こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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介護負担の軽減って・・

2010-12-06 22:37:04 | 訪問看護、緩和ケア
先週の金曜日に、今年最後の学生さんのカンファがあり、5日間一生懸命(本当に一生懸命)頑張った成果を発表して終了となりました。

最終日なので、一人の患者さんを絞って看護展開をしたものの発表となりました。

その中で、介護負担の軽減という言葉がありました。

これは、私たちもよく看護計画で使う言葉です。

「今回のケースでの、看護負担の軽減ってなんだろう?
本当に、ヘルパーさんを導入したり、訪問看護を増やすことが、介護負担の軽減になるのかな?」
そう投げかけてみました。

このケースの場合、どちらかというと、長年ややネグレクトに近い状況で、お婿さんがおばあちゃんを介護してきました。
なので、オムツはろくに取り換えないし、毎日の食事も菓子やバナナの繰り返しで、訪問看護が始まった当時は、肌は垢だらけ、夏場での脱水と低栄養という状況からの開始でした。

経済的にもあまり余裕はなく、介護力も低い状況の中でしたが、そう感じるのは私たちであって、当のおばあちゃんは認知もあって、どちらかというとホンワリしています。
ご家族だって、別に愛情がないわけではなく、あまり手をかけていないことを、何とも思っていないだけのような・・。
動物をたくさん飼っているので、そちらの面倒も大変だし、とにかく食べられていて、元気ならそれでよし。みたいなところがあります。

どちらかというと、訪問看護が始まってやらなければいけないことが増えてしまいました。
最低限これだけは頑張ろうというオムツ交換と、訪問看護時の全身清拭と更衣、排便ケア、それに伴う洗濯物が増えること、オムツを余分に使う事。

だから、このケースの場合の介護負担って、もしかしたらお金のかかるヘルパー導入や、いろんなことを指導されちゃう他者の介入なのかもしれないよ。

そして、違う患者さんの事も思い出してもらいました。

お母さんの介護が生きがいのAさん。
大好きなお母さんの介護に情熱を傾けています。
ピッカピッカの居室、いつもふかふかの布団。
毎日解かされた髪に、つやつやのお肌。
いつも母さんのそばで、頬を寄せてお話しています。
彼女は言います。
「私が全部やりたいんです。全然辛いなんて思わないです。
私の仕事を取らないでください。私の生きがいなんですから」
あとのことが心配になるくらいの強い思いです。

ここでの介護負担はなんでしょう?

私たちは、家族ができうることの手立てをお伝えし、ここで穏やかに過ごせるような環境を作ること。
それは、直接手を出すことばかりではない。

そんな話をしてみました。
フレーズとしての「介護負担の軽減」。

ちょっと違う角度からも考えることが大切。
それが、個別性。

そんな話をしました。

「そんなこと、考えもしませんでした・・。」
その後も、今回の実習での振り返りをしました。

もう一人の学生さんが言いました。

「本当におうちに入ることで、お一人お一人の家族の中でのお顔や、今までの生き方などがわかるような気がしました。」
「おうちにある写真のなかで、今とは全然違うお顔で笑っている・・・。」

いろんなことに気が付きましたね。

「帰ろうとしたとき、私の腕をつかんで、不自由な言葉で『カエラナイデ』と言われて・・。本当につらくて・・・」
それきり言葉になりません。
それとともに、相棒も一緒にぽろぽろ涙がこぼれます。

たくさんの事、学んだのだと思います。

その涙、その感性を忘れずにいてくれたら、きっととてもいい看護師さんになると思います。

頑張ってほしいなぁ。

いつもいつも、学生さんを送るときは、そんな風に思います。

スタッフ、最後の挨拶でも泣いてしまった学生さんをみて、もらい泣きしてましたっけ・・。

そんな場面を見ながら、いつまで、温かい場所であってほしいと思いました。