杉ちゃんのWEB日記

国際山岳ガイド 杉坂 勉のブログ

2017-4-29~5-1 北穂高岳

2017-05-01 14:51:31 | ガイド山行記録

2017年もGWに突入。今年はヘルニアの影響で山に行けるのか?との不安の声もありましたが、何とか無事に行ってきました穂高!

復帰まもなくという事もあり、北穂東稜の予定で入山しましたが今回は2泊3日ののんびり山行。天気予報も悪くないので予定通り29日上高地から入山。

雪の少なかった去年と比べ今年はまずまず例年並みか?横尾大橋を渡りしばらく行くとすぐに登山道は雪の下。

横尾の本谷橋付近からはご覧の積雪量で、例年通り涸沢の沢沿いを進むことが出来ました。

ヒュッテ寸前では寒冷前線の通過でカミナリにあい、ちょっと怖い思いもしましたが無時に涸沢入り。

 

翌30日は快晴の夜明け。昨夜降雪がありコンディションに影響が出るか不安でしたが、ほとんどは強風に飛ばされて影響はほとんどなし。

5時15分ヒュッテを出発。ただ上空はかなりの強風の模様。また長野県警の話では穂高周辺はGW前に2~3回降雪があったが北穂沢ではまだ大きな雪崩が出ていないとのこと。ちょっと不穏な雰囲気が漂っていました。

モルゲンローテに染まる北穂東稜をめざし高度を上げていきます。

  

雪面はおおむね締まっており快適ですが、雪はザラメにはなっておらずまだまだ冬の装いを残したままの感じ。

また南稜方面からスノーボールがかなりバラバラと頻繁に降ってきて、コンディション的にはあまり良い感じではなさそう。ここで予定を変更し、そのまま北穂沢をつめ北穂のピストンに。

8時、北穂の山頂に登頂。なんとなくそこから見える山々は霞んでいるような感じ。やはり明日は悪天なのか…。

とりあえず一通りパノラマ風景を楽しんだ後、風が強まりつつある山頂から下山開始。

ところが下りの北穂沢はすでに気温も上がり、雪は腐りはてて生コン状態。足を取られながらでなかなか高度を下げることが出来ません!

そのうち南稜側から小さな雪崩がちらほら。

南稜取り付きへの分岐まで来ると雪崩はいよいよ勢いを増し、点発生の表層雪崩が頻発。そのうち標高の高いところから流れてきた雪崩は、周りの雪をかき集めながらその大きさを増し、我々の脇を通過する頃には巨大なブロックの塊に!!

下を歩いていた数人を飲み込むと、一気に涸沢まで流れ落ちていきました!!!!ちなみに今回は誰も埋まることなくケガもなかったとのこと…。

我々もその後に来るであろう雪崩を警戒し、すでにデブリと化したトレースを外して安全地帯を縫うように降りていきました。

この日の行動は横尾まで。今日の出来事の余韻に浸りながら、そして改めて自然の恐ろしさに畏敬の念を感じながら、山荘のゆぶねにつかれる幸せをかみしめたのでした。

最終日の5月1日は2時間30分ほどで上高地に到着。

いやいや今回もいい経験になりました。

でもやはり、山では基本に忠実に謙虚に行動することがやっぱり大切なんだと感じた3日間でした。

 

 


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