郷が杜備忘録

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城をとる話(司馬遼太郎著)

2023-02-09 | 読書

しばらくぶりに司馬さんの本を読んだ。

司馬さんは今年が生誕100年であるという。1923年の生まれだ。

そして亡くなったのが、1996年2月12日で、同日は「菜の花忌」と呼ばれている。72歳だった。

 

この小説は、1965年に新聞連載に載り、同年単行本として発行された。

今までこの本は知らなかったが、たまたま古本屋で見つけ購入した。

内容は、関ケ原の戦いの前夜、東北の地での伊達氏と上杉氏の国境での争いを描いたもので、

史実ではないと思うが、戦国乱世の男の生きざまを描いた作品である。

解説によると、石原裕次郎さんの依頼で原作として書かれたようで、その後石原プロの手で映画化もされたようである。

 

最初に読み始めたときは、時代は分かったが史実ではないのでわかりにくく、あまり読むのにのめりこめなかったが、

中盤以降、城を取りに行くあたりから、主人公や取り巻く人たちの話など、時代を生きている人たちの心情なども

わかるようになり、面白くなっていった。

 

主人公は、車 藤佐(くるま とうざ) 佐竹家出身の侍、会津にあった上杉方の味方をして、

上杉の臣、中条佐内とともに、城取りに行く。

迎えるは、伊達側、西国浪人、赤座刑部(あかざ ぎょうぶ)、この男が差し図して作っている城を奪おうとする。

その間に、赤座を監督する伊達側の目付、遠藤三四郎という武士もいる。遠藤は西国浪人の赤座を疑っている。

赤座は城も作れ、軍略家でもある、技能に秀でた浪人である。

地元武士団の血縁で結ばれた主従関係を重んずる遠藤には、伊達家の家風には合わないと思っている。

 

そこに城を造られる土地の村の農民や巫女などがからみ、状況が点々と変わる中で、城取りが行われてゆくという話であった。

クライマックスに近づくにつれ、戦国乱世に生きた男の生きざまが見事に現れてきて、今とは違う「男の美意識」が見えるようであった。

 


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