詩集・いのち輝け青春の49ページの詩を紹介します。
「みんな つまらない人間とよばれて
生きてゆくのですか
これから先
努力も何もしないで
生きてゆく人間になって 生きてゆくのですか
力ある 心ある 夢のある
信念のある 勇気ある 友情ある
素敵な人になってほしいのです
無理なお願いですか
大切なわたしの生徒へ」
この詩を、キャンバスに須永博士の直筆で書いてほしいというご依頼を受けました。
依頼する際に改めてこの詩をゆっくり読みましたが、この詩を教室に飾りたいとおっしゃった先生の心まではわたしには分かりませんでした。
先日、作品が届き、ちょうど美術館で額に入れていたところに小国のお世話になっている方がいらっしゃり、この作品を目にするとすぐ、
「いい!!!! この詩は すごく いい!!!」
と、じっと見られていました。
そして話を聞かせてくださいました。
もう25歳になる娘さんが中学生の時のことを・・・。
中学校の先生にも生徒さんにも色々いて、娘さんは100ある力を常に全力で出すようなタイプではなかったそうです。
でも、先生の中にはじっくりその子に合わせてみてくれる先生と、「絶対にやれるぞ!!!」と、常に高い目標を持ってみてくれる先生がいて、娘さんはどちらかというとゆっくりゆっくりマイペースで進みたい生徒さんだったと。
でも、部活動でキャプテンに選ばれたそうです。
キャプテンになるのも躊躇していたけれど、先生は期待していたようで、精一杯頑張ろうとみんなで協力しながらなら出来るだろうと頑張っていたそうです。
だけど、キャプテンとしての責任、チームの和をとるための努力、きつくても自分は弱音を吐けない・・・などなど重圧があり、友達も「キャプテンなんだから」という目で見られる日々・・。
ある日
「お腹が痛い・・・」
と、学校に行けなくなってしまったそうです。
明るかった娘さんが、家の柱にしがみついて、
「学校に行きたくない!」
と、泣き叫んだと・・・。
なのに、仲間の女の子達は知らん振り(していた訳では無いかも知れないけど、そう見えていたのでしょうね。)して、高校受験に励んでいる姿、娘は苦しんでいるのに・・・
そんな姿を見て、お母さんが立ち上がり、学校へ行き先生と話し合いをしたそうです。幸い、その先生は「わたしがもっと気づいてあげればよかった」と、チームのみんなにもしっかり話してくださり、チームの子達が泣いてあやまりに来たそうです。
娘さんも立ち直ることが出来、しっかり受験勉強をして(でも、女子がいっぱいいる学校はいやだと、男子の多い高専へ入学したそうです。)それからは、みるみる元気になり、いまではすっかり、なんでも話し合え、元気に生きているとの事です。
その時の先生が、しっかり娘さんのことを心配して、見守ってくれたことを思い出し、
「きっと、この詩を購入される先生も、すごくいい先生なんでしょうね。中学生にもなると、がらっと変わるし、生徒も先生もいろいろ悩んでいるはず。この詩を選んだ先生は、生徒さんのことをしっかり考えているはず。いいわぁ。」
と話していました。
もしかして、いじめたりする子も、上手く気持ちを表せない子も、心の中に抱えているものがあるのかもしれないし、みんな同じ人間だから。
「子供達はみんな、素直なんだから、絶対に読むわ。
口に出さなくても、目に入れば、いつかきっと、この言葉が助けてくれる時がある。
先生の気持ちも、必ず伝わるでしょうね。」
そうかぁ。
わたしはまだ、自分の子供は小学生。
中学に入ったらまた違う子育ての悩みが出てくるように、学校の先生方も、小学校、中学校、高校と、子供の成長に合わせた対応や教育を求められるのでしょうし、子供の立場、親の立場、そして先生方の立場はさまざまですが、基本は、まっすぐ素直に、すてきな人になってほしい。ということがあったらいいんんだな・・。と、この詩をもう一度読んで、思いました。
そして、最後に話してくださったのが、
「人間の常識や基準は人それぞれ違うから、ある程度の人としてのラインを目安にして、それより下には行かないように努力すればいいのよ、先生方だって、教室にいるすべての子の生まれ育った環境が違うものを、みんなおんなじラインになんて出来ないんだから。
その子のペースに合わせて、持っている力を使えるように手を差し伸べてくれる先生がたくさん増えてくれるといいわね・・・。」
「子供は親がしっかり守るのよ。ここは!!という時にはいのちをかけてでも!という迫力も大切よ。ただ、自分本位になったらいけない。
自分の信念をしっかりもって、それを冷静に相手に伝えること。
それと、子供が親に、何でも話せる環境を大切にしてね。」
こんな、たくさんのお話しを聞かせてもらい、ありがたかったです。
うまくかけないけれど、もっともっといい話をしてくれていたようにも思います。
ゆっくり思い出しながら、これからの子育てにも活かし、そして、須永博士の詩の中に込められた想いも考えてみたりもしようと思います。
同じ日に来られた別のお客様も、「こんな先生に教えてもらいたかったな」と、年輩の男性がおっしゃっていました。
今日、依頼下さった先生が作品を受け取りに来ていただきました。
この作品がそっと教室に飾られ、この言葉に込められた 購入した先生の想いが生徒さんたちに届くことを願っています・・・。