こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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無事でよかった。

2011-11-13 23:50:21 | 訪問看護、緩和ケア
子どもたちと、近所の業務スーパーで買い物中、緊急電話が鳴りました。

連携先のヘルパーサ責からの電話です。

独居で、終末期の患者さんにヘルパーさんが訪問したところ、何度コールしても叩いても出てこないというのです。

呼吸状態もあまり良くなかったので、苦しくても出れないのか、最悪のことも考えられました。

あわてて買い物を切り上げ、ステーションにより合鍵をもって、子どもを乗せたまま家に向かいましたが、こんな時に限ってやたら道が混んでいます。

「かわいそう!早く行ってあげて!!苦しんでたらどうするの?!」と言う娘の言葉とは裏腹に、やたらと障害物が多くてイライラしましたが、なんとか家の前に到着しました。

エレベーターで上に上がり、家の鍵を開けたとたん目に入ったのが、酸素カニュラをつけた患者さんが、尿器をもってベットサイトで立っている姿でした。

「○○さん!大丈夫?!」
駆け寄ると、本人は落ち着いた様子で「はい。」と・・・。

「ヘルパーさんから心配して電話があったのよ。苦しくて出られなかったの?でもよかった、無事で。」
と言うと、彼はかなり憤慨してこんなことを話してくれました。

毎日朝晩、ヘルパーさんが来るたびにドアを開けるのが、どんなに辛いことか!!
お願いしたことへの対応も、ちゃんとしてくれないのに、もう嫌です。

とのこと。

介護保険は申請していないので、ケアマネさんはいず、長いこと関わってくれている障害のヘルパーさんが、いろいろな支援をしてくれています。

もちろん一生懸命やってくれていますし、鍵も遠くにいるご家族からの郵送を待っていたところだったのです。
ずっと一人で生きてきて、いろんな意味で見下されたり、辛い思いをされてきた方です。
だから、どうしても周囲を信じられないのでしょう。
自分を理解してくれない。馬鹿にされている。意地悪されている。

そんな思いにさいなまれているようでした。

ご本人の了解もあり、明日には合鍵をコピーしてヘルパーさんに渡すことになりましたが、確かに、このところは体調が悪化してきていて、とても苦しいのだとおもいます。

独居の方が、終末期に家族の支援もないまま暮らすと言う事の恐怖を思えば、当たり所のない怒りになって、一番近いヘルパーさんに向いてしまう事も、致し方ないと思ったりもして・・。
とはいえ、このところややもすると被害妄想的な言葉も多く、どこかすれ違う気持ちを、うまく修復できればいいのですが・・。

とはいえ、無事でよかったです。
こういう時に、ドアを開けるのはけっこう緊張するものです。

うちのステーションでも、独居の方がたくさんいます。
そして、家で最後まで過ごされたいと願う方も多いのです。
その背景はそれぞれですし、物事の受け止め方も様々です。

その場面場面で、出来る限り寄り添っては行きたいと思うのですが、人の心に向き合うというのは、本当に難しいことのなのだと、この頃つくずく思ってしまいます。

実際、我が子の心も良くわからないで右往左往する私ですから、まだまだダメですね。

それでも何でも、向き合う事を続けるしかありません。

また、明日から1週間が始まります。