気の向くままに

山、花、人生を讃える

感動した「ある男の臨死体験」

2020年02月04日 | 人間死んでも死なない

昨日、必要が生じて本棚の整理をしていたら、3年ほど前にガンで他界した人から形見分けとしていただいていた本を見つけた。家内が読みたいというので先に家内が読んで、その後私が読むつもりだったがすっかり忘れていたものである。そして見つけたのを幸い、さっそく読み始めました。

 

本の名前は『死後の真実』というタイトルで、著者は「死に関する研究」で世界的に有名なエリザベス・キューブラ・ロス博士(精神科医)である。この博士のことはよく知らないが、名前だけはよく知っていて、以前からこの博士の著書を読みたいと思っていて、今回ようやく読む機会を得たと云う訳である。

 

まだ読んでいる途中だが、今朝読んでいた中に、思わず涙の感動的な話があったので、さっそくここ紹介させてもらいたくなった次第です。

 

それはアメリカのある男性の話です。

彼は戦没者将校記念日の休日に、家族全員で田舎の親戚の家に出かけるため、彼の奥さんと奥さんの両親、そして8人の子供たちが彼を迎えに来ることになっていた。その途中、ガソリントラックにぶつけられ、ガソリンが車にかかり、家族全員が焼死してしまった。

 

そのことを聞いた彼は、何週間もひどいショック状態と麻痺状態が続き、話すことも出来なくなり、手短に言えば、ろくでなし人間ななってしまった。毎日ウイスキーを1本飲みほす他に、苦痛を和らげるためにヘロインなどの薬を使うようにもなってしまった。仕事をしてもぜんぜん続かず、文字通りのドン底の生活に陥った。

 

そして一方のキューブラ・ロス博士は多忙な講演旅行をしている時、一つの講演が終わったところで、サンタバーバラのホスピス・グループからもう一つ講演をしてくれないかという依頼を受けた。その依頼された講演の導入部分が終わったところで、何度も同じことを繰り返し話している自分がかなり疲れていることに気づいた。

 

そして「ああ神様、もしこの聴衆の中に臨死体験を持ち、それを他の人たちに話してあげられる人が一人でもいたら、私は休憩をいただけるのですが。それに皆さんも私の古い体験を何度も聞くより、生々しい体験を聞けるでしょう」と心で呟いた。

 

丁度その時、そのホスピス・グループの中心者が緊急の伝言が書かれた紙切れをもってきた。それは、自分の臨死体験をキューブラ・ロス博士に聴いてもらいたいと願う、失意の男性からのものだった。それでロス博士は休憩を貰い、その男性のいる安ホテルへ使いを出した。しばらくすると失意の男性はタクシーを飛ばして聴衆の中に姿をあらわした。「ろくでなし」と自分を表現していたにはふさわしくない、きちんとした身なりの洗練された男性だった、と書いている。

 

そして、ロス博士は彼の人柄を見極めるまでもなく、彼に「皆さんと分かち合いたいと思っていることをぜひ話してほしい」と頼んだ。
そして彼は壇上に上がり、次のようなことを話したという。

 

彼は、どれほど週末の家族との再会を楽しみにしていたか、どうやって家族のすべてを死へと追いやった事故が起ったのかを話した。そしてその後のショック状態と麻痺状態、また突然独り身になってしまったことや、何人もの子供を授かったのに突然子無しになってしまったこと、たった一人の身寄りもないまま暮らしていかなければならなくなったのがまるで信じられなかったことなどを話した。

 

彼は、それと真剣に取り組むことが全然できなかったこと、収入が多く、きちんとした中産階級の夫であり父親であったのに、完全な「ろくでなし」へと変わってしまい、朝から晩までお酒を飲み続け、手に入るあらゆる薬を用いて自分を鎮静させようとしたこと。又何度も、考えられるあらゆる方法で自殺を試みたが、どうやってもうまくいかなかったことなどを話した。

 

そして、最後に覚えていることは、文字通りどん底の2年間の生活の挙句、森の脇の汚い道の上で薬や酒に酔いしれ、寝ころんで、家族に無性に会いたがっていたこと、生きる望みもなかったこと、そのとき、大きなトラックが近づいてきて、自分をひいていくのが見えたこと、しかし、体を動かすだけのエネルギーもなかったことなどを話した。

 

そして、「このときでした」と話を続ける。

彼がトラックにひかれ、重傷を負い、道に横たわっている、そういうすべての情景を、何フィートか上に漂いながら見ていたその時、家族が自分の前に姿を現わし、光の輝きの中から、驚くほどの愛とともに彼らが皆幸せそうな笑みを浮かべていたこと、彼に向かって、ただ自分らの存在に気づかせようとしていたこと、それは言葉を交わすのではなく、以心伝心の形で行われ、他界した家族たちが、大きな喜びと幸せの中にいて、それを分かち合ってくれたことを話した。

 

彼は、家族があまりにも元気で美しく輝き、今の状態に大変満足していて、無条件の愛に満ちていることに心を打たれた。そして彼は誓った。また自分の体に戻って、この素晴らしい体験を世界中の人々と分かち合おう、と。そうすることで、これまでの2年間、自分の肉体を投げすてようとしてきた罪滅ぼしになると思ったとのこと。

 

そして、そう誓うや否や、彼の重症の体をトラックの運転手が車の中に引き入れようとしているのが目に入り、また事故の現場へと救急車が急いでいるのが目に入った。そして彼は病院の救急室へ連れていかれ、ここでやっと自分の体に戻ることが出来た。

 

彼は体のまわりに付けられていた革ひもを外し、文字通りに自分の足で救急室を出たとのこと。そして、その後は、アルコール中毒による幻覚も、薬や酒の大量乱用による後遺症もまったくなく、完全に癒やされた。そして、できるだけ多くの人に死後の「いのち」が存在することを伝えるまでは死ねないと、固く誓った。

ちょうどその頃、ロス博士がサンタバーバラへ来るということを新聞の記事で読み、会場へ伝言を頼んだととのことである。

 

そして、彼はあの短い一時的な幸せな家族との再会の際に約束したことを、今此処で聴衆と分かち合うことで、彼は約束を果たすことができたというのでした。

 

以上、長くなりましたが、これらの話をワードに打ち込んでいると、本を読んでいる時とは違って、一層この男性の苦しみ、悲しみなどの気持ちが伝わって来るようで心が揺さぶられるようでした。

 

さて、この様な臨死体験中の他界した人との再会について、懐疑的な科学者は、「それは会いたいという願望の反映である」との見解らしい。それもわからないではないが、それに対してキューブラ・ロス博士はこう述べている。

 

臨死体験中に再会できるのは、たとえわずか数分前でも、必ず既に他界している人に限るのであり、まだこの世に生きている人との再会の事例が一つもないこと。そして、臨死体験者が再会したいという願望をもつのは、既に他界している人であり、生存中の人と再会したいなどという意識はない。それにもかかわらず、数分前に他界した人や、他界したとは全く知らなかったような、本人が思いもしなかった人が会いに来たりして驚くという実例を示し、願望の反映とは言えないとしています。

 

長くなりましたが、最後まで読んでいただき感謝です。

コメント (2)
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