続々とスキー板を抱えたお客様(スキーヤー)が入館してきます。
この宿は常連のお客様が多いようで、旅館の方との挨拶やお客様同士の再会の挨拶があちこちで行なわれています。玄関エントランスに置かれたストーブの周りには自然と人だかりができていました。かと思えば、荷物を置くと同時に即行でゲレンデに向かうツワモノもいらっしゃいます。
入館されたお客様を部屋へご案内、食事(朝・昼・晩)の用意と片付け、施設の説明や案内、貸しスキーの管理業務、お風呂やトイレの清掃、布団のメイキング、チェックアウト後の部屋の清掃、館内の共用部分の清掃などなど、アルバイトの仕事は後から後から湧いてきます。
朝5時過ぎに起床して仕事が始まり、夜0時前後には就寝できるスケジュールだったと思います。その日の状態にもよりますが、3食付いてお昼から夕方にかけて2時間ほど自由時間もありましたので、私にはさほど過酷な状態ではありませんでした。
常にカラダを動かしながら次のスケジュールへとシフトできるという点では、自分向きでしたし健康的で規則正しい生活リズムになったことは間違いありません。一日の中で場所や仕事内容が変わることは、超のつく飽き性の私にとってはストレスの溜まらない好条件の環境だったとも言えます。
そして、仕事面で一番やりがいを感じたのは、自分たちで仕事の組み立てができたということでした。はじめに、「絶対にしなければならない事」 と 「絶対にしてはいけない事」 は教えられますが、それ以外は、それぞれで判断して行動しなさいという風土(学校でいう校風、会社でいう社風)がありました。
もっと言えば、誰かがリーダーシップを発揮しないと、仕事が纏まらない進まないという状態に必ず直面します。限りなく(放任ではない)自由主義で、限りなく全体の行動責任が問われる環境でした。これが私の仕事観を変えるキッカケになったのだと思います。
言われる前にやってみる。本当に困った時には聞けばいい( HELP US!)。と思えたのは人間関係含めた環境のせいだったのではないでしょうか。女将さんやおばちゃんたちに教えてもらった作業を自分なりに組み立て直し、優先を外さないように順番を変更したり、作業を取りまとめて分担(分業)制にして効率化を図りました。
例えば、部屋のメイキングや掃除は、おばちゃん個々が割り当てられた部屋をそれぞれ担当して、一人で全ての作業を完結していたのですが、それを分業化し効率を高めました。もちろん、同じアルバイトですので、役割は毎日ローテーションします。
ただし、ルールとして、自分の前に行なった作業に不備があった場合は、その場でしっかりとフォロー、あとで本人には直接その不備を伝えるようにしました。( 良い人間関係の構築に外せない部分です! )
3日目には、年齢もあるのでしょうが、私がアルバイトのリーダー的な存在になっていました。私は本来、自ら上に立ちたいタイプではないのですが ・・・ 。
しかし、いつも真剣に取り組むとのめり込み、そういう状態になることがあります。そして、必ずといっていいほど周りに勘違いや誤解が起こります。
特に、派閥争いのような現象が起こり、敵対視する者が出てきたりします。そういう状況になると、私はスーッと冷めてしまい、全くリーダーシップを発揮しなくなる意固地な部分もあります。学生時代(クラス委員や部活リーダーで)嫌というほどそういう経験をしていたので、それだけは避けなければなりません。
勘は当たりました。少しそうした傾向が見え始めた者が現れました。適材適所でオペレーションすれば、もっと効率が上がるのに ・・・ という考えでした。私の考えではまだ無駄があるという見方だったのでしょうね。確かにそうです。
しかし、ここへアルバイトに来ているメンバーのほとんどは、たくさんのお金や追求した生産性を求めているわけではありません。私は皆で取り組んで無駄が減った分、個々の時間に充てたかっただけです。
お客様の満足度を下げないように、また、旅館の方針をけっして曲げないで、且つ、スタッフのトライに対する達成感と有意義な時間を作りたかっただけです。
( 何と言っても、皆が笑顔で働ける環境がBEST!なのではないでしょうか )
私は時間を掛けることにしました。私の考えで動かしていた部分をすべて0(ゼロ)に戻して、その本人に任せることにしました。そして、私は実行とフォロー役にまわりました。
それから何度か意見はぶつかったのですが、約1ヶ月後にはお互いの信頼関係(必要性)は築けたと思います。真剣に “(その環境を)良くしたい” とか “(お客様の満足のために)貢献したい” といった共通認識がある限り、人は解り合えるものだとも感じました。
その実践をこの環境でできたことは、これまた貴重で大きな財産になりました。
↓共用廊下を掃除している途中、“旅館内に 「怪しい部屋」 発見!” です。
ここは屋根裏部屋です。(最上階の押入れの扉を開けると秘密の階段が・・・)しかし、れっきとしたお客様の部屋なのです。とはいっても普通のお客様ではなく、常連?の遊びグループがシーズン中借り切っている特別の部屋だったのです。
“週末の真夜中、音を立てずにヤツらはやって来る!” (少し音はしますが ・・・)
岡山や広島から集まってくる遊び大好きなグループです。「ゴジラスカイクラブ」 という名で、30~40歳代が中心の12~13名のチーム?でした。
私より一回り以上年上の人がメインだったですが、とんでもなく楽しくて元気な方々の集まりでした。私は直ぐに意気投合し(完全にハマリました!)、週末の夜中になると屋根裏部屋へお邪魔をして一緒に遊ばせてもらいました。真夜中に他愛もない話をするのですが、真剣に楽しませてくれる空気がありました。
もちろん、彼らはスキーをしに来ているのですが、“スキーも含めて山で楽しもう!” 精神に溢れた面々でした。いつも笑顔で、いつもパワフルで、輝いていました。20歳過ぎの私から見て “こんなオッサンなかなかおらんよ!” というレベルでした。週末は完全に寝不足、週明けにはフラフラ状態で仕事をしていました。(つづく)
■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山① 】
■ アルバイトアンクル 【 鳥取大山② 】
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