダをこねていて

建具の親方に

「他にいないんだ、あんたの腕がたよりなんだよ、頼むよ」

とひたすら頭をさげられて

そりゃもうイヤイヤ引き受けていた。

 

親方もイヤだろうけど、私の方がもっとやだったよ

今日は襖の約束だよ。

こんなの・・・・・手伝えないよ・・・

怖い怖い怖い怖い怖い。

予定じゃ明日のはずじゃーん。

早く別の弟子を呼んで下さーい

 

・・・・ああ、でも親方がこっちを見ている

 

 

神経使った。

ヘトヘト。

だって、わたし、なんのノウハウもないんです

親方の不親切な(言葉が足りないんですよ))指示に振り回され

100円罰金を警戒して「バカ」は使わず(ケチ~

でもそれ以外の悪い言葉をいっぱい使いながら怒鳴る親方の手となり足となり

私は精一杯頑張りました。

 

和紙はすぐ汚れを吸い取るし、破けるし、

どこかにこすれば傷ができたり着色したりするし(ってのも今日知った

気が気じゃありませんでしたよ~

もう、ひたすらミスをしない様に注意を払い、集中し、気を遣い、

神頼みしながらようやく作業を終えた頃には

日も暮れはじめていました。

 

それでもね、帰りに親方が

「ハナウタ、今日はありがとな。特大ホームランだったぞ」

って言ってくれたんですよ。

ホントは全然ホームランなんかじゃないのは自分が一番知ってるけど、

腰の悪い親方はひとりじゃ貼れなかったのも事実だと思うから

その言葉、ありがたく頂戴しました。

 

お疲れ様でした。

また使ってねー。