(2013/8/18 北海道新聞社説)
まだ食べられる食品が大量に捨てられている。
農林水産省の推計では、こうした「食品ロス」は年間500万~800万トンに上る。800万トンはコメの収穫量に匹敵する規模だ。
食料自給率の向上が長年の懸案となっている日本で、このような無駄を放置していいわけがない。
食品ロスの削減に向け、食品メーカーや卸、小売業者ら35社が今月から、飲料や菓子の納品期限を延長する実証実験を開始した。
改善への第一歩として、その成果に期待したい。
食品業界には、「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習がある。加工食品は、製造日から賞味期限までの3分の1の期間内でなければ、小売店に納品できない。しかも3分の1という納品期限は欧米に比べ短い。
返品に加え、メーカーに在庫されたまま納品期限を迎えた食品の大半は廃棄されてしまう。
実験では、期限を米国並みの2分の1に延長し、食品ロスを減らす効果を検証する。業界全体で問題意識を共有し、こうした取り組みを広げるべきだ。
ただし、納品期限を延ばせば、小売店の販売期間が短くなり、返品できない商品の損失をかぶる恐れがある。メーカー側は小売店との対話を密にし、過剰生産しないように適正な需要予測を立てる必要がある。
消費者の意識改革も欠かせない。そもそも、食品ロスの半分近くは家庭で発生するとみられている。
日持ちする食品の賞味期限はおいしく食べられる目安だ。傷みやすい生鮮食品向けの消費期限とは異なり、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。
違いを正確に理解し、賞味期限の鮮度にこだわり過ぎないようにしたい。必要な食材だけを計画的に購入し、使い切ることが大切だ。
飲食店や宿泊施設での食べ残しも無視できない。適量の注文を心がけ、余った場合は、店側と衛生面について相談し、問題のない料理を持ち帰ることも効果的だろう。
賞味期限が間近といった理由で、安全なのに売りにくくなった食品を企業から提供してもらい、福祉施設などに無償で届ける「フードバンク」が近年、根付きつつある。
道内でも複数の団体が活動しているが、ボランティア頼みで資金不足に悩んでいる。フードバンクへの理解を深め、活動を支えたい。
2011年の貧困国への食料援助は世界全体で約400万トンだった。
これを上回る食品ロスが、食料を輸入に依存する日本で生じている現実を、社会全体で重く受け止めなければならない。
【感想】
この問題がクローズアップされてから少なくても20年以上経過しています。
私が初めてこの問題を耳にした1990年代始めには、年間の食品ロスの量が既に1000万トンに達していたので、その頃に比べたら少し減って来ているようですね。
北海道新聞社の社説にもあるように、この問題に関しては、食品メーカー・卸業者・小売業者の他に、飲食店やホテルなどの宿泊施設、それを利用するお客さんなど、様々な立場の企業や人々が関わっている問題だけに、分かっているけれどなかなか一筋縄では行きません。
鮮度が要求される食品については、賞味期限や消費期限を守らなければならないという厳格なルールがありますから、食品ロスをどれだけ少なくすることができるか、というのが商売上とても重要になります。
小売業の場合は、適度に仕入れて期限内に売り切ることが求められますから、売れ残りそうになれば値引きや半額にしてでも売り切るのが鉄則です。
小売業における食品ロスの問題は社説の指摘にもあるように、納品期限「3分の1ルール」という商慣習を「2分の1ルール」にする取り組みというのは、課題はあるにしても一定の効果をもたらすかもしれません。
それよりも重要なのは、消費者の意識改革だと思います。
私もホテルでの宴会や居酒屋での飲食の機会がけっこうあるため、いつも悲しく思うのは食べ残しの量の多さです。
以前は、宴会の残り物は包んで貰って持ち帰っていたこともありましたが、今はきりがないので止めました。
ホテル側がたくさん作るから悪いんだ、と言ってしまえばそれまでですが、コース料理にもピンからキリまである訳ですから、料理は少なめに頼んで食べ残しを無くするような意識をお客のほうも心がけるべきだと思います。
バブル景気と破綻を経験する前の日本は、それこそ高度成長期とその延長線上で「行け行けドンドン」の様相を呈していました。
いわゆる「大量生産・大量消費・大量廃棄」の世界です。
バブルがはじけて失われた20年を経験した今でも、意識の上ではまだ「大量生産・大量消費・大量廃棄」から抜け出ていない人達がおおぜいいるような気がします。
求められるのは、「大量生産・大量消費・大量廃棄」からの脱却です!!
