『ノルウェーかいせんって言う病気があるんだよ。』
と家族に話をしたとき、夫が『うまそうな名前だな。』と呟き、娘が『サーモンとかのってそう。』息子は『しめ鯖はのってるかな?』と言いました・・。
ノルウェー海鮮丼じゃないですから
実は、そんなものではないんですよ。
在宅の仕事をするようになって約15年。
以前は、年に2回から3回くらい「疥癬出たので、処置お願いします。」って言う依頼がありましたが、それも大したものではなく、言われてみればなんとなくこれかな??という程度で、とても軽いものが多かったように思います。
じゃあ、かいせんて何?
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニという人に憑りつく悪霊のようなダニによって引き起こされる皮膚病です。
こいつはとても悪い奴で、人の皮膚に寄生して皮膚の下にトンネルを掘って生活し、やたらめったら交尾をしては卵を産み増やし、全身性の皮膚炎をおこすのです。
最初は、ぽつぽつと赤い発疹が、指の間や関節、皺のよるところなどに出来、やがて全身に発疹が出来ます。
この時、有名な疥癬トンネルというダニの通り道もできます。
ダニは、ものすごく小さくて(300ミクロンくらい)、よーく観察すると皮膚の表面に数ミリのトンネルが出来ていて、専用の拡大鏡で見るとその先にものすごく小さく住んでいたりします。
(ここをクリックすると、動いているヒゼンダニを見ることが出来ます。)
皮膚科の先生が、そこをカリカリと削って顕微鏡で確認すると、その皮膚片の中にダニがモゾモゾと動き回り、卵が散乱しているのが確認できます。
潜伏期間は2週間から1か月位です。
卵は約2週間くらいで孵化して、さらに交尾を繰り返して増えていくわけです。
症状は、激しい痒みです。
特に夜間体が温まると、激しくかゆくて、眠れず掻きむしったりします。
最初は散在していた疥癬も、抵抗力が弱っていたり、ステロイドを長期使用していたりすると、ある時から爆発的に増えることがあります。
顕微病下でも、いきなり見渡す限りのダニオンパレードになってしまう事があり、いわゆる重症化した角化性疥癬もしくはノルウェー疥癬と言われる状態となります。
こうなると、全身性の発疹と糜爛、肥厚した皮膚が角化して全身かさぶた人間のようになることもあります。
この状態は、周囲にヒゼンダニをまき散らしているような状態で、これに罹患した患者さんを中心に接触のある人への爆発的な感染を引き起す可能性が高くなるのです。
こうして人から人へ、特に抵抗力の低い方への感染が拡大していきます。
もうこの記事を書いているだけで、身体中痒くなってきます。
ちなみに、ストロメクトールという特効薬がありますので、早く発見して早く薬を飲んで、清潔を維持し、清掃をして、軟膏を塗布すれば、症状は劇的に収まっていきます。
ですが、関わる介護者、医療者は2週間はガウンテクニックと呼ばれる予防措置を取り、周囲への拡散を防止する対策を取らなくてはなりませんし、サービス提供側が罹患した場合、内服後医師のOKが出るまでは、お仕事は出来なくなります。
今年の夏は、めっちゃ暑い&めっちゃ湿度が高いせいか、あちこちの施設でもちらほら疥癬の話を聞きます。
施設内で大発生した場合は、ショートもデイもお休みになることもあります。
冬に流行る場合は、炬燵が原因のことが多いようです。
ただ、ほとんどの場合は通常の疥癬で、そんなに拡散することはありません。
でも・・。ノルウェー疥癬だけは、感染力も拡散力もとんでもないので、十分な配慮が必要です。
ダニは50度のお湯に10分着ければ死にますから、洗濯物は非感染者と分け、お湯につけてから選択します。
(化繊が入っていると、あとで皺くちゃになる・・)
部屋は、数日に一度はキンチョールなどを散布してからよーく掃除機をかけます。
アルコールは虫さんにも脱水作用があるので、仕上げにアルコールで拭き掃除をします。
患者さに触るときは、必ずゴム手袋を着用しましょうね。
何だかわからない発疹が悪化して、尋常じゃない痒みがあるようなら、代理受診ではなく必ず本人を直接見てもらって、一応顕微鏡で確認してもらった方がいいですね。
ダニじゃなくて、カビってことも良くありますから。
代理受診で治らない湿疹は、特に要注意です。
これからもまだまだ、蒸し暑い日が続きますので、介護されている方は、そんな病気の可能性も含めて、十分ご注意くださいね。
と家族に話をしたとき、夫が『うまそうな名前だな。』と呟き、娘が『サーモンとかのってそう。』息子は『しめ鯖はのってるかな?』と言いました・・。
ノルウェー海鮮丼じゃないですから
実は、そんなものではないんですよ。
在宅の仕事をするようになって約15年。
以前は、年に2回から3回くらい「疥癬出たので、処置お願いします。」って言う依頼がありましたが、それも大したものではなく、言われてみればなんとなくこれかな??という程度で、とても軽いものが多かったように思います。
じゃあ、かいせんて何?
疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニという人に憑りつく悪霊のようなダニによって引き起こされる皮膚病です。
こいつはとても悪い奴で、人の皮膚に寄生して皮膚の下にトンネルを掘って生活し、やたらめったら交尾をしては卵を産み増やし、全身性の皮膚炎をおこすのです。
最初は、ぽつぽつと赤い発疹が、指の間や関節、皺のよるところなどに出来、やがて全身に発疹が出来ます。
この時、有名な疥癬トンネルというダニの通り道もできます。
ダニは、ものすごく小さくて(300ミクロンくらい)、よーく観察すると皮膚の表面に数ミリのトンネルが出来ていて、専用の拡大鏡で見るとその先にものすごく小さく住んでいたりします。
(ここをクリックすると、動いているヒゼンダニを見ることが出来ます。)
皮膚科の先生が、そこをカリカリと削って顕微鏡で確認すると、その皮膚片の中にダニがモゾモゾと動き回り、卵が散乱しているのが確認できます。
潜伏期間は2週間から1か月位です。
卵は約2週間くらいで孵化して、さらに交尾を繰り返して増えていくわけです。
症状は、激しい痒みです。
特に夜間体が温まると、激しくかゆくて、眠れず掻きむしったりします。
最初は散在していた疥癬も、抵抗力が弱っていたり、ステロイドを長期使用していたりすると、ある時から爆発的に増えることがあります。
顕微病下でも、いきなり見渡す限りのダニオンパレードになってしまう事があり、いわゆる重症化した角化性疥癬もしくはノルウェー疥癬と言われる状態となります。
こうなると、全身性の発疹と糜爛、肥厚した皮膚が角化して全身かさぶた人間のようになることもあります。
この状態は、周囲にヒゼンダニをまき散らしているような状態で、これに罹患した患者さんを中心に接触のある人への爆発的な感染を引き起す可能性が高くなるのです。
こうして人から人へ、特に抵抗力の低い方への感染が拡大していきます。
もうこの記事を書いているだけで、身体中痒くなってきます。
ちなみに、ストロメクトールという特効薬がありますので、早く発見して早く薬を飲んで、清潔を維持し、清掃をして、軟膏を塗布すれば、症状は劇的に収まっていきます。
ですが、関わる介護者、医療者は2週間はガウンテクニックと呼ばれる予防措置を取り、周囲への拡散を防止する対策を取らなくてはなりませんし、サービス提供側が罹患した場合、内服後医師のOKが出るまでは、お仕事は出来なくなります。
今年の夏は、めっちゃ暑い&めっちゃ湿度が高いせいか、あちこちの施設でもちらほら疥癬の話を聞きます。
施設内で大発生した場合は、ショートもデイもお休みになることもあります。
冬に流行る場合は、炬燵が原因のことが多いようです。
ただ、ほとんどの場合は通常の疥癬で、そんなに拡散することはありません。
でも・・。ノルウェー疥癬だけは、感染力も拡散力もとんでもないので、十分な配慮が必要です。
ダニは50度のお湯に10分着ければ死にますから、洗濯物は非感染者と分け、お湯につけてから選択します。
(化繊が入っていると、あとで皺くちゃになる・・)
部屋は、数日に一度はキンチョールなどを散布してからよーく掃除機をかけます。
アルコールは虫さんにも脱水作用があるので、仕上げにアルコールで拭き掃除をします。
患者さに触るときは、必ずゴム手袋を着用しましょうね。
何だかわからない発疹が悪化して、尋常じゃない痒みがあるようなら、代理受診ではなく必ず本人を直接見てもらって、一応顕微鏡で確認してもらった方がいいですね。
ダニじゃなくて、カビってことも良くありますから。
代理受診で治らない湿疹は、特に要注意です。
これからもまだまだ、蒸し暑い日が続きますので、介護されている方は、そんな病気の可能性も含めて、十分ご注意くださいね。