<みんな「お金」が好き>
経済学は、人間はみんなが合理的な経済活動をすることを前提として成り立っています。
品質が同じなら安い品物を選び、価格が同じなら質の良いほうを選ぶ。
正当に働いて、収入を増やし、豊かになりたいと考える。
それが合理的な経済活動です。
つまり、みんな「お金が好き」「お金が欲しい」に違いない。
これが経済科学者の共通した考え方です。
あなたもお金が好きなのではないでしょうか?
おいしいものを食べたい。
きれいな服を着たい。
いろいろなところに旅行したい。
あるいはのんびり余暇を過ごしたい。
そうした欲望は少なからずあるはずです。
そのためにお金が欲しいと考えるのは自然なことでしょう。
人としての営みを実現し、幸せになるための手段として、私たちはお金を必要としているのです。
しかし、ダライ・ラマ法王もマルクスも指摘しているように、手段であるはずのお金が、目的にすり替わってしまうのです。
何かをするためにお金が必要だったのに、お金を得るために、すべてを犠牲にするようになってしまうのです。
たとえば、家族の幸せのために働いているはずが、家族と過ごす時間を犠牲にしてまで残業をしていたりなど、本末転倒なことになっていないでしょうか?
確かにお金はたくさんあって困るものではありませんが、もっと欲しいという人の欲望には限りがないものです。
お金が好きな私たちは、適度なところでうまくブレーキをかけることがなかなかできません。
本来は幸せになるための手段としてお金を欲しがっているうちに、お金の奴隷となって縛られてしまうのです。
日本の場合は、老後への不安という要素も見逃せません。
年金や医療といった国の社会保障への信頼が揺らいでおり、お金の形で蓄えておこうという人が多いのです。
かつて100歳以上のご長寿の双子姉妹として国民的アイドルにまでなった「きんさん・ぎんさん」に、こんな有名なエピソードがあります。
メデイアから引っ張りだこになり、イペントで獲得した賞金の使い道について問われた際、二人揃ってこう答えたそうです。
「老後の蓄えにします」
もちろん、お二人のユーモアだったのかもしれませんが、日本人のお金に対する慎重な意識をよく表している言葉ですね。
使う目的があってお金を貯めているというより、貯めること自体が目的になってしまい、結局、使う日が来ないのです。
高齢化が進む中、今や60歳以上の世帯が、日本人の貯蓄額の約6割を占めています。
池上 彰
「これからの日本、経済より大切なこと:池上 彰 著 ダライ・ラマ法王14世 著」より抜粋。
経済学は、人間はみんなが合理的な経済活動をすることを前提として成り立っています。
品質が同じなら安い品物を選び、価格が同じなら質の良いほうを選ぶ。
正当に働いて、収入を増やし、豊かになりたいと考える。
それが合理的な経済活動です。
つまり、みんな「お金が好き」「お金が欲しい」に違いない。
これが経済科学者の共通した考え方です。
あなたもお金が好きなのではないでしょうか?
おいしいものを食べたい。
きれいな服を着たい。
いろいろなところに旅行したい。
あるいはのんびり余暇を過ごしたい。
そうした欲望は少なからずあるはずです。
そのためにお金が欲しいと考えるのは自然なことでしょう。
人としての営みを実現し、幸せになるための手段として、私たちはお金を必要としているのです。
しかし、ダライ・ラマ法王もマルクスも指摘しているように、手段であるはずのお金が、目的にすり替わってしまうのです。
何かをするためにお金が必要だったのに、お金を得るために、すべてを犠牲にするようになってしまうのです。
たとえば、家族の幸せのために働いているはずが、家族と過ごす時間を犠牲にしてまで残業をしていたりなど、本末転倒なことになっていないでしょうか?
確かにお金はたくさんあって困るものではありませんが、もっと欲しいという人の欲望には限りがないものです。
お金が好きな私たちは、適度なところでうまくブレーキをかけることがなかなかできません。
本来は幸せになるための手段としてお金を欲しがっているうちに、お金の奴隷となって縛られてしまうのです。
日本の場合は、老後への不安という要素も見逃せません。
年金や医療といった国の社会保障への信頼が揺らいでおり、お金の形で蓄えておこうという人が多いのです。
かつて100歳以上のご長寿の双子姉妹として国民的アイドルにまでなった「きんさん・ぎんさん」に、こんな有名なエピソードがあります。
メデイアから引っ張りだこになり、イペントで獲得した賞金の使い道について問われた際、二人揃ってこう答えたそうです。
「老後の蓄えにします」
もちろん、お二人のユーモアだったのかもしれませんが、日本人のお金に対する慎重な意識をよく表している言葉ですね。
使う目的があってお金を貯めているというより、貯めること自体が目的になってしまい、結局、使う日が来ないのです。
高齢化が進む中、今や60歳以上の世帯が、日本人の貯蓄額の約6割を占めています。
池上 彰
「これからの日本、経済より大切なこと:池上 彰 著 ダライ・ラマ法王14世 著」より抜粋。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます