SURGERY NOW note

がん治療と外科手術に関する新しい情報や日常診療を通じて感じたことなどを紹介します。

千葉大学先端応用外科 松原久裕教授就任祝賀会

2007-12-03 | 雑感
 2007年12月2日に千葉大学先端応用外科(旧第2外科)の松原久裕新教授の就任祝賀会がホテルニューオータニ幕張で開かれました。

 400人以上の人が集まり大変賑やかな祝賀会でした。私もお世話になっている先生方にご挨拶することができましたし、昔の同僚に会えて楽しいひと時を過ごすことができました。これから新教授と医局員の努力、さらに千葉大学外科系教室(旧第1外科、小児外科、呼吸器外科など)の協力を得て魅力ある外科臨床研修制度を構築することにより、一人でも多くの新人外科医を立派に教育していただきたいと思います。

日本臨床外科学会

2007-12-01 | 学会
 横浜で開催された日本臨床外科学会に参加しました。私は、肝内胆管がんと膵がんの手術での門脈合併切除について報告しました。私たちの施設では、肝内胆管がん切除手術の15%、膵がんでは38%に門脈合併切除・再建を施行しています。門脈切除・再建に起因する大きな合併症はありませんでしたので、技術的には安全に施行できるのですが、問題は門脈を切除するような大手術が実際に治療効果があるかどうかということになります。

 今回は肝内胆管がんについて、門脈切除8例と門脈を切除していない47例の生存率を比較検討しました。その結果、門脈に浸潤するがんの方が、生存率は不良でしたが、統計学的には有意差を認めませんでした。まだ症例数が少ないので結論を出すことはできませんので、さらに今後も検討を続ける必要があると思います。

 切除できない肝内胆管がんの治療法として最も一般的なものは、胆道がんに準じたゲムシタビンやs-1などの全身化学療法です。これまで肝内胆管がんを含んだ胆道がんに対する全身化学療法の有効性がある程度示されています。しかし肝内胆管がんだけでは数が少ないために、多数例による大規模な臨床試験を行うことが不可能であり、科学的根拠(エビデンス)のあるデータを得ることができないという問題があります。その他の治療法としては、肝動脈経由で腫瘍に抗がん剤を注入する肝動注療法などが試みられています。