こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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聴く耳持たぬ医師

2011-11-16 22:54:08 | 訪問看護、緩和ケア
普段は、連携室を通していい関係でお仕事をしている某病院。
このところ、どうも患者さんをめぐって、うまくいかないことがあります。

大きな病院なので、第3エードであることはわかっていますし、病院内でも横の連携を取って貰えないことも、困ってはいますが半ばあきらめています。

でも、自分の外来にいくつも通院していて、このところ病状が悪化傾向で、何度も具合が悪くなる患者さんへの対応に、さすがに今日は怒りが爆発寸前でした。

もともと神経系の疾患もあり、脊椎間の狭窄もあり、肝障害もある患者さんです。

秋ごろから、下肢の脱力と痛みが増強し、あっというまにベット上生活になってしまいました。

こうなると、通院も大変です。

集合住宅でエレベーターまでは距離もあり、しかも途中階段があります。
今まで何とか抱えたり、お尻で移動したりで何とかしていましたが、もうそれも困難になり、往診医に変えることも検討していました。

先週から腹部が張ってガスでパンパンになり、苦しくて緊急訪問が頻繁になり、排泄援助などで緩和を図っていました。
ある日、訪問すると腹部膨満がひどく、息苦しさもありました。
肝障害も長いので、病院に連絡して頑張って連れて行ってもらいました。
この時は「ただのガスですね。何で来たの?」と言われ帰されましたが、二日後には「尿がたらたらとしか出ません。苦しがっている。」とのことで緊急訪問しました。
日曜日の夕方だったこともあり、病院には主治医もいないと思います。

在宅の往診医がいれば、すぐに連絡して導尿なりバルンも入れられますし、事後報告でも説明すれば問題はありません。

どうしようかと考えました。
でも・・二日前にようやく連れて行ったのにあの対応でした。
しかも、また病院まで移動するのは本当に大変です。
行は救急車で行っても、帰りは二人対応でお願いすると、移送費用もかなりになります。
そうして頑張って行っても、心無い言葉で帰されてしまうとおもうと、また無理に連れて行かせることが、出来ませんでした。
ちょうど、前回のこともあり往診医を付けることに決定したばかりで、話を詰めている最中でした。
このところの下肢の痛みの増強や歩行困難もあり、神経疾患や脊柱管狭窄の悪化による膀胱直腸障害の可能性もあり、とりあえず導尿をすることにしましたが、痛みで動けない妻の介護をを考えると、日曜の夜を穏やかに過ごさせたいと思い、バルンカテーテルを留置しました。

もちろん、病院からの指示の患者さんですし、本来なら受診させるべきなので、翌日には経過と理由を書いて病院にもお伝えしました。
そして、翌日通院日であったこともあり、ケアマネが付き添い、数日間の記録も持って受診し、往診医への情報提供書の依頼もお願いしました。

この時の医師の言葉に、ケアマネは打ちひしがれて帰ってきました。
「自分の家族なら、あそこで暴れていました。でもこれからの連携を考えると、そんなことはできないので、黙って帰ってきました。」と肩をがっくりと落していました。

その報告を聞いて、もう無理だな・・と感じました。

その先生にとっては、たかがお腹の張りなんでしょう。
たかが看護師の判断で、かってに尿閉と決めて必要もないバルンを勝手に入れたんでしょう。
忙しいのに、いちいちお腹が張っているくらいでうるさいのでしょう。
そう思ってしまう言葉。

結局すっかり萎縮してしまったご家族は、今までの信頼もすっかりなくし、今後は全面的に往診の先生にお任せして、必要があれば往診の先生に病院を紹介して頂くことに決めました。

そして、明日には新しい往診の先生と面談をする予定でした。

そして今日、訪問すると今度はお腹の緊満に加え、右下肢が一回り浮腫んでしまっていました。
スタッフから連絡があり訪問すると、もともと腹部以下足先まであった浮腫ですが、右だけ鼠蹊部から下が一回り浮腫んでいました。
右を下にしていたわけでもなく、足背動脈はよく触れています。
冷感や痛みはありません。
けれど明らかに大きさが違います。
もともと、腹部の緊満で横隔膜が上がり息苦しさもありましたが、今日はSPO2も94%と下がっています。
「なんでこんなにお腹が固いのかしら?」
とっても不安な様子で、夫は心配でおろおろしています。

昔、突然下肢が浮腫み、やがて痛みも伴いはじめ、夜になって緊急受診し深部静脈血栓だった人を知っています。

そのあと、長い入院生活を強いられ、随分後遺症にも苦しんでいました。

動脈も触れるし、強い痛みもないので、たぶん原因はほかにあるのかもしれませんが、でも絶対違うとは言えないし、こんな変化が続いていること自体おかしい。
もう一度意を決して病院に電話をしました。
連携室を通して主治医に確認してもらったら、一蹴でした。
「深部静脈血栓?そんなのあるわけない。心配なら明日時間内に外来に来て。」とのこ

もう、完全にあきらめました。
もうこの先生には何を言っても無理でしょうね。
同じ意味でも、言葉の選び方があるはずです。
日本語は、たくさんの表現方法があります。
物事の言い方一つで、人は納得もするし、安心もします。
でも、腹も立てるし失望もします。
たかが○○を見落として、重大な病気を見落とすことはないのでしょうか?

まして、医師という立場で、たかが腹満、たがが浮腫かもしれませんが、話を聞くこともしないで、時間内にこだわるような先生に、明日また診てもらうにはいけませんよね。

明日、S在宅の先生に面談の予定が入っています。
今日のいきさつも、ケアマネに手紙に書いて持って行ってもらいました。
S在宅の先生なら、明日ちゃんと向き合って話をしてくれるとおもいます。

この一部始終を、学生さんも見ていました。
担当の看護師も、まだまだ新人です。

こんな理不尽な出来事も、きっと良い経験になったっと思います。

良い医療者である前に、まず人として心ある援助がしたいですね。

もちろんこの病院だって、そんな先生ばかりではなく、患者さんを大切にしている医師だってたくさんいるのだと思います。
ただ、大きな組織の中で、医師の振る舞いはそれでも許されると勘違いしてしまった先生にあたっただけなのかもしれません。

は~。
でも、こんなに怒ると、なんだかあとが空しくて嫌です。
明日からは、また気を取り直して頑張ります。