これからどんどん少子高齢化が進んで行くわけですから、もう大量消費はあり得ません。
未来の日本社会は、安心・安全・良食味な食品の「少量生産・少量消費・少量廃棄」となるでしょう。必然的に。
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まだ食べられる食品が大量に捨てられている。
農林水産省の推計では、こうした「食品ロス」は年間500万~800万トンに上る。800万トンはコメの収穫量に匹敵する規模だ。
食料自給率の向上が長年の懸案となっている日本で、このような無駄を放置していいわけがない。
食品ロスの削減に向け、食品メーカーや卸、小売業者ら35社が今月から、飲料や菓子の納品期限を延長する実証実験を開始した。
改善への第一歩として、その成果に期待したい。
食品業界には、「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習がある。加工食品は、製造日から賞味期限までの3分の1の期間内でなければ、小売店に納品できない。しかも3分の1という納品期限は欧米に比べ短い。
返品に加え、メーカーに在庫されたまま納品期限を迎えた食品の大半は廃棄されてしまう。
実験では、期限を米国並みの2分の1に延長し、食品ロスを減らす効果を検証する。業界全体で問題意識を共有し、こうした取り組みを広げるべきだ。
ただし、納品期限を延ばせば、小売店の販売期間が短くなり、返品できない商品の損失をかぶる恐れがある。メーカー側は小売店との対話を密にし、過剰生産しないように適正な需要予測を立てる必要がある。
消費者の意識改革も欠かせない。そもそも、食品ロスの半分近くは家庭で発生するとみられている。
日持ちする食品の賞味期限はおいしく食べられる目安だ。傷みやすい生鮮食品向けの消費期限とは異なり、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。
違いを正確に理解し、賞味期限の鮮度にこだわり過ぎないようにしたい。必要な食材だけを計画的に購入し、使い切ることが大切だ。
飲食店や宿泊施設での食べ残しも無視できない。適量の注文を心がけ、余った場合は、店側と衛生面について相談し、問題のない料理を持ち帰ることも効果的だろう。
賞味期限が間近といった理由で、安全なのに売りにくくなった食品を企業から提供してもらい、福祉施設などに無償で届ける「フードバンク」が近年、根付きつつある。
道内でも複数の団体が活動しているが、ボランティア頼みで資金不足に悩んでいる。フードバンクへの理解を深め、活動を支えたい。
2011年の貧困国への食料援助は世界全体で約400万トンだった。
これを上回る食品ロスが、食料を輸入に依存する日本で生じている現実を、社会全体で重く受け止めなければならない。
【感想】
この問題がクローズアップされてから少なくても20年以上経過しています。
私が初めてこの問題を耳にした1990年代始めには、年間の食品ロスの量が既に1000万トンに達していたので、その頃に比べたら少し減って来ているようですね。
北海道新聞社の社説にもあるように、この問題に関しては、食品メーカー・卸業者・小売業者の他に、飲食店やホテルなどの宿泊施設、それを利用するお客さんなど、様々な立場の企業や人々が関わっている問題だけに、分かっているけれどなかなか一筋縄では行きません。
鮮度が要求される食品については、賞味期限や消費期限を守らなければならないという厳格なルールがありますから、食品ロスをどれだけ少なくすることができるか、というのが商売上とても重要になります。
小売業の場合は、適度に仕入れて期限内に売り切ることが求められますから、売れ残りそうになれば値引きや半額にしてでも売り切るのが鉄則です。
小売業における食品ロスの問題は社説の指摘にもあるように、納品期限「3分の1ルール」という商慣習を「2分の1ルール」にする取り組みというのは、課題はあるにしても一定の効果をもたらすかもしれません。
それよりも重要なのは、消費者の意識改革だと思います。
私もホテルでの宴会や居酒屋での飲食の機会がけっこうあるため、いつも悲しく思うのは食べ残しの量の多さです。
以前は、宴会の残り物は包んで貰って持ち帰っていたこともありましたが、今はきりがないので止めました。
ホテル側がたくさん作るから悪いんだ、と言ってしまえばそれまでですが、コース料理にもピンからキリまである訳ですから、料理は少なめに頼んで食べ残しを無くするような意識をお客のほうも心がけるべきだと思います。
バブル景気と破綻を経験する前の日本は、それこそ高度成長期とその延長線上で「行け行けドンドン」の様相を呈していました。
いわゆる「大量生産・大量消費・大量廃棄」の世界です。
バブルがはじけて失われた20年を経験した今でも、意識の上ではまだ「大量生産・大量消費・大量廃棄」から抜け出ていない人達がおおぜいいるような気がします。
求められるのは、「大量生産・大量消費・大量廃棄」からの脱却です!!
これからどんどん少子高齢化が進んで行くわけですから、もう大量消費はあり得ません。
未来の日本社会は、安心・安全・良食味な食品の「少量生産・少量消費・少量廃棄」となるでしょう。必然的に。
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