北のパラダイス

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-お金について-その3

2013年12月24日 | 未来構想
<幸せにつながるお金の使い方とは?>

日本ではお金持ちによる慈善活動だけでなく、中流の人々の活動も盛んとは言えません。
チャリティーやボランティアに抵抗がある人は多いのではないでしょうか?

時には偽善扱いされかねません。
実は私も学生時代、赤い羽根運動募金などのボランティア活動を見ると、「困っている人を助けるのは国がやるべき仕事じゃないか?」と疑問に思い、協力しようという気が起こりませんでした。

高度成長期を通じて、国民皆保険や年金制度など、社会保障に力を入れる大きな政府を日本人は選択しました。

税金や保険料をしっかり払う代わりに人助けは国費でやるべき、そう考える人が多いのです。
これは、ほとんど社会主義国の発想ですね。
本来の社会主義国では、国が全ての社会保障の面倒をみるのが建前のため、民間で寄付を募る文化はありません。

もっとも、この建前を実現するのは社会主義国でも困難ですが、日本は経済システムとしては資本主義でありながら、理想的な社会主義を実現しかけていたのです。

かつて日本が貧しかった時代、村を通っている道路が傷めば、ムラをあげて道普請をしたものです。
自分達が使う道路は自分達でつくり、いざとなれば総出で補修工事にあたりました。
はるか遠いところにある国家など、とても頼りにならなかったからです。

それが、いつしか道路というものは公共事業でつくるものになりました。
地元に金を引っ張ってきて道路をつくるのが政治家の主な仕事になりました。
自分達でやらなくても国がやってくれる、これはありがたいですよね。

なまじ国が豊かになり、頼もしい存在になったばかりに、誰もが国に全面的に頼るようになってしまったのです。
人間というのは楽なほうに流れるものです。

しかし、国民が公共事業に依存し続けた結果、国の財政は危機的状況となってしまいました。
企業では終身雇用の安心感も、すでに過去のものとなっています。

さらに東日本大震災後、国への不信感が一層高まりました。
もはや頼ってはいられないことが明らかに成りました。

お金の使い方も、お金に対する意識も、これからはますます変わっていくことでしょう。


私はもともと2011年3月いっぱいでテレビの仕事をやめて、取材や執筆に専念するつもりでした。
ところが、3月11日に東日本大震災が起こり、これをジャーナリストとして伝えないわけにはいかないという思いから、緊急特番に頻繁に出るようになりました。

しかし、これで儲けるわけにはいきません。
震災関連のテレビの特番の出演料や本の印税は、すべて日本赤十字社と中央共同募金(赤い羽根共同募金)に寄付しました。
現場でのボランティア活動ができない分を、こうした形で補いました。
その後、震災孤児の奨学資金を支えるユネスコの募金にも協力することにしました。

震災を機に「絆」が見直されたと言われます。

お金の使い方にも変化が起こり、少なくてもチャリティーやボランティアの存在感は格段に上がったのを感じています。
自分のためだけでなく、他人の幸せのためにお金を役立てという動きです。

お金に振り回されるのではなく、幸せな人生につながる道具として着実に使いこなせるよう、お金を味方につける智恵を多くの人が手にしてほしいですね。

池上 彰

「これからの日本、経済より大切なこと:池上 彰 著 ダライ・ラマ法王14世 著」より抜粋。





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