冬京 / 伊勢正三
ぼくの部屋の 夕暮れは
君が去った ドアの方から始まる
あの頃ぼくと そして君の夢は
同じものだと 思っていた
ぼくの胸に顔をうずめて
潮の香りがすると
故郷のない君だから
わかるのだろう
あの頃ぼくは 何のために
君と同じ朝を むかえてたんだろう
赤い電車は 止まらないほどの
その小さな駅の 見える部屋で
階段のぼる ぼくの足音
響き始めたとき
読みかけの本にしおりを
はさむ人もいない
こんな淋しさ それも東京
そして生きていくため
暖かい愛がなければ
冬は越せはしない
作詞 作曲 / 伊勢正三
1977
■ 昭和譜心 ■
昔
西空へ
傾いた夕陽の
オレンジ色の明かりが
磨りガラス越しに見える部屋で
この 「冬京」 を微睡みながら何度も聴いた
好きな正やんの曲の中でも1・2を争うほどお気に入り
“ぼくの部屋の夕暮れは・・・” と 歌詞が始まり
“あの頃ぼくは何のために・・・” と 続く
“暖かい愛がなければ・・・”
と 流れる頃には
その夕陽も
沈む
第五大成丸
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