SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

フィブリン糊でC型肝炎に感染

2007-12-16 | 雑感
 手術で使うフィブリン糊によってC型肝炎に感染した患者さんが、国などに対する損害賠償請求訴訟に加わったことを最近のニュースで知りました。読売新聞によると、これまで日本の外科手術で約7万9千人にフィブリン糊が使用されていて、それによるC型肝炎感染者が千人以上いるという推計もあるそうです。

 今回問題となっているフィブリン糊は旧ミドリ十字社(現在は会社を田辺三菱製薬が引き継いでいる)が発売したフィブリノゲン製剤で作られた非加熱製剤です。現在主に使用されているフィブリン糊(商品名ボルヒール、ベリプラスト)またはフィブリノーゲンを含んだシートであるタココンブ等は加熱処理・ウィルス除去膜により既知のウィルスは除去されているのでC型肝炎感染の報告はこれまで1例もありません。しかし、プリオンや未知のウィルスの感染は完全には否定できないとされています。私も千葉大病院勤務時にはベリプラスト・ボルヒールを使用していましたし、現在はタココンブをたまに使用しますので最初このニュースを見た時は「どきっ」としましたが、これらの製品の安全性を確認してほっとしました。