こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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第4回めぐみ在宅クリニック「追想の集い」

2010-10-03 22:57:28 | めぐみ在宅緩和ケア関連
今日は、昨年8月から今年の7月までに亡くなられた患者さんのご家族をお招きしての、「追想の集い」が行われました。
今年からは参加人数が増えたたため、2部に分かれて行いました。
私は、1部から参加させていただき、例年通り「献杯」の音頭を取らせていただきました。

うちのステーションでお見送りした患者さんのご家族は、2部にお招きしていましたが、お一人だけご都合で1部に見えた方がいらっしゃいました。

忘れられない患者さんのご家族です。(昔の歌アディオスちょい悪おじいさんなど)

わざわざ、東京から駆けつけてくださって、お会いできてとてもうれしくて・・。
お父様の介護にまつわることや、チームとしての援助に感動したことなど、追想のスピーチもして頂きました。

息子さんは、お父様を見送る半年前に、お母様を東京の自宅で看取られたそうですが、その時も地域の医師に往診をお願いしており、訪問看護や訪問介護を受けられたそうですが、その時は、それぞれの仕事がばらばらに来て、それぞれケアをしていくという感じで、それが普通なのだと思っていたそうです。
しかし、瀬谷でのお父様にかかわる医師、看護師、ケアマネ、ヘルパーの息の合った連携にびっくりしたと言われました。

『本当に「チーム瀬谷」は、すごいです!僕は、びっくりしましたし、感動しました。
ああいう父ですから、さぞみなさん大変だっただろうに、私たちが何もしなかったのに、あんなにも父の思いに沿った最後を遂げさせてもらって、本当にありがとうございました。』

何度も、何度もありがたい言葉をいただきました。
残念ながら、今日は「瀬谷の母」こと「わくわく」の中野さんは、ご事情により欠席されており、とても残念なご様子でした。

2部には、うちのスタッフも3人応援に来てくれました。
2部には、懐かしいご家族がたくさん見える予定です。

入り口での受付を終えて、目が合ったとたんに「会いたかった!!」そう言って抱きつきてきて涙をぽろぽろこぼされたSさんの奥様。
「お久しぶりです!私もあいたかった。なんだか、小さくなりましたね?」
本当に、やせて小さくなった肩を抱きしめて、悲しみの大きさを知りました。

次々と、「あー!お世話になりました!」そんな挨拶があちこちで飛び交います。

ご夫婦でみえる方、お一人でみえる方、お子さんたちとみえる方・・

最初からハンカチでずっと涙を拭いている方・・。

ご主人を家に連れて帰りたくて、泣きながらご相談に見えたOさんの奥様も見えています。
やっぱり、まだまだ悲しみは癒えません。
「もっと早く連れて帰ればよかった…。病院の先生がなかなか帰してくれなくて、本当に悔しくて・・」
私の手を握り締めて、やはり細くなった肩をずっと震わせていました。

懐かしいお顔の皆様と、ご挨拶しながら、一人一人の患者さんとのエピソードが思い出されます。
スタッフも、他のステーションのみんなも、ご家族の中に入ってお話に夢中です。

そして、あの素敵なAさんのお嫁さんの笑顔もありました。
今日は、優しそうなご主人と一緒です。
Aさんも、とても素敵な方でした。(「お別れの後でも・・>」「思うようにはいきません」)
ご家族全員にあだ名をつけて、何よりお嫁さんと仲が良くて、お嫁さんは『コマドリさん』。
そう、ぴったりのニックネームです。
私は、コマドリさんに会って、こんなに素敵な人と出会えたことを、本当に感謝しました。
人を愛してやまない人。
「最初に好きなっちゃえばいいのよ。」そういって笑う人。
ご主人のお父さんを、誰より愛した人。
それは、今でも寸分たがわず、横にいるご主人がにこにこと妻を見る笑顔が、どれほど彼女をいとおしく思っているかがわかります。
「歌、まだ歌ってますか?」私が聴くと、「もちろん、歌っているわ。」
「コマドリさんのうた、聞きたかったんだけど・・」「歌いましょうか?歌っていいのなら、一曲歌いたのだけれど。」
彼女は、声楽家です。
おうちには、レッスン用の大きなピアノがありましたっけ・・。
「もちろん大丈夫に決まってるけど、聴いてくるから待っててね」
当然それはウェルカムなわけで、会の終了もちかずいた頃に、登場していただきました。

「伴奏もマイクもいりません。」って。

そうして彼女は語り始めました。
「昔からずっと、遠くに行ってしまった大切な人を思い出すたびに、歌っていた歌です。」
「磯部 俶作詞・作曲 遥かな友へ」

一呼吸おいて、こまどりさんは、美しい声で歌いだしました。


  静かなよふけに いつもいつも
  思い出すのは お前の事
  お休みやすらかに たどれ夢路
  お休み楽しく こよいもまた

  明るい星の夜は はるかな空に
  思い出すのは お前の事
  お休みやすらかに たどれ夢路
  お休み楽しく こよいもまた

  寂しい雪の夜は いろりの端(はた)で
  思い出すのは お前の事
  お休みやすらかに たどれ夢路
  お休み楽しく こよいもまた


彼女のよく通る歌声と、この美しい歌詞は、出席した人々の心を打ち、それぞれの遥かな人へと届いたようでした。

そのあとは、全員で「里の秋」を歌い、涙がご家族の頬を伝いました。

私の隣に座っていたOさんの奥様は、声にならずにずっと泣いていました。

そして、会の終わるころには、そばにいたご家族同士ですっかり打ち解けあって、お互いを励ましあったりしながら、お互いの思いを共有していました。

実は、小澤先生のやり方には、反発する声やうがった見方をする声もあるのは事実です。
そりゃあ先生だって人間なので、時にはびっくりするような飛ばし方もして、追いつけない時もありますが、どんなことを言われても、やっぱり小澤先生はすごいなぁ・・と思います。

いろんなことを言う人たちはいるけど、これだけの患者さんのご遺族に声をかけて、こんなに集まって「自分の時にも絶対にお願いします!」そう言ってもらえるのですから。

プラスだったりマイナスだったり、それは確かにあるけれど、それを補ったりもらったりする人たちも周りに集まっている。

人間だから、もちろん合わない人だっているだろうけれど、少なくとも在宅診療をするのに、いろんなハードルつけて、自分の都合のいい患者しか見ないようなことは、絶対にしない先生です。

在宅緩和ケアは、これからの分野だと思います。
「こうでなくてはいけない」ではなく、もっともっと柔軟にならなくてはいけないと思います。
私も、今日確信が持てました。
自分は、押し流されないようにしようと。