旅館の仕事にも 山の遊びにも 慣れてきました。多少問題があった人間関係もそれなりに順調です。イレギュラーな出来事にもそこそこ対処できています。
平日、ゴジラさんたちの 「バギー」 の面倒をみていました。“時々、エンジンを掛けて動かしておいてほしい ・・・” という依頼に応えるべく、S嬢と共に、旅館の庭を周回するコースでエンジンを温めていました。なかなか楽しい仕事です。
ただ、春になって雪が解けた時に、私たちが周回コースにしていた場所が、非常に大切な物の上や一歩間違えば大怪我をするような状態の上をオフロード(オンロード?)していたことがわかり、スーッと血の気が引いたことを想い出します。( なぜ、女将さんと旦那さんは怒らなかったのか ・・・ )
屋根の雪下ろしと軒先の氷柱(つらら)落としを時々行なわなければなりません。氷柱は窓を開けて棒やスコップで叩くと下へ落ちます。ただし、積雪している地面が氷柱からの水滴で硬くなっていると、落ちた氷柱が滑って一階の窓ガラスを割ってしまうことがあるので注意が必要です。それでもどちらかというと楽しい仕事でした。
一方、雪下ろしはキツイ仕事です。屋根の上に上って雪をスコップで割りながらスノーダンプで押して屋根から落としていくのですが、ハッキリ言って、若い私でもさすがに腰にきます。
“要領を覚えるとそんなにつらくないよ” と旦那さんは簡単に言いますが、どうも要領がつかめません!週末にやって来たゴジラさんたちに “要領を教えてほしい” と応援を要請したところ、メンバーが協力してほとんどやってくれました。( これはラッキーでした! )
旅館から少し参道を下りたところの商店に買い物に出掛けることがありました。バギーで行くか旅館のスノーモービルで行くかなのですが、たまたまバギーを借りて出ようとすると、ゲレンデから電話が入り、うちの旅館に宿泊している若い女性のお客さんが足を挫いたとのこと ・・・
その日、旦那さんが不在のため、私がスノーモービルでゲレンデまで迎えに行くことに ・・・ イレギュラーな仕事でしたが、無事に旅館まで連れて帰ってこれてホッとしたことを想い出します。( その時の女性に感謝されたことも鮮明に ・・・ 少し年上で綺麗な方でした! )
こんなこともありました ・・・ 「出歯亀事件!」仕事が終わり、女将さん(若女将)とアルバイトS嬢たちがお風呂に入っていると誰かがノゾいていたらしい ・・・ “誰だぁ!” と大きな声で怒鳴りつけた女将さんは素っ裸のまま、その犯人を追いかけたらしいです。
女将さんは綺麗なだけでは勤まりません。やはり、旅館の女将ともなれば、これくらいの強さが必要ですよね。( S嬢からの報告と談話より )女将さん(若女将)の強さというか ・・・ 宿命というか ・・・ の話をもう一つ。
子供(中学生と小学生の息子)さんが二人いて共にスキー(回転?)の選手でした。年明けに大会がありましたが、女将さんは忙しくて応援には行けませんでした。“がんばりなさいよ!” と声を掛けて送り出した下の子(小学生)が試合中に大怪我(骨折)をしてしまい、米子の病院に搬送され入院することになりました。
普通なら、すぐに病院に駆けつける事態だと思いますが、女将さんは動きません。今日も明日も明後日も旅館は予約で満杯です。“落ち着いたら行くから” と皆の前で気丈に振舞っていた姿と一人になった時にうつむいて淋しそうな顔をしていた女将さんを私は忘れることができません。(本当に強い女性で尊敬できる方です!)
とうとう冬休みが終わりました。
米子など麓から来ていた高校生のアルバイト諸君は下山しました。そろそろ大学生も下山の用意をし始めます。
地元のアルバイトさんには、週末の忙しい時に日帰りでいいから手伝ってくれるように話をしていましたが、皆で過ごせる時間が残り少なくなってきたことは事実です。みんなの表情を見る限り、名残惜しそうで淋しげな顔に見えたのは私だけではなかったはずです。そろそろ私もいつまで残るのかハッキリしなければなりません(つづく)。
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